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サンデー・トピックス:札幌ドーム開業10周年 プロスポーツで人気 /北海道

毎日新聞 6月5日(日)10時55分配信

 ◇200億円の改修工事控え、財源確保が課題に
 札幌ドーム(札幌市豊平区)が今月で開業10年を迎えた。プロスポーツの本拠地として道民に親しまれ、サッカーのワールドカップ(W杯)の会場となるなど、東京、ナゴヤ、京セラ、ヤフーと並び「5大ドーム」と称されるようになった。運営会社「札幌ドーム」は開業以来、黒字を維持するが、今後は200億円の改修費が見込まれ、ドームを所有する札幌市がどう財源を確保するかなど課題も浮かんでいる。【今井美津子】
 ■日本ハムで黒字
 「サッカーの専用競技場では赤字が目に見えている。初期投資がかかると批判もあったが、後の運営を考えれば、より多くの公式戦があるプロ野球の誘致が(ドーム建設の)大前提だった」。北海道日本ハムの本拠地移転の交渉を担当した札幌ドームの元専務、松下亮司さん(65)はこう明かす。
 札幌ドームは、人工芝の野球場と天然芝のサッカー場が機械で入れ替わる世界初の「場面転換」を導入。野球とサッカーのプロ2球団が本拠地とする国内唯一の施設だ。
 10年度の入場者245万人のうち、約7割の168万人が日本ハムを含むプロ野球関連。07年には屋内施設としては初めてノルディックスキー世界選手権の会場になるなど、開催できるイベントの幅の広さも売りで、09年度の稼働率は7割を超えた。
 02年W杯で建設・改修した施設の稼働率アップに悩む自治体は多い。サッカーや陸上などにしか使えない道外9施設は利用の制約が大きく、サッカーJ1・横浜Fマリノスの本拠地、日産スタジアム(横浜市)の年間稼働率も約3割にとどまる。各自治体は施設の管理団体に年間数千万〜数億円の管理費を支払うが、札幌ドームは自力での運営に成功し、市の負担はない。
 ■コンサートも
 道内最大の屋内施設は、道民のスポーツ熱も呼び起こした。札幌国際大の林恒宏講師(スポーツビジネス)は「プロチームができ、これまで関心のなかった人もスポーツと接するようになった」と評価する。
 イベントがない日は市民が野球やサッカーで気軽に使えるよう、市が料金の9割を負担。01年度に約8300人だった一般利用は、10年度には約4万7800人と5・7倍に増加した。道教育大岩見沢校の越山賢一教授(スポーツ科学)は「冬場にもウインタースポーツ以外の競技ができ、道民の選択肢が広がった」と話す。
 有名歌手のコンサート会場としても人気が高い。札幌ドーム開業前は、真駒内セキスイハイムアイスアリーナなど6000〜1万人規模の会場しかなかったが、ドームの最大収容人数は約5万4000人。人気グループ「嵐」や「ミスターチルドレン」のコンサート会場にもなり、米国のロックバンド「ボン・ジョビ」など海外の大物ミュージシャンのコンサートも誘致した。
 チケットを取り扱う「WESS札幌」は「有名ミュージシャンが『5大ドームツアー』などと銘打って札幌に来るようになり、コンサートの幅が広がった」と話す。札幌ドームの担当者も「スポーツだけでなく多くの文化に触れる機会が増えた」と胸を張る。
 ■命名権は未定
 老朽化に伴う札幌ドームの改修費として、札幌市は今後20年で約200億円を見込む。開業当時は最新だった大型ビジョンも、今では5大ドームで最も古くなった。
 市は今年1月、改修費の財源確保を目的に命名権の協賛企業の募集を開始した。だが、5年間で25億円(年5億円)の金額に加え、名称に「札幌ドーム」を利用するなどの条件がネックとなり、契約先は決まっていない。現在は条件緩和を検討中で、年内の再募集を目指すが、東日本大震災による経済の冷え込みで申し込みがあるかも不透明だ。
 林講師は「金額設定など民間の現状に合っておらず、このままでは命名権の協賛企業も見つからない」と指摘する。日本ハムが「命名権の選考に球団も参加させてほしい」と求めても、市は「応募企業の内部情報が盛り込まれている」と拒否しており、林講師は「プロスポーツがなければ札幌ドームは維持できない。命名権が決まらない場合に備え、市は球団の要求に積極的に応える運営が必要」と話している。
 ◇記念イベントも企画
 札幌ドームは10周年を記念し、イベントを企画している。1階西ゲート付近に「メモリアルコーナー」を設け、01年6月に福留孝介選手(中日、当時)が放った第1号ホームランなどの記念品を展示。7月3日にはドーム敷地内に設けた1周2キロのコースをチームでリレーし、6時間で何周できるかを競う「リレーマラソン」を開催。5月31日の日本ハム対阪神戦からは札幌ドームの外観を模したパッケージの記念弁当(1200円)も販売中。
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 ■ことば
 ◇札幌ドーム
 札幌市が総工費422億円をかけて建設。敷地面積約30万平方メートル。屋外アリーナと屋内アリーナなどがあり、屋内は地上4階、地下2階建て。野球場は両翼100メートル。サッカー場は縦120メートル、横85メートル。固定客席は4万1484席、最大収容人数は5万3796人。
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 ◇札幌ドームの10年間の主な出来事◇
01年 6月    開業
          サッカー・コンサドーレ札幌の本拠地に
02年 6月    サッカー・W杯日韓大会
    7月    プロ野球・日本ハムの本拠地移転が決定
03年 1月    ボン・ジョビが海外ミュージシャン初のコンサート
04年 3月    日本ハムが正式移転
06年10月    日本ハムが44年ぶりの日本一
07年 2月    ノルディックスキー世界選手権
   12月    コンサドーレがJ2で優勝
08年10、11月 世界ラリー選手権(WRC)
09年 8月    入場者2000万人突破

6月5日朝刊

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最終更新:6月5日(日)12時15分

毎日新聞

 

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