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【夢よ もう一度 2022年招致】(1)カギは「大阪エコスタジアム」

2022年W杯の開幕戦と決勝戦の会場となる「大阪エコスタジアム(仮称)」が建設される予定のJR大阪駅梅田北ヤード(本社ヘリから)建てなければ千年の悔い

 2022年7月某日。うだるような猛暑の中、JR大阪駅周辺には8万人を超えるサッカーファンが長い列を作った。人々の目当てはW杯決勝戦。日本で2度目となる最高峰の戦いに胸を躍らせた-。

 02年にアジア初となるW杯を韓国と共同開催してからわずか20年。日本は一見、無謀とも思える挑戦を続けている。

 過去を振り返っても、2度W杯を開催した国は1934年と90年のイタリア、38年と98年のフランス、70年と86年のメキシコ、74年と2006年のドイツ(1回目は旧西ドイツ)の4カ国だけ。コロンビアの経済情勢の悪化に伴って86年大会を代替開催したメキシコを除けば、いずれも日本が狙う20年ぶりよりも間隔が長い。メキシコの次に短い32年ぶりのドイツは「東西統一の象徴に」との大義名分があった。次回2014年大会の開催地ブラジルは1950年以来64年ぶりだ。

 だが、招致委員会委員長の犬飼基昭・日本サッカー協会会長は「日本開催は有望だ」と自信をのぞかせる。最先端技術を生かした斬新なコンセプトを掲げ、「208の笑顔」をテーマに、国際サッカー連盟(FIFA)に加盟する208の国・地域すべてが「感動や喜びを共有する」ことを目標に掲げる。

 一方、ハード面でカギとなるのが、JR大阪駅梅田北ヤードでの建設が検討されている「大阪エコスタジアム(仮称)」。収容人数は仮設スタンドもあわせて約8万3千人。他の立候補都市で同規模の競技場はなく、必然的に開幕戦と決勝戦の会場となる。

 5月7日に開かれた検討協議会。会長の平松邦夫・大阪市長は「実現に向け、検討すべき問題は山ほどある」と話した。土地代と競技場本体の建設費をあわせて約1千億円とも推定される費用をどう工面するのか、維持管理費はどのようにまかなうのか…。解決すべき課題は多い。

 だが、大阪市に話を持ち込んだ鬼武健二・Jリーグチェアマンは強調する。「絶対に建てる。招致して建てなければ、千年の悔いが残る」

 開催地決定は今年12月のFIFA理事会。熱狂が大阪を包む日はやってくるのか。夢の実現に向け、残された時間は短い。 (北川信行)

    ◇

 W杯南アフリカ大会での岡田ジャパンの躍進で、日本が目指している2022年大会の招致にも追い風が吹いている。現在の人気に乗って2度目のW杯開催はなるのか。今月にはFIFAの視察団が日本を訪れる。招致実現に向けた関係者の思いを紹介する。

 開催地決定、今後の予定 2018年、22年のW杯開催地は12月2日にスイスのチューリッヒで行われる国際サッカー連盟(FIFA)理事会で一括決定される。当初、両大会への立候補を表明していた日本は今年5月、招致を22年大会に一本化。同大会には日本、韓国、カタール、オーストラリアに、18年大会と合わせ、米国、イングランド、オランダ・ベルギーなど計9地域・11カ国が立候補している。招致への様々な動きはW杯南アフリカ大会終了後から本格化。FIFAの両大会の立候補地への視察は今月中旬から始まり、最初の訪問地となる日本には19~22日まで滞在。各スタジアムを視察するほか、日本の招致委によるプレゼンテーションなども行われる。 

【写真説明】2022年W杯の開幕戦と決勝戦の会場となる「大阪エコスタジアム(仮称)」が建設される予定のJR大阪駅梅田北ヤード(本社ヘリから)

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