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[28558] 魔法少女リリカルなのは:BLAZBLUE
Name: ぺぷし◆05fbd726 ID:f22cd563
Date: 2011/06/26 02:03
死神――ラグナと魔法少女――なのはが出会う時、物語は始まる! ※二次創作クロスオーバーです、その旨の類をご注意ください。また、オリ設定や他の作品などの設定などちょこちょこ使うかも・・・
こちらは小説家になろう!さんにも投稿しております。
※ちょっと修正



[28558] プロローグ1
Name: ぺぷし◆05fbd726 ID:f22cd563
Date: 2011/06/26 00:51
side/カグツチ・釜――

「ヒッヒヒヒ・・・どうやらここまでみてぇだなぁ?子犬ちゃんよぉ?」

碧いオーラを纏った男が自らの目の前で跪いている男を嘲笑する。

「クゥッ・・・!テルミィ・・・!」

黒きオーラを纏った男は自らの目の前の男を射殺さんと睨みつける。

「だぁから最初に言っただろうがよぉ!?オレ様には絶対ェ勝てねぇってよぉ子犬ちゃんよぉ!」

「ク・・クソ野郎が・・・!」
                      
事実、逆立つ緑の髪の男――ユウキ=テルミの「碧の魔道書」(ブレイブルー
)に、
                           
銀髪のオッドアイの男――ラグナ=ザ=ブラッドエッジの「蒼の魔道書」(ブレイブルー
)は無力化されている。

「ガントレット!」

「うざってぇんだよ!」

ラグナの抵抗にユウキ=テルミの「ウロボロス」が押さえつけ、地に叩き伏せる。

「ガァッ・・!」

「ハァー・・・・いつまでも諦めの悪ィ奴だなあオイ・・・
ま、それはそれで嬲れるから良しとするけどね!ヒャ―ッハッハッハァ!!!」

(ちくしょう・・・!何も・・できねぇ・・・・!)

「あれあれぇ?諦めちゃったかなァ?ラグナくん?」

(ちくしょう・・・・!ちくしょう!!!)

悔しさ――ラグナの脳内の思考はその感情が支配していた。

「・・・チッ、んだよぉ、ホントに諦めたのかよ?ハァー・・・・んじゃ殺すか。」
               
ズズズ、とユウキ=テルミの力が蛇竜(みずち)と型を成し、ラグナに迫る。

「じゃあ・・いい感じに死ねやぁ!」

ゴゥッ!と轟音と共に蛇竜が迫る、その刹那―――

ドクンッ―――!

「あぁ?」

ビシィッ!ガッシャアアアアン!!!

―――何か胎動する音と共に、空間が砕け散る。

「ッち!何が起きやがった!?こんな確率事象(コンティニュアムシフト)は知らねぇぞ!!!」

「うおおっ!!?」

ユウキ=テルミは「ウロボロス」を用いて砕けた空間から脱出するが・・・

ラグナは砕けた空間に落ちていく―――









side/タカマガハラ――

「・・・意味が解らねぇな、こんな確率事象は聞いてねぇ・・・」

真っ白い空間の中で一人、否、一つの緑色のヒトガタが思案していた・・・

「まさか予想外が起きるとは・・・あの空間に紛れて釜ごと壊れてしまいましたし、
この確率事象は諦めますかねぇ・・・・クソッタレがぁ!!!!」

白い空間の中で緑のヒトガタは吼える、自らが掌握していた確率事象の一つが潰された事に――







side/???――


ゴオオオァァァァッ!!!!

「グアアアアッッッ!!!?」

ラグナが落ちた空間は、力の奔流という言葉が相応しい荒れ狂う空間であり、ラグナを苦しめていた。

ザァァァァァァ!!!!!

「ガアアッ!!?やめろぉぉぉぉっ!!!!」

戦争や人のありとあらゆる感情、色々な人々の記憶から、世界その物の成り立ちから全て――

境界と呼ばれる場所の魔力が全て――

―――ラグナ=ザ=ブラッドエッジに流れ込む、その身を中からも外からも傷つけて・・・

「――――――――」

ラグナはもはや、人として成り立っているかも、ワカラナイ。

ただ、最後に、その空間の中で――

「ラグナ・・・」

――眼帯をした、女の声を聞いて、意識を閉じた――





感想、意見などびしばし待ってます!



[28558] プロローグ2
Name: ぺぷし◆05fbd726 ID:f22cd563
Date: 2011/06/26 00:52
<>は念話となります。





side/第89管理外世界――

「この辺辺りだな・・・」

<何があるかわかりません、気をつけてね?クロノ。>

「はい、艦長。」

そう言って管理局執務官:クロノ・ハラオウンは自らの母親であり、自分の所属する戦艦アースラの
艦長でもあるリンディ・ハラオウンの念話に答えながら、突如起きた極小規模とはいえ次元震の反応が
あった為調査に来ているのであった。

「もしかしたらロストロギアも紛れ込んでいるかも・・・」

<反応キャッチ!クロノくん!この先に反応があるよ!>

クロノの幼馴染であり、アースラのオペレーターも勤めるエイミィ・リミエッタが告げる。

「よし・・・!」

気合を入れ、反応があったポイントへ急ぐ――












「これが・・原因なのか?」

――クロノが急ぎ駆けつけた場所には、何か異様な右腕の銀髪の男が一人、倒れているだけであった。

「酷い状態だが・・・まだ息はあるな、すぐに運ばなきゃ!」





そうして、時空管理局に保護されるラグナ=ザ=ブラッドエッジ――

彼の運命はどうなるのか?それは誰にもわからないが・・・

―――たしかに、運命の輪は廻り出した音がした―――



[28558] 第一話:死神のお兄さん!?なのpart A
Name: ぺぷし◆05fbd726 ID:f22cd563
Date: 2011/06/26 02:38
――兄さん!――

――兄さま――


side/ラグナ

「サヤッ!」

ガバッ!

「はっ・・・!はっ・・・!」

「夢・・か・・・くっ・・・!?」

まるで悪夢にうなされたかのように起きるラグナ、
起きたてながらも自らの思考をフル回転し、状況を把握する。

「俺は・・・たしか落ちて・・・・そうだ!テルミ!」

叫びながら周りを見渡すが、ここは綺麗な部屋・・・薬品の匂いが漂い、
自分がベッドに寝かされている辺り医療室の類なのだろう。

(一体どういう事だ!?怪我は治療されていて・・・クソッ!分けわかんねぇ!!)

思考が混乱する、状況が前後まったく噛み合わぬ事実に戸惑ってしまう。

(落ち着け・・・ブラッドサイスは無ぇ、何か変な術式もやられちゃいねぇな・・・)

(いったい誰が・・あのねーちゃんか?いやそれはあり得ねぇ・・・統制機構ももっと無ぇしな・・・・)

カツン・・・、

(!)

思考の最中、足音がラグナの耳に入ってくる。

カツン、カツン、カツン・・・

(・・・・)

足音が近づく度、ラグナの警戒心が研ぎ澄まされる、そして――

―――ドアが開かれた―――



side/リンディ

次元震が起きたポイントにいた怪我をした男性を保護し、
治療を終えて医療室に運んだと報告を受け、様子を伺いにドアを開けた所――

「あら、起きていたのね?良かったわ。」

微笑みながら警戒心を剥き出しの件の男性に微笑み掛ける。

「・・・てめぇ、統制機構か?」

警戒心を緩めず、問いを投げかける男性の言葉に聞きなれない単語を聞き核心を得る。

「まあまあ、そんなに気を張らずリラックスしてください、私たちは敵ではありませんよ?」

「はぁ・・・?」

―――そうして、次元遭難者の立場、時空管理局のあり方を説明した―――



side/ラグナ

(・・・平行世界、って所か・・・)

説明を受け、一つの結論を組み上げた、不思議に落ち着きながら。

(さっきまでこんがらがってやがったのに・・・無駄に頭がスッキリしやがる。)

「あら?不思議に落ち着いてるわね?」

「・・・アンタが何かしたんじゃねーのか?」

「やぁねぇ、何もしてないわよ?」

そう言って微笑むリンディ・ハラオウンの顔を見て、嘘ではないと判断する。

(じゃあ何で・・・)

疑問に思うその瞬間、室内にアラートが響き渡る。

「!?」

「ごめんなさい、一旦失礼するわ!」

「なっ!?おい!?」

目の前で転移を簡単にされた事に驚く。

「術式・・・じゃねえな、いったい・・・」



side/リンディ

「状況は・・・きついわね・・・・」

魔力報告を受け、高町なのはが攻撃を受けていると報告され、自分の息子と義娘――と言ってもまだ予定ではあるが――とその使い魔、なのはの相棒を先行させたのだが・・・・

どうやら仲間が居たらしく、状況的に1対1の状況となった事、そのイレギュラーの実力は最低でもAAAランクはある、そして未知の術式の結界が張られている事により自分たちがその場に行けない事、
等と不運が重なりすぎていた―――

「解析を急いで!」

アースラのスタッフも全力で解析を行ってはいるが・・・

「エイミィ!」

「がんばって解析を急いでますけど・・!」

「まずいわね・・・!」

時間が無い、このままでは最悪のパターンになってしまうかもしれない。

(何か・・・何かあれば・・・!)

思考の中で蜘蛛の糸を手繰り寄せるが・・・何も、出ではこない――



[28558] 第一話:死神のお兄さん!?なのpart B
Name: ぺぷし◆05fbd726 ID:f22cd563
Date: 2011/06/26 02:45
※<<>>はデバイス音声とします。




side/鳴海町・結界内――

<<3・・・2・・・・1・・・1・・>>

高町なのはの愛機、レイジングハートが自らの最大の砲撃スターライトブレイカーのカウントを告げる。

「くっ・・ううう・・・!」

<<カウント・・0>>

「よし・・・!スターライトォォォ・・・!」

自分の魔力と周りに霧散している魔力を凝縮した魔力球を解き放さんとする、その瞬間――

「あぐっ!!?」

――女性の腕が、異空間を通して自分の胸を貫いていた。

「なのは!?」

「なのはぁ!?」

「う・・く・・・」

<<カウント・・・0・・・0・・>>

「スター・・ライトォォ・・・!」

苦痛が走ろうと、大切な友達を助ける為、再度撃とうとするが・・・

ズズッ・・・

「うあっ!」

ズンッ!!!

「っ!!?」

腕が少し戻り、再度突き抜ける、その手に魔力のコア――リンカーコア――をもって。

「くぅっ・・・!」

突き抜ける衝撃に、体も心も耐え切れず、無残にも、魔力球は霧散してしまう。

ドサッ、

<<マスター!!>>

「はっ・・はっ・・!」

「どうやらここまでみてーだな、だったら一思いに潰してやるよ!」

「なのはぁっ!!」

鉄槌の騎士ヴィータのハンマー――グラーフアイゼン――が迫る、ユーノやアルフ、フェイトが止めに行こうするが間に合わない、そしてヴィータが射程圏内に入る刹那―――






ガッシャアアアン!!!!







「な、なんだ!?」

突如結界が砕け、砕けた中心から誰かが落ちてくる。

「ベリアルエッジ!!」

剣を構えた瞬間に斜めに軌道変更し、ヴィータに迫る。

「んな!?この野郎!」

ガキィン!

「ガッチリ・・だ!」

「うわっ!?」

ブラッドサイスとグラーフアイゼンがかち合った瞬間、そのまま蹴りだしてヴィータを前にふっ飛ばし、自分は後ろに飛んで偶然にもなのはのいるビルの屋上に降り立つ。



ほんの少し時を戻し、side/ラグナ

部屋を抜け出し、メインブリッジと知らずラグナはたどり着き、ブリッジに映し出されたマルチタスクを見て状況をある程度理解する。

(なるほどな・・・今手が無くて詰んだ状況が・・・・)

「オイ、」

「!あなた・・・」

「俺をここのポイントに転移させろ、俺の剣はどこだ?」

「ちょっと!あなた急に来て何を・・!」

「あのガキ共死なせたくなきゃ早くしろ!」

「!」

「・・・・・」

「・・・わかりました、エイミィ転送の準備を。」

「ちょっ!?艦長!?」

「責任は私が持ちます、はいあなたの剣よ。」

どこからともなく現われてきた自分の剣を何事も無く受け取る。

「艦長!」

「準備ができたみたいよ、さ、あの術式の上に乗ってちょうだい。」

言われるまま、術式に乗り剣を構える。

「転送、開始!」

ヒュオン!と音がした瞬間には結界の中心点の遥か上空に・・つまり落下を始めた。

「いくぜ・・ブラッドカイン!」

一切あせらずにブレイブルーの機能の限定解除――ブラッドカイン――を行い、準備を始める。

「オオオオォォォォォッ!!!」

落下しながら魔力を右腕に集中させる、魔力が集中した右腕は異形の腕へと変化し、そして――

「砕けろぉっ!!!」

――落下の衝撃を利用した渾身の右腕の一撃が入る。

元来、魔力の類を食べ尽くすブレイブルーの機能を限定的にとはいえ、開放し変化した右腕に単純な物理現象によるパワーも加わったのだ、となれば――

ビシッ!ガッシャアアアン!!!!

――砕けない結界など、そうそうありはしないだろう。

そしてラグナはデータを確認した際にいなかった者=イレギュラーと判断してベリアルエッジで突撃し、イレギュラーとの距離を離すと同時に足場へ着地した――

――そして今へ至る。


(たしか・・・高町なのは・・だったか?)

自分の後ろにデータに載っていた少女、高町なのはを認識する。

「あなたは・・・いったい・・・・?」

「なんなんだよ・・・テメー・・・」

高町なのはと目の前の浮いているイレギュラーの少女にほぼ同時に聞かれる。

「・・・」

ラグナはチラリとなのはを一瞥してから、視線を目の前のイレギュラーに向け――

「俺か?俺は・・・」

―――死神だ。






話ごとによっては長さがバラバラになりそうです。

あとやはりバトル描写は難しい・・・頭の中では動いているのに文章にしようとすると難しい、改めて他の書き手様を凄いと思います。



[28558] 第一話:死神のお兄さん!?なのpart C
Name: ぺぷし◆05fbd726 ID:f22cd563
Date: 2011/06/26 23:44


side/ヴィータ

「死神・・?ふざけんな!」

突如として現われた男の言い草にイラつき、その手に力をこめて突っ込んでいく。

「ラケーテン・・・!」

「デッドスパイク!」

ガオン!


男が剣を振りかぶった瞬間、その軌道をなぞる様に怪物の頭の様なモノが現われ、
自分の進路を塞ぐ。

「このっ!」

ソレをアイゼンでかき消すが――

「おらぁっ!」

「ぐふっ!」

――男のヤクザキックが自分の鳩尾にモロに入る。

「くらいな!」

ズドッ!

「げふ!」

たて続きに男の攻撃が入る、すぐさま障壁を展開するが・・・

「カーネージシザー!」

ガキャキャッ!

「砕けろォッ!」

ゴガシャァァン!!!

「うああああっ!!」

障壁を無視するがごとく破壊され、攻撃をくらってしまう。

「くぅっ・・・!」

<ヴィータちゃん!撤退するわよ!>

「テメー・・・覚えとけよ!」

捨て言葉を残し、転移する――

(次あったら絶対ぶっ飛ばす!)

――リベンジを誓って




side/ラグナ

「なるほどな・・・」

あれからすぐさまリンディはなのはたち全員を収納し、
管理局本部へと移動した。
とりあえず自分には部屋が用意されていたのでこの世界における術式――
魔法をあらかた調べつくし、理解を終えた所だ。

「簡単に空を飛べるのはスゲエな・・・」

ただただ関心する、術式の方がこと戦闘において便利だが魔法はそれ以外なら術式より便利だ。

pipi

「あ?」

部屋にある呼び出しと書かれたモニターが現われる、内容は高町なのはが起きたので医療室へ集合との事。

「なんで俺まで・・・ッチ、しゃーねぇな・・・」




side/なのは

「魔法は大丈夫みたいだよ、しばらく使っちゃダメみたいだけど・・・」

「よかったね、なのは、大変な怪我じゃなくて・・・」

実に一年ぶりの友人たちとの会話に弾んでいる中、医療室のドアが開かれる。

「・・・・」

「あ・・・」

そこには、気を失う直前に現われた、死神がいた。

「なのはさん、彼が助けてくれた・・・」

「あっ!わ、私高町なのはです!助けていただいてありがとうございました!」

「いーって、礼を言われる事なんざしちゃいねぇよ・・・」

「あのっ!お名前は!」

「少しは落ち着けよ・・病み上がりなんだろ?」

「あう・・・」

矢次早に尋ねようとしたらたしなめられてしまった。

「ラグナ、」

「ふぇ?」

「ラグナ=ザ=ブラッドエッジだ、よろしくな嬢ちゃん。」

この時、なのはや周りのラグナに対しての印象は‘一見柄が悪いが根は優しい人’である。







side/はやて


ゴオオオォォォ・・・・!

――・・・ん!・・・・・ぁぁぁん!――

力が渦巻く何かに落ちていく男に叫ぶ、だが何を叫んでいるのかは解らない。

――・・・・たら・・も・・・!――

何か決意を固め――

バッ!

自分も飛び込んだ時、

「う・・・うううん・・・・?」

――夢から覚める。

「あかん・・・またリアルな夢や・・・・」

ここ最近連続して見る夢はやけにリアルなのだが内容は飛び飛びで
自分自身良く覚えておらず、きりがいい所で毎回起きるのだ。

「このままやと寝不足になってまう・・・・これも足のせいなんかな・・」

ネガティブ思考になってしまい、普通に考えればあり得ない事も疑ってしまうが・・・

「・・・はやてぇ~・・?」

隣で寝ていた大切な家族、ヴィータが起きる。

「ごめんなぁ、起こしてしもた?」

「ん~・・・」

ボフッ、と自分にもたれ掛かりすぐに寝てしまうヴィータを見て・・・

「ふふっ、明日も早いしさっさと寝よか。」

ネガティブな気分も、夢のことも何処かへといってしまったようだ・・そして自分も眠るが――


夢を見るのが足のせいというのもあながち気のせいでは無いだろう、


――そして闇の書から僅かにだが、剣気を感じるのも気のせいでは無い――




[28558] 第二話:ラグナの新居と英雄再誕!?なの
Name: ぺぷし◆05fbd726 ID:f22cd563
Date: 2011/06/28 08:38
side/ラグナ

「はぁ?アンタの所に?」

「えぇ~、あなたにも協力してほしいし・・・他に場所はないでしょう?」

「チッ・・・たしかにそうだけどよ・・・・」

今現在ラグナは管理局預かりの身の為一時的な寝泊り出来る場所を思案していたが、
リンディに自分達の家に来ないかと誘われたのだ。

「別に俺は協力するなんて・・・」

「あら?なら何故あの時助けてくれたのかしら?」

「ッチ・・・」

「それにあなたのデバイスを作ってる所だしね。」

「はぁ!?聞いてねぇぞ!!」

「今言ったんですもの。」

「だぁクソッ!ブラッドサイスがまたどっか行ったのもテメェの所為かよ!?」

「ちなみにデバイスにこれ位掛かります。」

「だぁから聞いt・・・なんじゃこりゃあ!!?」

0の位の数が七つもあるふざけた値段に驚愕する。

「無一文のあなたにすぐには払えないわよね?」

「俺は頼んでねぇぞ!こんなの無効だ!今すぐ返せ!」

「だったら艦長権限であなたを拘束します。」

「ふざけんな!横暴だ!」

「それに・・・その右腕の事もあります。」

「!」

「もし・・あなたがこの事件に協力していただけるなら、艦長権限を使ってでもその右腕の事は極秘にしましょう。」

(クッ・・・選択肢が一つしか無ぇじゃねぇかよ!)

「・・・本当に出来るんだな?」

「ええ、もちろん。」

「・・・・だぁーっ!わぁったよ!」

「あら!ありがとうね!」

嵌められた―――ラグナの心境はその思い一つである。



side/ラグナ

「・・・・」

今現在鳴海町のマンションの一室のベランダにて黄昏ているラグナ。

「空をゆっくり見るのなんざ久しぶりだな・・・」

「あの・・・」

「ああ?」

呼びかけられ、声がした方に振り向けばフェイトたちがいた。

「私、フェイト=テスタロッサです。」

「アタシはアルフ、フェイトの使い魔だよ。」

「僕はクロノ・ハラオウン、ラグナさん、これからよろしくおねがいします。」

「ラグナでいいぜ、敬語も硬っ苦しいから気楽にしてくれよ。」

「そうか?ならよろしく頼むよ。」

「よろしくね!」

「よろしくお願いします、ラグナ。」

「おう、」

(にしても・・・あのカルルって奴と同じくらいじゃねぇか?)

まだまだの目の前の少年少女のまだ抜けててはいない子供の雰囲気を確認し、一つの思いを決める。

――柄じゃねぇが、俺がしっかりしなくちゃな・・・








side/シグナム

「くっ・・・!」

「ギャオオオオオン!!!!」

今現在シグナムは魔力回収に来ており、原生生物と戦っているのだが・・・

「レヴァンティン!」

<<シュランゲフォルム!>>

「はぁっ!」

「ギャオオオオオン!!」

ゴババァァァァン!!!

「くぅっ!」

体が炎そのもので出来ており、炎変換資質である自分とは相性がひたすら悪い。

(流石に竜種・・それも炎、流石にキツイな・・・だが・・・)

「私は守護騎士・・烈火の将!シグナム!主の為にも・・・負けられんのだ!」

逆境において心を奮い立たせる、その瞬間――

「ゴアアアアア!!!」

ビュビュオン!バシィッ!

「何!?」

まったく別種の竜が突如後ろに現われ、その触手に捕らえられる。

(二匹でペアか・・!不覚・・・!)

ギリリィッ!!!

「あああああっ!!」

「ギャオオオオ・・・!!!」

炎竜が体を細く、槍状に形を変える。

(ここまで・・・なのか・・!)

「ギャオオオオ!」

炎竜がシグナムを貫かんと勢い迫る。

(すみません・・・主はやて・・・!!!)

ここまでと悟って諦めた瞬間――

<<障壁展開>>

ガギィィィィン!

「ゴアッ!?」

「何!?」

闇の書が障壁を展開し、間に憚る。

<<障壁開放>>

バシュウッ!

「ギィッ!」

「ゴアッ!」

ブチッ!

「ふッ!」

今度は障壁を開放し、炎竜と片方の竜を離れさせる、その際に触手も千切れた為
シグナムも開放され闇の書の傍らに降り立つ。

「一体何が・・・」

<<開放>>

ザァァァァァ・・・!!!

「何!?クッ!?」

「ギャオオオ!?」

「ゴアアアア!?」

闇の書から氷点下クラスの冷気が開放され、辺り一帯の灼熱の砂漠が瞬く間に氷の世界となる。

そして闇の書から何かが召喚される。

シュウウウ・・・

凍った砂漠は瞬間に元に戻り、大量の蒸気が辺りを包む。

「く・・む・・・?」

シグナムは蒸気の中、その中心、闇の書の傍らに誰かがいる事を認識する。

サァァァァァ・・・・

蒸気が晴れ、中心に佇むは・・・・

「・・・・・」

金髪の青いバリアジャケットの様な服を着た男がいた。

「・・・」

男はキョロキョロと辺りを見渡し、そしてシグナムと目が合う。

「・・・・、」

警戒するシグナムに男が語りかける。

「女、答えろ。」

――ここは、何処だ?




[28558] 第三話:烈火vs氷刃!?なの
Name: ぺぷし◆05fbd726 ID:f22cd563
Date: 2011/07/04 04:58
side/ジン

あの時、力の渦巻く空間に落ちていく自分の兄を追いかけようと自分も飛び込んだ。

そして長く長く眠っていたかのような感覚を経て、気付いたら砂漠にいた。

(・・・なんだ?ここは・・・・)

砂漠がまだ存在するという事は知ってはいたが、まさかそこまで転移したのだろうか?

(いや・・魔素が無い・・・!?)

もし此処が階層都市の外だとすれば、そうでなくともありえない事態に困惑する。

(あの空間に兄さんを追いかけようと飛び降りて・・・)

思案しながら周りを見渡す、自分に殺気を向ける炎竜と触手の生えた竜、そして殺気ではないが警戒をしている女が一人。

(・・ちょうど良い。)

「女、答えろ、此処は何処だ?」




side/シグナム

「女、答えろ、此処は何処だ?」

突如として闇の書から表れ、問いを投げかける男。

「・・・貴様は何者だ?」

警戒を解かず質問を返すシグナム。

「僕が聞いている、貴様、此処は何処だ。」

実に傲慢ながらも譲らぬ男の問い、しかしその振る舞いから判る事が一つ。

(強い・・・それもかなり・・!)

奇しくも同じ剣士だからだろうか、その強さを感じ取る。

「質問に答えろ、女・・!」

答えが返ってこないからだろうかイラついている男、その敵意を感じたからだろうか。

「ギャオオオオオン!!!」

男に向かい突撃する炎竜。

「!」

とっさに反応し男を助けようと動くシグナムであったが――

「ギャオオオン!?」

「何!?」

突如として氷の柱が現われ炎竜を阻む、そして柱が砕け・・・

「身の程も判らぬ雑魚が・・・消えろ。」

――アークエネミーが一つ、氷剣・ユキアネサを持って炎竜に対峙する男。

「煉獄・・・氷夜・・!!」

(マズい!)

長年の勘が体を自動的に動かし、上空へと退避する、その刹那――

ドカン!と剣を地に突き刺した瞬間にはそこは白き世界が出来上がっていた。

「バカな・・・!?」

到底あり得ぬ光景に目を奪われるシグナム、砂漠と凍った砂漠との境界はまるで別世界であるかのような情景を見せ、
凍り付いてしまった竜たちはその氷がまるで華の如く形作っている。

「フン・・・」

剣を鞘にしまい、凍っていた竜たちが砕ける。

「相手にもならないな・・・・」

砕けた氷がまるで当然だと言わんがばかりにその世界を、その男を煌かせる。

「・・・っ!」

何故だろうか?自分も苦戦した竜たちを一瞬で葬った男を見て――

(戦いたい!)

魔力を闇の書に蒐集させる、今一番に大事な事よりも優先して、

――好戦家である、シグナムにはもはやその思いしかなくなる。





side/ジン

(やはり魔素を感じない・・・)

本来魔素により凶暴になった魔獣たちは死んでしまえばその体に残留していた魔素を空気中に散布するのだが・・・

(・・いったい・・・?)

ふと、自分に向けられる闘気に気がつく。

「何・・?」

その気の主はさきほどの女であったが、空に浮いているではないか。

「・・・・・」

女は自分の前に降り立ってくる。

「我が名は守護騎士、烈火の将シグナム・・・一つ手合わせを願いたい!」

その体に、その剣に、その瞳に信念を滾らせ、構える女。

「・・・・、」

(なんだ・・その目は・・・)

その目を見たジンは言い様の無い感覚に戸惑いを隠せない。

「っぐぅ!うぁぁぁぁぁっ!?」

「どうした!?大丈夫か!?」

「僕を・・・僕を掻き乱すな女ぁぁぁぁぁっ!!!」

殺気を漲らせ、叫ぶ男、それを見てシグナムは――

(様子が変わった・・それと同時にあの剣から感じる魔力・・・間違いない、あの剣の所為で・・・)

――歴戦の経験からか、ユキアネサを見抜いていた。






side/第16管理外無人世界・砂漠

「死ね・・・!」

まずは走って切りかかるジン。

「烈火の将、シグナム・・・推して参る!」

「はあぁっ!」

「レヴァンティン!」

<<ヤボール!>>

ガギン!と剣と剣がぶつかり合い、両者同時に離れる。

「氷蓮槍!」

ジンは大量の氷蓮槍を発射する。

「はあっ!」

ジンの氷蓮槍の弾幕をシグナムはレヴァンティンのシュランゲフォルムで全て叩き落す。

その隙を見抜いてか。

「霧槍突晶撃!」

「くっ!」

氷の槍に乗り、追加の剣戟でシグナムをひるませて――

「吹雪!」

「ふっ!」

「何!?」

ジンの居合いの一つ、吹雪で仕留めようとしたのだが、

シグナムはジンの吹雪をレヴァンティンの鞘で受け止め――

「はあああっ!!!」

「ぐあああっ!!?」

――魔力を固めたレヴァンティンでの居合いがジンに入る。

「やるな・・・女・・!」

「貴殿こそ・・・!」

ジンとシグナムは互いが強敵である事を認め、動く。

(・・・この女、強い・・・!)

(やはり強い・・・!)

((ならば短期決戦でけりをつける!!))

両者互いに思いがシンクロし、動き出す。

「豪刃一閃!」

シグナムは真直ぐな袈裟斬りを繰り出し

「氷連双!」

ジンは居合いで見切って受け流すが

「切り裂けレヴァンティン!」

レヴァンティンがシュランゲフォルムとなり、さらに斬りかかるが

「舞え!」

シグナムの大量の斬撃を最小限の二回の居合いで止めるジン。

互いに距離が縮まった所で互いに大技を繰り出す両者。

「紫電・・・一閃!!!」

「凍牙氷刃!!!」

紫電による一閃と冷気による斬撃がぶつかり爆発する、その際に両者とも遠距離攻撃を繰り出す。

「レヴァンティン!」

<<ボーゲンフォルム!>>

「翔けよ隼!」

レヴァンティンが鞘とくっ付いて弓のようになり、そこから魔力窮を放つ。

「氷翼月鳴!」

ジンは氷の弓矢を瞬時に生成し、それを放つ。

互いの必殺技がぶつかり合い、相殺され、大気が震える。

両者対峙し、同時に走り出す。

「はあっ!」

シグナムが上段に振りかぶる瞬間――

「ふん・・」

――赤い陣を出すジン、その陣にシグナムの斬撃が当たった瞬間。

「がはっ!?」

「虚空刃・・・雪風。」

その当身により、一瞬だがシグナムの時が止まる、それを居合いで攻撃する。

(バカな・・!今の一瞬でどうやって・・!?)

ジンの当身の斬撃がシグナムを切り裂いた、その事実を認識出来てはいない。

(これで終わりだ・・・)

ジンは自分の確かな手応えに勝ちを確信する、だからこそ気付けなかった。

「豪・・竜、一閃・・・!」

「なっ!?ぐはぁぁぁっ!!!」

ジンが勝ったと思ったその瞬間、その隙を狙って最後の一撃を叩き込むシグナム。

「がぁっ・・・くっ・・」

(くそ・・・まだ動けたのか・・・)

「私の・・か・・・」

両者同時に倒れこみ、気を失ってしまう。



――かくして烈火と氷刃の戦いは終わる、勝者を出さずして――




[28558] 第四話:英雄と管理局の影と執事さん!?なの
Name: ぺぷし◆05fbd726 ID:f22cd563
Date: 2011/07/04 04:28
side/シグナム

「うっ・・・?」

意識を取り戻す、どうやら気を失っていたらしい。

「ここは・・・?」

「やぁっと起きたわね、シグナム?」

「シャマル?ならばここは・・・そうだ!私は!」

「はいはい、落ち着いて、それについて聞きたいんだから。」

「む・・」

そうして部屋を移動する、その部屋には。

「キサラギさんカッコええなぁ、ハーフなん?」

「僕は純粋なイギリス人だ。」

「でも日本語上手やね?」

「・・・・」

自分の主と質問責めにされたのかうんざりな顔をしている男が居た。

(あの男・・・!)

「む・・貴様は・・」

「あっ、気ぃ付いた?シグナム、あかんよぉ~サウナで我慢比べなんて~」

<そういう事にしてるから合わせてシグナム。>

「え・・あ、すいません主・・・」

「まったく・・キサラギさんもすんませんなぁ。」

「・・構わない、僕も好きでしたことだからな。」

(・・?どういうつもりだ・・・)

話を合わせてあるのか、そもそも何故ここに居るのかと思案した所で――

「さてはやてちゃん、お風呂先に入っちゃいましょっか!」

「そやな、キサラギさん、今日は泊まってってくださいなお詫びと言ったらアレかもしれへんけど・・・」

「・・・そうだな、言葉に甘えるとしよう。」

「それじゃお風呂あがったらご飯すぐに作りますさかいに・・・ゆっくりしてくださいね。」

――そうして出て行くはやてとシャマル、その際に。

<話があるみたいだから、私はお風呂場から聞かせてもらうわ。>

<話?>

シャマルとはやてが出て行き、男を見る。

「・・・まだ名前を言っていなかったな、僕はジン・キサラギだ。」

「私はシグナム、それで話とは・・」

「・・・階層都市、という言葉に聞き覚えは?」

「・・すまないが無いな。」

「そうか・・・やっぱり。」

やはり・・・といった顔をするジン、ここでシグナムに得心がいく。

「・・なるほど、次元漂流者か。」

「次元・・?なんだそれは?」

シグナムは次元漂流者や魔法について出来る限りジンに伝えた。




side/ジン

(別世界・・・)

自分は別世界に来た、と簡単には納得が出来ていない。

(ならば兄さんもこの世界にいるのかな・・・)

兄を追いかける為だけに空間の境界にまで飛び込んだジン、兄の事を思い浮かべると――

(なんだろうか・・何かが違うような・・・)

――兄・ラグナに対しての気持ちが靄がかかっている感覚になる。

「・・私が知る全てはこんなところだ、キサラギ。」

「・・・そうか、礼を言う。」

<キサラギさんの世界はどんな感じだったんですか?>

「何だ!?頭に声が・・!」

「それが念話だ、念じる様にやってみろ。」

<・・こんな感じか?>

<はい、私はシャマルです、後で皆とちゃんと自己紹介しますねキサラギさん。>

<ああ・・・>

(なるほど・・・これは便利だな。)

魔法の便利性を感じ、一人納得するジン。

<・・・僕がいた世界の話だったな、まずは・・・>

そうして語りだす、黒き獣、ブラッドエッジ、六英雄、イカルガの大戦・・・自分の世界の事を・・・



side/シグナム

(英雄・・・ならばその強さも納得する、だが・・・)

ジンの世界の話を聞き、ジンの強さに納得する、だが最大の疑問が残っている。

「キサラギよ、何故お前は闇の書から・・・?」

「・・・僕は兄さんを追いかけて境界に飛び込んだ、そして気付いたらあそこに居たんだ、判る訳無い。」

「そうか・・・」

(何故闇の書から・・・駄目だ、まったく理解出来ん。)

「一つ聞きたい事がある、シグナム。」

「なんだキサラギ?」

「何故、魔力を集めている?何故あの八神はやてに隠している?」

「!」

「さっきのシャマルの話の切り替え、行動のタイミング・・・まるで話を聞かれたらまずいといった様子だったからな。」

(そこまであの短い時間で・・・英雄なだけはある。)

鋭い洞察力にただただ、英雄という肩書きに感服する。

「そうだ、主はやては心優しいお方だからな・・・」

シグナムは全てを語る、闇の書の守護騎士が八神はやてに出会い、その心の変化、八神はやてという主、
そしてはやてを蝕む病の為に闇の書を完成せねばならない事を・・・・



side/ジン

(あの娘から視えた黒の一点・・・それが病の原因か?)

ジンはシグナムの話を聞き、一つの考えを浮かべる。

元来ジンは小さい頃から黒い線や点、元々その色ではない黒に染まったモノを見ることができた。

その黒はマガツと名付けた、なぜならどの黒も災厄の類に関するモノばかりであった為だからだ。

(あの娘の黒は災厄の証・・・ならばあの娘を斬るのか?)

黒を浄化する為、斬る、今まで行ってきた事をあの娘に行う。

酷く不快な思いがジンを支配する。

(・・何故だ!?何故こんなにも不快になる!?僕は今まで行ってきたじゃないか!)

だが、どうしても行う気になれない。

(・・・もしかして、僕は・・・)

「シグナム。」

「どうした、キサラギ?」

「・・・僕も、手伝うとしよう。」

「!?何を言っている!!?」

「あくまで交換条件だ、僕は行き場所も無い、だから此処で住まわせてくれ。」

「・・・それを決めるのは私ではない、それに少し無茶苦茶だ。」

「無茶苦茶?僕には今出来る事はこれぐらいしかないからな、あくまでそれだけだ。」

「・・・っふ。」

何故だかジンの顔を見て笑うシグナム。

「主に相談しよう、結果はどうあれ細かい話はそれからだ。」

「感謝する、シグナム。」

(これでいい・・・あの娘は優しいのは本当だ、僕はあの娘の優しさを利用するだけ、
絶対にあの娘を助けたいからじゃない・・・!)

ただ純粋にあの娘を救いたいのでは?アリエナイと誤魔化す、そうでなければ今まで切り捨ててきた者たちに
許されないのだから。

これが、この行動が今までの人々への償いになる訳ではない、ならば何故行おうとするのだろうか?

きっと、その心が真の英雄に近づいているからなのだろう、彼自身秩序の力に目覚めかけているからだろう。

――その変化に気付いているのは、ユキアネサのみ――



side/??????

<リンディ・ハラオウン提督はやってくれたようだな>

<しかしあの条件では無茶苦茶では?>

<蒼の魔道書は確実に手中に収めねばならぬ、幸い彼奴は気付いてはおらぬ>

<まだ鍵は全て揃ってはいない、真の蒼、英雄たち、鳳翼・烈天上、そして紺碧・・・>

<全ての鍵はもう少し・・・>

<ふふふ・・・>

深淵の中で語るは三つの培養ポッド、その中身は脳であった。

その中心には――

「・・・オリジナルの可能性、それをこの手で・・・」

――ユウキ=テルミに似た男が一人、佇んでいた。




side/すずか

(誰か・・・!お姉ちゃん・・・!)

今現在、月村すずかは誘拐され、廃ビルの一角に監禁されていた。

理由は単純、自分は夜の一族と呼ばれる吸血鬼の末裔なのだから。

「どうだ?交渉は?」

「駄目だな、時間がかかってやがる。」

すずかが監禁されている部屋には男が三人、おそらくまだ他にもいるのだろう。

「なあ、売り飛ばすか、殺す前に、ヤっちまわねえか?」

「!?」

その中の一人が下卑た笑みと目でこちらを見る。

「ロリコンかてめえは!」

「まあいいだろ、あんま激しくしなきゃ。」

「だよなー、どれどれ・・・」

「やっ・・やめてください!」

「おっと、暴れんじゃねぇよ・・・!」

大人しくしないすずかに男の軽くだがパンチが腹に入る。

「うぐっ!げほっ!げほっ!!!」

だがまだすずかは吸血鬼とはいえ女の子、その軽い体に入る重い苦痛だけで心が折れる。

「へへへ・・暴れなきゃ少しは優しくしてやっからよ・・!」

そう言って男はスカートに手をかける。

(誰か・・・!誰か・・!!)

強く強く純粋に助けを願う、その瞬間であった。

「うおっ!?」

バチィッ!と男が弾かれる、その原因はすずかの前の空間が歪んでいるからだ。

「え・・・?」

(な・・何?どうなってるの?)

歪んだ空間が収束を始め、終わった瞬間には、そこに老人がいた。

老人がいきなり現われた、しかもその老人は背丈は約190ほど、なぜかアンティークの紅茶セットにスコーンを持っており、
たんたんとしたその身に老人とは思えぬ風格を感じさせる、その状況が男たちとすずかたちを酷く混乱させる。

「てっ・・・てめえ!何モンだぁ!!?」






side/ヴァルケンハイン

「てっ・・・てめえ!何モンだぁ!!?」

目の前の男たちの一人が自分に向かって叫ぶ。

(この状況はいったい・・・いやはや、まいりましたな。)

たしか自分は日課の薔薇の水遣りを終え、レイチェル様のスコーンと紅茶入れに行こうとした所で
事情干渉の様な感覚がしたと思った瞬間にはこの状況である。

(わたくしめからすれば貴様たちのほうが何者だと聞きたいのだが・・・)

とりあえず状況を把握する、密室に男が三人と、レイチェル様に比べれば薄いが・・・吸血鬼として感じられる少女が一人。

だがその少女は恐怖の涙を流している、これらの符号が表すことは一つ・・・!

「まったく・・・下種な者共だ。」

「な・・なんだと!?」

「てめえふざけやがってこのジジイ!」

男の一人が襲い掛かる、だが――

「ふん。」

ゴッ!という音がした瞬間にはその男が壁に叩き付けられていた。

「なっ・・!蹴っただけで・・・!?」

「チクショウ!アレを呼ぶぞ!」

男たちが部屋を出て行く。

(魔素を感じぬと思えば・・・ただの人ではないか・・)

クルリと回り、少女の方を向く、ビクついたので驚かせてしまったらしい。

「安心してくださいお嬢さん、わたくしめは貴女に危害は加えません。」

その言葉を聞いてか多少安堵の表情を浮かべる少女。

(吸血鬼とはいえ、こんなにも小さい少女を攫うとは・・・)

「あ、あの貴方は・・・?」

少女が自分に話し掛ける、その瞬間――

「ここまでだぜクソジジイ!!!」

先ほどの男たちが大量の自動人形を引き連れて部屋に戻ってきた。

「ひっ・・・!」

「吸血鬼のガキ!てめえなら分かるよな!自動人形の恐ろしさをよお!」

「てめえらココでブチコロシだあ!!!」

大量の自動人形に部屋を囲まれ、すずかは・・・

(もう駄目・・・なんだ・・・)

絶望に包まれる、しかし・・・・

「少々持っていただけますかな?」

「えっ・・?」

老人は、飄々としている。

「そんな!無理ですよ!あんなに自動人形がいたら殺されちゃいます!!!」

「ふふふ・・・ご安心ください、わたくしはあの様な玩具を持ってこられても相手になりませんので・・・」

ティーセットごとをすずかに預け、男たちの方に向き直る。

「さて、またせたな下種共・・・!」

「こ、こいつ狂ってんのか!?」

「いくらなんでも無理だろうが!やっちまえ!」

「いざ参る・・・!」




side/すずか

「すごい・・・」

すずかの目の前には、組み伏せられた男たちと無力化された自動人形の山が出来ていた。

老人は圧倒的な戦闘力で自動人形や応援に駆け付けた男の仲間たちを制圧したのだ。

(いったい・・・何者なんだろう・・・?)

怪我を負っていないか老人を見る。

「いやはや・・・年は取ったものですな、時間が掛かってしまいました。」

余裕綽々といった感じで笑っている老人、そこでグギュウ、と腹の虫が鳴ってしまう。

「はわわわわ・・・////」

「おやおや、安心なされたかお腹が催促されておりますな。」

顔から火が出る様に恥ずかしい、老人も微笑んでいる。

「あっ!あのっ!////」

「冷めてしまってはいますが紅茶とスコーンは如何ですかな?お嬢さん。」

そうしてティーセットに手を掛け、流れる様に美しい動作で紅茶を入れる、ほんのりとしたヒップローズの香り。

そしてスコーンの香ばしい匂いがすずかの鼻を刺激する。

「さ、どうぞ。」

「い、いたただきます・・・////」

まずは紅茶を一口、薔薇の香りが体を包み、実に気分を落ち着かせる。

次にスコーンを一口、さっくりした食感、そして香ばしさがこの紅茶に合い、共々絶品である。

「おいしい・・・」

これほどの物はいままで味わったことが無い。

「お褒めに預かり、光栄で御座います。」

実に満足そうな表情で微笑む老人。

「あの・・・貴方はいったい・・・」

「これはこれは・・・わたくしとしたことが失礼いたしました、僭越ながら自己紹介させていただきます――」

――わたくし、ヴァルケンハイン=R=ヘルシングと申します――


こうして、鳴海町に、吸血鬼の少女の前に――

――藍錆の俊狼が降り立った――




[28558] 第五話:兄弟の再会、そして新たなる敵!?なの
Name: ぺぷし◆05fbd726 ID:f22cd563
Date: 2011/07/07 22:19
side/アースラ・訓練室

「おぉら!」

「くっ!」

今現在ラグナはフェイトと模擬戦を行っている。

「デッドスパイク!」

「プラズマランサー!」

ラグナのデッドスパイクに対してフェイトはプラズマランサーの弾幕で相殺させる。

「やあっ!」

フェイトはすぐさま斬りかかるが、

「インフェルノディバイダー!」

「くぅっ!?」

ラグナはそれに対してカウンターを行う。

(そんな!あの状態からカウンターできるなんて!!)

「ぶっ飛び・・な!」

「きゃあっ!!」

ラグナの身体能力の異常さに驚いている所を間髪いれず、ラグナはフェイトを壁へとぶっ飛ばす。

(空中に退避してもまた落とされる・・・なら!)

フェイトは障壁を展開し、フォトンランサーによるカウンターを狙うが・・・

(その手は悪くねぇが・・・正解じゃねえ!)

「カーネージシザー!」

「そんな!?」

そうすると読み、カーネージシザーによって一気に距離を詰めて障壁に斬りかかる。

障壁とブラッドサイスがギギギ、と均衡を保とうとするが・・・

「砕けな!」

「うっ!」

ゴシャアン!と障壁が砕け散る、ラグナはすぐさま距離を詰めて――

「終わり・・だな。」

「うぅ・・・負けた・・」

――フェイトの喉元にブラッドサイスを突きつけ、模擬戦はラグナの勝利で幕を閉じる。





side/ラグナ

「ま・・・こんな感じならあんま変わんねぇな・・」

なのは、クロノ、フェイトと連続して魔道士との戦いを感じ、出した結論は大丈夫だろうという結論に達した。

(にしても見た目にそぐわねぇ力だよなぁ・・・あのクソガキを思い出しちまったぜ。)

何かとあれば自分を言われも無い悪態をひたすら付いてくる自分の師をこよなく愛する――まさに魔法少女を思い出していた。

(まあ天と地ほどの差があるけどな・・・)

主に性格面においてだが・・・

「ラグナさーん。」

「おう、何だなのは?」

「いえ、カードリッジシステムのテストに付き合ってもらってお礼に・・・」

「あー、構わねぇぜ別に・・それに気楽に話してくれや。」

何気無い会話をしているその瞬間――鳴り響くサイレン。

「ラグナさん!」

「おうっ!」





side/アースラ・メインブリッジ

状況は今現在、第93管理外世界にて闇の書の守護騎士たちの反応を感知、場所を補足した状況である。

「どうやら二人組と三人組で別れているみたいね・・・」

「艦長、守護騎士たちは四人組では?」

「イレギュラー・・・もしくは闇の書の主ね。」

可能性を一つ思案し、結論を出すリンディ。

「二人組の方をなのはさんとユーノくんにアルフさん、三人組の方をクロノとフェイトさんとラグナさんにぶつけます。」

「はい!」

「それじゃ、転移するわよ。」

六人が陣に乗り、転移する――この時、何かが紛れ込んだのは誰も気付いていない。







side/第93管理外世界・平野

「ふむ、こんなものか・・・・」

シグナムは原生生物から蒐集を終え、一息ついていた、その時――

「キョオオオオオッ!!!」

「何!?」

――シグナムの背後から巨大なデザートワームが襲い掛かる。

「豪刃爆閃!!!」

そのまま爆発する様な魔力を込めた斬撃で真直ぐ切り裂くが・・・

デザートワームの断面から大量のワームが現われ、シグナムを取り囲む。

「数が多い・・・きびしいな・・・・」

この数相手にどう立ち回ろうかと思案した瞬間――

「プラズマ・・・ランサー!!!」

「ヘルズ・・・ファング!!!」

「「キシャアアアッ!!?」」

突如何者かによる攻撃により、一掃される。

「ったくよ・・・敵を助けるなんざ良く考え付くな・・・・」

「なんだかんだでラグナも賛同したじゃない。」

「お前は・・テスタロッサ。」

シグナムを助けたのはラグナとフェイトであった、そして二組は対峙しあう。

「助けてくれた事は礼を言う、だが・・・私にはやらねばならぬ事がある。」

「事情を話せないんですか?きっと・・・手伝える。」

「すまないがお前たちの助けはいらないのでな・・・」

「話し合わなきゃ・・・分かり合えない・・!」

レヴァンティンとバルディッシュを構え、睨みあう二人。

「っち・・・オイ、俺も忘れんじゃ・・・」

その瞬間、氷で出来た剣がラグナを襲う。

「うおっ!この剣は・・・!!」

間一髪で避け、ある事実に気付く、この剣の攻撃を知っていることに。

「・・・久しぶりだね、兄さん。」

「ジン・・・・!」

今この瞬間、異邦の地、異世界にて兄弟は再会する――







side/ラグナ・ジン~ Under Heaven Destruction ~

兄弟は対峙し、問いかける。

「・・・てめぇも来てたのかよ、ジン・・」

「・・ああ、兄さんを追いかけて来たんだ・・・」

「・・・・色々聞きてぇ事がある、だがその前に・・・またお前は敵なんだな?」

「・・・そうだね、僕も兄さんに色々言いたい事があるけれど・・・敵だよ、兄さん。」

「・・・なら、一遍テメエをぶった切る!」

「出来るものなら・・・やってみせなよ兄さん!」

「ジィィィィィィィィィン!!!!!」

「兄さぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!」

互いに咆哮し、ぶつかり合う。

「雪華塵!!!」

連続居合い斬りをラグナに向け、ユキアネサを振るうジン。

「おおおおっ!!!」

対してラグナは意に介する事なくジンにブラッドサイスを振るうラグナ。

互いに切り付けあい、互いに傷付いていく事を意識せず、ただただ剣を振るう。

「凍牙・・・!」

「カーネージ・・・!」

「氷刃!!!」

「シザー!!!」

互いに一撃ずつ相殺し、一撃ずつもらう。

「ぐおあああっ!!!!」

「ぐああああっ!!!!」

そして互いに膝を着く、しかしその眼光は互いを離さない。

(ジンの野郎・・・強くなって・・・・いや、あれが本来の・・・)

(やっぱり兄さんは強い・・・だけど・・・!)

「「うおおぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」」

両者同時に走り、ぶつかり合う――





――その瞬間であった。

<<ヒャーッ、ギヒィヒャハヒャハヒャハハハハ!!!!>>

第93管理外世界に、天使でも悪魔でもない、神でもない者の産声が響き渡る。

ズズズ、とそれは鼓動する、歪んだ空間から炎が集まる、そしてその炎は人の形を成していく。

<<アーアー・・・えへん、こんな感じかな?火ャハハ!」




side/シグナム

「なんだ・・・アレは・・!?」

突如として現われた赤い男、その服や髪に瞳まで肌を除いて全てが赤い男に驚愕する。

「火ャハハハ!テメー等サンキューな!!いい感じに戦ってくれたからオドがたっぷり吸収できたぜ、火火火・・・!」

「オド・・・?なんだソレは!」

「テメー等が魔力って呼んでるカスが変異したモノ・・・だったっけかなあ?火火ッ!あんま覚えちゃいねぇよ!」

「貴方は一体・・・何者ですか・・・!」

フェイトが男に向かい、問い尋ねる、そして男は――

「オッレ様はー・・・そうだな、ヒノボシってんだ、まあよろしくは飛ばして・・・」

ヒノボシの右手に小さな炎球が出来、

「そんじゃあな、塵屑共。」

それを投げつける、瞬間、世界が赤くそまり――




side/ヒノボシ

「オイオイィ・・・塵屑にもなりやしねぇゴミかよぉ・・・火火ッ!」

ヒノボシの視線の先、ラグナたちがいた場所は今現在巨大なクレーターとなり、真紅に染まっている。

「まぁいいかなぁ、げぇむには一番乗りだしな、火ャハハッ!」

するとその世界の原生生物たちが集まってくる。

「あーん?ムシケラちゃんたちは灯りに誘われちゃったかなぁん?火火火・・・!」

炎の様にオーラが揺らめく、悪意と殺気と共に――

「んじゃ・・・ぜーんぶまるごとウェルダン決定だな!火ャーヒャハヒャハハハハハッ!!!!」



ヒノボシが生物たちを世界丸ごと焼き尽くそうと動いた時、影が揺らめく。


その影は、人の大きさでは、形ではなかった――



[28558] 第六話:星の意思とげぇむ、そしてしろいお侍さん!?なの
Name: ぺぷし◆05fbd726 ID:f22cd563
Date: 2011/07/13 10:21

side/???

「っ・・・ここは・・・・?」

あの時視界が赤一色に染まった瞬間、意識がホワイトアウトしたラグナ。

いざ目覚めてみれば何も無い、まっさらな空間にいるではないか。

「ううん・・・」

「おい、フェイト、起きろ。」

「あれ・・ラグナ?」

「寝ぼけてんじゃねえよ・・・」

どうやらフェイトもいる、良く見ればシグナムとジンも倒れている。

「くっ・・・ココは・・・・?」

「ジン・・・」

「兄さん・・」

「く・・・テスタロッサか・・・?」

「シグナム、貴女も・・」

全員が起きたその瞬間――

<<どうやら全員起きた様だね。>>

頭の中に響く声、そしてラグナたちの前に真っ白な男が居た。

(いつの間に!?まったく気付かなかったぞ・・・!)

(なんだこの男・・・ユキアネサが反応している・・・!)

<<そう身構えないでくれ、おちおち話が出来ないよ、ラグナ=ザ=ブラッドエッジ
ジン=キサラギ、フェイト=テスタロッサ、シグナム。>>

(何で私たちの名前を!?)

<<知っているのか?簡単な話さ。>>

<<私の名前は・・THE・EARTH、いわゆる地球意思だよ。>>

「・・・ハァァァァァァッ!!?」

地球意思、それはこの星の意思、すなわち・・・神様という事になるであろう。

<<彼、The blazing MARSの攻撃から間一髪、私の空間に引き入れる事が間に合ってよかったよ。>>

どうやら助けられたらしい、そして頭を下げる。

<<君たちにはまず謝なければなるまいね、すまない、どうやらげぇむが再開してしまったらしい>>

「げぇむ・・・何だソレは?」

<<そうだね、まずは昔話をしなければなるまいね・・・・>>

――かつて、この太陽系の10の星の大いなる力に選ばれた十人の人間がいた

  だが一人を除いて全ては悪へと染まる、星の力を私欲の為に振るう九人の星の戦士

  地球の意思に選ばれた人間は戦い、星の戦士たちを消滅させる
  
  その身をも犠牲として――

「それがアンタか・・・それでげぇむって何なんだよ?」

<<げぇむとはただただ自分たちの力を使い、誰が一番酷い事をできたか?それだけさ。>>

「そんな・・・!」

<<子供が生まれたばかりの家族の目の前で子供を殺したり・・・ひたすら虐殺したりね。>>

「ふざけんな・・・!舐めやがって!」

「外道どもが・・・!」

ラグナとシグナムは激昂する、そのげぇむ等という暴虐な振る舞いに。

ここでジンが疑問を投げかける。

「一つ聞きたい、奴らはどうやって復活した?」

<<彼らはオドを吸収してソーマを生成し、変換して復活するらしい。>>

「オドって何なんですか・・・?」

<<オド・・・いわば私たちの様なまったく別の存在の専用の魔力といったところかな。>>

「ソレを使って復活してる訳かよ・・・」

<<彼らが復活するのも問題だが・・・太陽の意思だけは復活させてはいけない・・・>>

「太陽の・・・なんだ!?」

突如として世界が崩れていく、均衡が崩壊するように。

<<すまない・・・時間が来た様だ・・・・>>

「薄れて・・!?」

地球意思がだんだんと薄れていく。

<<君・・たちには・・・オドを使えるように・・・し・・・>>

「オイ!まだ消えんじゃねぇよ!!!」

<<ま・・・・て・・・・べ・・・・の・・・・・・>>

何かを言い残すが聞き取れず、消えていく。

「何だ・・光が・・・くっ!」

光が世界を、ラグナたちを包み込む、そこでラグナの意識は途絶えた――





side/アースラ

「・・・報告結果は?」

リンディが悲痛な顔をしまいとしながら聞く。

「あの管理外世界の大半を占めていた砂漠の約3/4が溶岩と化し、原生生物はすべて全滅・・・事実上世界が死に・・・」

謎の赤い男――ヒノボシが叩き出した被害は甚大等と言う言葉ではすまないほどになってしまったのである。

「・・・なのはさんの様子は?」

「大分塞ぎ込んでます・・・クロノくんも・・・・」

ヒノボシが現われ、交戦を行ったが相手にならず、間一髪で退避できたのだが・・・・

今現在、ラグナ、フェイトはMIA扱いなのである。

(アルフが生きてるから無事なのだろうけど・・・・一体何所に・・・・)






side/すずか

「ふぁーあ・・・・」

朝になった為、起きるすずか。

「・・・あれ?」

普段ならばノエルかファリン、ヴァルケンハインが部屋に来ていているはずなのだが・・・いない。

ヴァルケンハインはあの日から月村家に住み込みで執事を行っている。

まったくの別世界の出身であることを姉である忍は疑っていたが目の前で人狼化を見せられれば納得するものだ。

すずかもびっくりさせたが・・・・

「・・・・なんだろう、いやな感じがする・・・」

その瞬間――

<<ふむ・・・なかなか・・・>>

すずかの目の前に黒い水晶が集まり、人型になり人になる。

<<うむ・・・上出来じゃの。」

平安時代の麻呂のような格好をした男があらわれる、肌を除いて全てが黒い。

「あ・・あなたは・・・!」

すずかの夜の一族の本能が告げる、コレはまったく別の何かであると、すぐに逃げろと・・・

「麻呂はアマツオウ、天王でおじゃる。」

「だ!だれか・・・!」

「無駄でおじゃる、今この空間は麻呂の空間でおじゃるからな。」

「そんな・・・!」

「麻呂は美しい者、その素質がある者が好きでおじゃる、どうじゃ?麻呂のものにならんかえ?」

「い・・イヤ・・・・!」

「ふむう・・・仕方あるまい、あまり好ましくないでおじゃるが・・・・・」

その瞬間アマツオウの瞳が黒く輝く。

「うっ!?」

その瞳に魅入られてしまうすずか。

「む・・・少し粘るでおじゃるか・・・・」

「くぅ・・・ううっ!」

その瞳の魔力から抗おうとするすずか。

(もう駄目・・・もたない・・・!)

だが――

「グオオォォォォウ!!!」

「む!」

どこからともなく人狼状態のヴァルケンハインがアマツオウに襲い掛かり、アマツオウはそれを後ろに下がってよける。

「すずか様に手を出すな下郎・・・!」

「ヴァルケンハイン!」

「申し訳御座いません、少々遅れてしまいました。」

すぐさまヴァルケンハインは狼状態になり

「お乗りくださいすずか様、一旦離れます。」

「うん!」

すぐさま離れるすずかとヴァルケンハイン、だが・・・

「ほっほっほ・・・」

アマツオウは嘲笑している、その行動を無駄だというように・・・・

「――捩れ、加羅皐月――」

その刹那、空間が捩れていく――

「む!?」

「な!何!?」

「これは麻呂の箱庭じゃ、狼よ。」

空間がすべて捩れているかのような空間に変わっており、アマツオウが佇んでいる。

「仕方ありませんな・・・すずかお嬢様、お下がりください・・・」

「ヴァルケンハイン・・・・」

「安心してください、すぐにスコーンと紅茶を用意いたしますので・・・」

「さて・・・少し舞いを振舞うでおじゃる・・・・」

「下郎めが・・・!」




side/加羅皐月

「ヴォルフ!」

まずはヴァルケンハインが狼化し、突撃する。

「ほほほ・・・」

だがどうという事もなくアマツオウは避ける。

「はあっ!」

「おじゃ!?」

だがヴァルケンハインはそのまま追撃し、アマツオウに一撃を加える。

「狼牙となりて・・・!」

「むうう!」

ヴァルケンハインはそのままラッシュを行う。

「我が敵を滅さん!!!」

「おじゃあっ!!!」

とどめとばかりに強力な蹴りで吹っ飛ばすが・・・

「むうう・・・なかなか強いでおじゃるな・・・・」

アマツオウにはあまり効いていない様子である。

「ならば・・・!」

「ヴァルケンハイン!横ぉ!」

「む!?」

すずかの言葉に反応し、避けてみればそこには剣が突き刺さっていた。

<<あら・・・避けられちゃったわネ?>>

空間に女性の様な声が響き渡り、空間に水球が出来、ソレが人型へと成す。

<<うふん・・・こんな感じかしらかネ?」

ソレは全てが水色の女性となる。

「アタクシ、ミナボシというの、よろしくネ?」

「貴様・・・麻呂の邪魔に来たでおじゃるか!」

「違うわよ、面白そうだからアタクシも混ざるのネ。」

(少々状況がキツイですな・・・)

突如として現われたもう一人のアンノウン、片方ずつの実力の本気は自分と同格だろう。

一人だけならば何とかなるが・・・・

「ヴァ、ヴァルケンハイン・・・・・」

(だが・・・守なければなるまい!)

すずかに心配かけまいと微笑みかける、すずかもつられて多少笑う。

「さあ・・・いくぞ下郎ども!」

「仕方あるまい・・・麻呂の邪魔だけはゆるさぬでおじゃるよ?」

「それはアタクシの台詞でもあるのネー。」

いざぶつかり合おうとするその刹那――










ドン――!








ドン―――!!








ドォン―――!!!!







――剣気、そして覇気が辺りを充満させる。

「な、なんでおじゃるか!?」

「・・・・なんという剣気・・ネ・・・」

アンノウンたちはうろたえている、しかし・・・・

(この感覚・・・よもや貴殿まで・・・)

ヴァルケンハインは知っている、この剣気を、この覇気を。

そして音もなく空間が歪み、歪みが収まったその場に――

「・・・コォォォォォォォ・・・!」

すざまじい怒気を纏った、白き侍が現われた。

「貴様!何者でおじゃるか!?」

白き侍の両腕、両肩、両足にある十六の瞳がアマツオウとミナボシを捉える。

「・・・我は空・・・」

白き侍はみずからの刀――斬神・鳴神――を鞘から抜き構える。

「・・・我は鋼・・・!」

白き侍が喋ると共に大気がゆれる。

「・・・我は刃・・・!!」

そして空間がその剣気と覇気により、揺れ続ける。

「我は一振りの剣にて全ての罪を刈り取り、悪を滅する!!!」

言い切ると同時に震えていた空間が治まる。

「我は世界を白に染め上げ、黒を無に回帰せし者――」





――我が名はハクメン!いざ、推して参る!!!!――




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