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新成長戦略:4分野で500万人雇用創出 法人税率引き下げ

 政府は18日、今後10年間の経済運営の指針となる新成長戦略を閣議決定した。「環境・エネルギー」「健康」「アジア経済」「観光」の主要4分野で123兆円の市場と500万人の雇用を創出。企業の競争力強化のため法人税の実効税率を現在の約40%から主要国並み(25%)に引き下げることをめざす。11年度中に消費者物価上昇率をプラスへと転換させ、安定的な物価上昇によるデフレ終結も目標に掲げた。民主党政権が策定した初の成長戦略で、菅直人首相が打ち出した「強い経済」実現に向けた具体策となる。

 戦略は、主要4分野に「雇用・人材」「科学・技術」「金融」を加えた7分野について330の施策を提示。これらの実現を通じて、20年度までの平均で名目3%、実質2%の経済成長と、失業率を3%台へ低下させるとした。

 330の施策のうち、法人税率の引き下げなど重要な21施策を「国家戦略プロジェクト」と位置づけた。同プロジェクトの施策については、10、11、13、20の各年度に分けて実現に向けたスケジュール(工程表)を作成。「期限とゴールを設定し、退路を断つ」(経済産業省幹部)ことで確実な目標達成を図る。

 さらに同プロジェクトでは、日本の「アジア拠点化」のため、外国企業の誘致に向けて11年度から優遇税制などを実施し、20年までに雇用を倍増させる。また、首相がトップの「国家戦略プロジェクト委員会」(仮称)を設置し、アジアを中心に原子力発電や新幹線、水などのインフラ輸出を官民が連携して推進。20年までに19兆7000億円の市場獲得を目指す。

 日本の高度医療の受診を希望する外国人患者には「医療滞在ビザ」を発給し、20年には医療分野でアジアトップの地域を狙う。17年までに待機児童を解消するため、幼稚園と保育園は「こども園」に一体化して整備する。

 金融分野では、13年度までに証券、金融、商品の各取引所の垣根を取り払った総合的な取引所を創設し、アジアの一大金融センターとして「新金融立国」となる目標も示した。

 「デフレ終結を最重要課題にし、日本銀行と一体となって強力で総合的な政策努力を行う」とも明記し、日銀に最大限の努力を要請。過度の円高を回避するよう為替についても言及した。【立山清也】

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 ■新成長戦略の骨子

・20年度までの平均で名目3%、実質2%を上回る経済成長

・失業率を早期に3%台に低下

・法人税の実効税率を主要国並みに引き下げ

・環境・エネルギー、健康、アジア経済、観光の4分野で計500万人の雇用と123兆円の需要創造

・デフレ終結で日銀に最大限の努力を期待。11年度中に消費者物価上昇率をプラスにし、速やかにデフレ終結

・過度の円高は回避

毎日新聞 2010年6月18日 東京夕刊

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