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慰安婦謝罪要求 真摯に受け止めるべきだ2007年6月28日  このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録

 米下院外交委員会が第2次大戦中の従軍慰安婦問題をめぐり、日本政府に対して公式に謝罪するよう求めた決議案を賛成多数で可決した。
 決議自体には法的拘束力はなく、日本政府は「日本がその都度反応すれば、問題がさらに深刻化しかねない」と静観する構えである。
 安倍政権発足後、従軍慰安婦問題への日本軍の関与はなかったとする動きが加速し、韓国をはじめ、中国でも日本への批判は強まっている。
 米下院外交委員会での謝罪要求決議案可決もその表れである。日本政府はそれを静観するのではなく、真摯(しんし)に受け止めるべきである。
 謝罪要求が日米関係の悪化を招くと懸念する声もある。しかし、それ以前に、世界は従軍慰安婦問題で日本が責任を認め、謝罪しているとは認識していない現実を直視する必要がある。
 外務省幹部は「4月の日米首脳会談などで、1993年の河野洋平官房長官談話に沿って『謝罪』を表明した安倍晋三首相の言葉がすべてだ」としている。
 確かに安倍首相は2006年10月、政府が従軍慰安婦に「心からのおわびと反省の気持ち」を表明した河野談話を継承する考えを示してはいる。
 だが、安倍首相はその後「官憲が人さらいのように連れて行く強制性はなかった」と「狭義の強制性」を否定している。これで河野談話を継承していると言えるのだろうか。
 決議案は「慰安婦制度は日本政府による強制的な売春」とし「日本には問題軽視の教科書や世論がある」と指摘している。
 自民党内には河野談話見直し論が根強く、歴史教科書からは従軍慰安婦に関する記述が消えてきている。決議案はこのような動きをけん制する意味合いもある。
 日本が過去の歴史としっかり向き合い、被害者に明確に謝罪しない限り、今後も従軍慰安婦問題は尾を引くことになろう。
 河野談話の歴史的意義を再確認し、それに沿って対応していくことが日本には求められている。


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