10年、20年と長く使うものだから長期的な保証がほしい。そんな消費者の声にこたえる形で、太陽電池の業界団体が長期的な品質をチェックする仕組みの検討を始めた。
消費者に安心感を与え市場を広げる試みなら歓迎だ。間違っても外国製品を排除し競争を阻害する制度にしてはならない。
太陽光発電協会の片山幹雄代表理事(シャープ社長)は8月下旬、「太陽電池の長期使用時の耐久性をチェックする制度が必要」と話し、販売後の太陽電池の点検制度を検討していることを明らかにした。
太陽電池は工場出荷段階では性能を検査し保証する共通の認証制度がある。しかし家庭の屋根に設置後の保証はメーカーごとまちまちだ。客観的な目安がなく消費者は選択に迷う。設置後に期待通りの発電ができないといった苦情も出ている。
住宅用太陽電池の普及は急ピッチだ。住宅の屋根に載せた太陽電池が起こす電気のうち家庭内で使わない余剰分を電力会社に売れる制度が、2009年11月に発足したのが引き金だ。国や自治体の補助金の効果や、東日本大震災後の電力不足もあり、今年4~6月の国内出荷量は2年前の約3倍に増えている。
通常の家電製品と違い、太陽電池は店頭やカタログでは性能比較すら容易でない。必要な情報を提供し消費者の賢い選択を助け、信頼を裏切らないことが産業の成長に不可欠だ。長期間の発電を保証する点検制度は有用だ。ただ制度をつくるにあたり外国製品の参入を妨げるようなものにしてはならない。
米国では太陽電池の国内市場が急拡大しているにもかかわらず、太陽電池メーカーが相次いで破綻している。安価な中国製品との競争に負けたためだ。日本でも同様の事態を心配する声がある。
国産品の保護を狙う制度は日本だけの特殊な仕様を生みやすく、「ガラパゴス化」を招く。究極的には日本の太陽電池産業の弱体化につながるだけだ。競争が市場を育てる。
太陽電池の世界市場は向こう20年で約4倍(約13兆円)に膨らむとの試算がある。国内で外国勢に勝てない企業は世界での優位もおぼつかないだろう。
太陽電池、太陽光発電、片山幹雄
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