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25時:歳末編 ああ政治主導 /宮崎

 険しい目つきをしたSPに警護されて歩く姿に、その重責を思った。家畜伝染病の口蹄疫で視察や激励のため県庁を訪れた首相や大臣たちだ。

 国の政策を最終決定する最重要人物だからこそ、配慮不足の言動や国民感覚とのずれが気になった。印象的な政治家のみなさん(肩書は当時)の話--。

 6月に来県した鳩山由紀夫首相。「政府としてできることはすべてやる」と東国原英夫知事と力強く約束した翌日、辞任表明してしまった。え?

 菅直人首相は、殺処分した家畜の埋却地を国が買い上げる案に難色を示した当時の財務省トップ。首相就任後、関係市町長と非公開で会談し対応の遅れを突かれると、色をなして「過去は過去」と反論したという。

 現地対策本部長の山田正彦副農相。取材中に埋却地の臭気対策を巡り「EM菌(有用微生物群)」を持ち出した時には戸惑った。

 もともと微生物を活用した土壌改良材。河川浄化や飲料、せっけんなどにも使われているが、効果を疑問視する研究者もいる。「科学的根拠は?」と尋ねると「実際に効果があるか、大いにやってもらいたい」という。農家に聞いたが「知らない」と返された。

 農相も務めた山田さんは口蹄疫を題材に小説を執筆中だという。在任中に得た情報を都合良く解釈した娯楽作品もいいが、虚構のない回顧録が読みたい。

 後任の篠原孝副農相は、現場に寄り添う真摯(しんし)な姿に共感した。

 そして赤松広隆農相。感染拡大を抑えるため5月、殺処分前提でワクチン接種を決めた際、甘い見通しとデータで農家の反発、行政の現場に混乱を招いた。

 最後に、懸念された農家補償や県と市町村への十分な国からの財政措置が決まったのもまた、政治の力だ。民主党が掲げる「政治主導」。政治家のやる気と能力が問われる時代に、無関心ではいられない。【石田宗久】

毎日新聞 2010年12月28日 地方版

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