食の安全 市民の疑問に答える
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食の安全 市民の疑問に答える

8月2日 17時56分 twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)

一生のうちに100ミリシーベルトを超えて被ばくすると健康に影響が出るおそれがあるとする、国の食品安全委員会の報告書について、市民の疑問に答える会合が、2日、東京で開かれ、参加者からは食の安全に不安を訴える声が相次ぎました。

食品安全委員会は先週、食品に含まれる放射性物質の健康影響について、一生を通して累積でおよそ100ミリシーベルトを超えて被ばくすると、がんの発生率が高まるおそれがあるとする報告書をまとめました。この報告書について、2日、一般の人の疑問に答える会合が東京で開かれ、90人が参加しました。この中で「生涯100ミリシーベルトを目安とすると、食品に含まれる放射性物質の量を定めた今の暫定基準値は大丈夫なのか」という質問が出されました。報告書をまとめた、ワーキンググループの座長で東北大学大学院の山添康教授が、「できるだけ被ばく量を減らしていくことが大切で、基準は厚生労働省などで検討していくことになる」と答えました。また、子どもは大人より厳しい基準にすべきという意見が相次ぎましたが、山添教授は「チェルノブイリ原発事故で子どもの甲状腺がんなどが増えるという研究があるが、データに信ぴょう性がなく、具体的な目安を示せなかった」と説明しました。3歳と5歳の子どもがいる母親は「子どもにリスクがあるかもしれないのに、具体的な数値が示されず残念です。子どもと大人が同じ基準というのは不安です」と話していました。食品安全委員会は、今月27日まで意見を募ったうえで、厚生労働省に報告し、そのあと、厚生労働省などで食品に含まれる放射性物質の基準について検討することになります。会合のあと、山添教授は「チェルノブイリ原発の事故では、食品などから取り込まれた放射性物質が3年間は人の体内から消えないというデータがあり、累積の被ばく線量を生涯100ミリシーベルト以内に抑えるためには、今の暫定基準値を厳しくする方向で見直す必要があると思う」と述べました。また、子どもへの影響については、「現時点で科学的に分かっているデータを基に考えると、子どもについても、累積の被ばく線量を生涯で100ミリシーベルト以内に抑えれば、健康の影響はないとみられ、大人と同じ基準で心配ないと思われる」と話しました。