菅直人首相は12日、宮崎県で口蹄疫(こうていえき)の被害が拡大していることを受け、就任後初めて同県入りした。首相は県庁で東国原英夫知事や関係市長らと意見交換し、「口蹄疫はまさに国家的な危機と認識している。一日も早い終息を見た後には、再建のために必要なことはすべてやりたい」と語り、政府として対策に万全を期す考えを伝えた。
東国原知事は「万全の対策を講じていただきたい」として▽防疫対策、感染ルート解明などへの支援強化▽ワクチンを接種した畜産農家への補償を全額国費負担▽地域産業復興への支援--などを要請した。
これに先立ち、首相は約22万頭の子牛が生まれた種牛「安平」の育て親、永野正純・宮崎市郡和牛育種改良組合長の農場を視察した。安平は先月殺処分されており、首相は「今は一刻も早く感染が広がらないよう、終息させることに全力を挙げたい」と語った。
口蹄疫の感染は、終息したえびの市を除く4市5町に拡大しており、感染または疑いでワクチン接種を受けた家畜約27万頭が、殺処分の対象になっている。
宮崎市は市内の図書館、博物館、公民館など公共施設を12日から一斉に休館にするなど、感染の拡大は市民生活にも影響を及ぼし始めている。【石田宗久、青木純】
毎日新聞 2010年6月12日 東京夕刊