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社説2 党首対決を機に論争深めよ(1/22)

 国会は衆院予算委員会で一問一答形式の実質審議が始まった。鳩山由紀夫首相と野党の1番手で質問に立った自民党の谷垣禎一総裁は「政治とカネ」や外交問題をめぐって本格論戦を交わした。与野党はこれを機に山積する政策課題に関する議論をさらに深めてほしい。

 谷垣氏は、首相の資金管理団体の収支報告書に多数の偽装献金が見つかった問題を追及した。首相は元秘書の行為を謝罪する一方、「国民に政権交代という力をいただいた。受け止めていくのが私の責任だ」と今後も職責を果たす考えを強調した。

 谷垣氏は首相の実母からの資金提供が脱税に当たる可能性を指摘。首相は「天地神明に誓って全く知らなかった」と言明し、「もし違う事実が出てきたら(議員)バッジを着けている資格はない」と踏み込んだ。

 民主党では小沢一郎幹事長の元秘書である石川知裕衆院議員ら3人も政治資金規正法違反(虚偽記入)容疑で逮捕された。与党から検察批判が続出する異常な事態となっており、国会での審議を通じて疑惑を徹底解明する必要がある。

 谷垣氏は米軍普天間基地の移転問題をめぐる迷走ぶりへの懸念を表明し、民主党内で日米中3カ国の関係を「正三角形」に例える議論があることへの見解もただした。

 首相は「5月までに移設先を必ず決める」と改めて強調。「私は必ずしも三角形の辺の長さが同じだとは思っていない。日米同盟が基軸だ」との考えを明らかにした。

 谷垣氏は昨年12月に中国の習近平国家副主席が来日した際の天皇陛下の「特例会見」問題をめぐる政府の対応を批判し、「きちんとしたルールを作る必要がある」と指摘した。

 平野博文官房長官は憲法上の天皇の「国事行為」と外国要人との会見などの「公的行為」の違いについて明確な答弁ができず、政府の統一見解を示す方向となった。谷垣氏は内閣法制局長官の答弁を認めない民主党の対応への疑問をぶつけた。

 不安定な景気や厳しい財政状況にどう対応していくのかといった議論は、ほとんど触れずじまい。鳩山政権下でまだ1度も開かれていない党首討論の早期開催などを通じ、活発な政策論争を続けるよう望む。

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