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2011.02.19

[ICON]岡留安則の「東京−沖縄−アジア」幻視行日記

岡留安則提供:岡留安則の「東京−沖縄−アジア」幻視行日記

 沖縄タイムス本社に出向く。いま永田町やメディアで物議をかもしている鳩山由紀夫前総理の「沖縄の海兵隊の抑止力は方便」発言に関する鼎談に出席するためだ。佐藤学沖縄国際大学教授、C・ダグラス・ラミス元津田塾大学教授、それと筆者の3人。司会は同社の論説委員兼編集委員の屋良朝博氏。夕方7時から9時まで、同社の役員室の応接間で鼎談。鳩山氏は歴史的な政権交代で、歴代総理の中で初めて普天間基地の県外・国外移設を目指したものの、防衛・外務官僚の強力な抵抗や鳩山内閣の沖縄関係閣僚が当初から県内移設でバラバラに動いたため、「できれば国外、最低でも県外」という思いは完全に頓挫した。結局、これまでの自民党政権と防衛・外務官僚主導で進められてきた辺野古新基地建設に回帰したのだ。

 しかし、総理を辞めた鳩山氏は自由な立場で、これまでの県外・国外移設がいかにして挫折したかを率直に発言したのだ。普天間移設を巡って日米両政府は何が何でもこれまでの沖縄権益を守るために、霞が関官僚、閣僚、御用評論家、米国国務省、防衛総省などが総意をあげて鳩山潰しの包囲網を敷いてきたことが手に取るようにわかりやすく語られているインタビューだった。

 鳩山氏の言葉に嘘はないだろう。それは、これまでも県外・国外を推し進めようとする鳩山氏の最大の壁となったのが防衛・外務官僚の非協力と妨害だったことは公然と語られてきたからだ。鳩山氏の思いが実現できなかったのは、彼自身の政治力や統率力のなさに原因があったことも本人も十分に認識していたことがわかる。そこで、鳩山氏を批判するのは簡単だが、鳩山氏をとりまく日米安保マフィアの抵抗が一国の総理を潰した巨大な壁をどうすべきなのかという根源的な問題提起が含まれていることを見落としてはなるまい。

 鳩山インタビューが掲載された直後、永田町、霞が関、大手メディアは一斉に鳩山バッシングを開始した。鳩山氏は「宇宙人」であり、個人の資質に問題があり、今回の発言は無視するか、なかったことにする火消しの流れが主流になった。批判の急先鋒は自民党だったが、他の野党も民主党執行部も沖縄の米軍には抑止力があり、これまで通り日米合意=辺野古新基地建設の方針に変更はないという官僚作成の答弁に終始した。鳩山氏の問いかけには直接答えず、何事もなかったように無視する挙に出た。枝野、菅、北沢、岡田も金太郎アメのようなコメントだった。

 だが、鳩山氏は言葉が軽いなどといわれるが、軽いのは民主党執行部も同じである。少なくとも、鳩山氏の言葉にはリアリティがある。真実を暴露したといってもいい。これまで明るみに出ることのなかった日米交渉の舞台裏が赤裸々に語られたことは、沖縄県民にすればプラスではあってもマイナスになることはひとつもない。今後の日米交渉を原点に立ち戻って進めていくための根源的な問題提起がなされている。筆者はあえて鳩山擁護の立場に立とうとの思いで鼎談に参加した。鳩山氏の失敗や未熟さを批判するよりも、鳩山氏の発言から教訓を学びとり、今後の対米交渉において戦略的外交力として生かすことこそがもっとも大事ではないのか。

 東京から作家の馳星周氏が沖縄にやってきた。予告なしで「瓦家別館」に奥さんと集英社の文芸担当編集者も一緒だった。地上戦下の沖縄を舞台にした小説を書くための下見取材だという。馳氏とは、まだ彼が横浜国立大学の学生で、新宿ゴールデン街の内藤陳さん経営の「深夜プラス1」でバイトしていた時代からの知り合い。その頃は、本名の坂東齢人で「本の雑誌」などに書評を書いていた。その後、突然のように「不夜城」「鎮魂歌不夜城2」「漂流街」などの力作を次々と発表してきた若手の有力作家だ。久々の再会で、銀座の文壇バーや文壇事情についてよもやま話に花が咲く。筆者も編集者時代の記憶がどんどん蘇り、新宿の文壇バーで飲んでいたときのような楽しいひと時となった。
[ICON]岡留安則の「東京−沖縄−アジア」幻視行日記

岡留安則の「東京−沖縄−アジア」幻視行日記

岡留安則

「噂の真相」の代表取締役兼編集長を務め、現在はフリージャーナリストとして活動中。

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