東京では梅のつぼみが膨らんできました。もうすぐ「ブラタモリ」のロケが始まって一年です。秋葉原の撮影は、梅雨時でした。

先日、別の仕事で秋葉原に出かけたとき、案内所の“メイドさん”に再会しました。１１月の放送のあと、「ブラタモリ」で訪ねた場所に行きたいという方が増えたそうで、よく道を聞かれると話されていました。うれしいことです。特に人気なのは、最中屋さんだそう。実は、あのお店には伺う想定になっていなくて、露天商があった当時のお話を聞くために飛び込みでお邪魔したんです。ハプニング的に行かせていただいた所が、番組をご覧の方には一番興味深く映る。テレビとは、そうしたものなのかもしれませんね。準備する面白さ、準備しない面白さ。いえ、クボタはほとんど下調べもなしにタモリさんにくっついているだけなのですが・・・。

梅雨から夏へ、夏から秋へ、季節はめぐりめぐりまして。次回、「赤坂」ではだいぶ暗い道を歩いています。でも、夜が似合う街なんです。

さて、番組では色々なことを教わりますが、特に印象深かったのが、「油揚げに大根おろしとお醤油をかけて食べるとおいしい」というもの。ただしどこでその話が出たのか、私はすっかり忘れていました。この間、プロデューサーとの会話の中で、撮影で伺った赤坂の料亭に北大路魯山人の掛け軸があって、それを見たタモリさんが、「魯山人は大変な美食家だったが、晩年近くは、『油揚げに大根おろしを合わせたものが一番おいしい』と言っていた。食とは得てしてそういうものなのかも」と教えてくださったときの話だとわかりました。そんな含蓄のある前段を忘れていたとは・・・これから油揚げを見たときは、赤坂と魯山人とタモリさんを思い出すようにします。

黒板塀の料亭、ナイトクラブに迎賓館。次回もどうぞご覧くださいませ。