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党首対決 まず補正予算の成立を


 衆院予算委員会で谷垣禎一自民党総裁が質問に立ち、鳩山由紀夫首相と1時間半にわたって事実上の党首討論が行われた。ふだんの党首討論よりも内容があったと、国民は受け止めたのではないか。

 谷垣総裁は冒頭「初めての通常国会で鳩山首相も血わき肉躍る思いではないか」とエールを送り、ハイチの地震対応に万全を尽くすよう注文するなど、谷垣氏らしい丁寧な口調で質問に入った。

 質問内容は天皇会見や安保50周年、沖縄基地問題、マニフェスト、消費税など多岐にわたったが、ほぼ時間の半分を使ったのは、やはり「政治とカネ」だった。

 谷垣総裁は「信なくば立たず」と鳩山首相の偽装献金、小沢幹事長の秘書らの逮捕になると一転して厳しく追及。鳩山首相がかつて「秘書の行為は政治家の責任」と述べたことをただされると「言葉の重さを理解している。ただ、私腹を肥やしたり、不正利得したものではない。身を粉にして政治責任を果たしたい」と語るのがやっと。

 母親からの12億6千万円にも上る金銭授受については「まったく知らなかった」と繰り返し、谷垣氏が「もし違う事実が出てきたなら首相を辞めるのか」とただしたのに対し「バッジを着けている資格がなくなる」と明言した。

 小沢幹事長が検察当局と対決する姿勢に「戦ってください」と述べたことについては「検察の捜査は公正公平であらねばならない」と述べる一方、「政権交代を実現した同志」の身の潔白を信じるとし、近く行われる東京地検特捜部の小沢氏本人への任意聴取を見守る考えを示した。

 民主党内には、逮捕された石川知裕衆院議員を支援する同期の会や捜査情報の漏えいを問題視する対策チームが結成されたが、平野博文官房長官は「誤解を招くことは控えるように」注意したと答え、千葉景子法相は指揮権発動には直接言及しなかった。

 谷垣総裁は予算審議の前に「政治とカネ」の集中審議を予算委員長に求めたが、国会が自浄機能を発揮するためにも政府与党はいずれ開催に応じるべきだろう。

 ただし現在、捜査が継続中であり、しかも小沢氏が任意聴取に応じる姿勢を当局に示している。鳩山首相が「捜査の最中で、状況が判然としない。冷静に見守りたい」と述べたのは当然だ。

 しばらく捜査の行方を見守りたい。国会が今果たすべきことは補正予算案と新年度本予算案の審議である。ことに7・2兆円の補正予算は地方財政にかかわる緊急性の高いものだ。衰退した地方経済を支えるためにも今月中の早期成立が望まれる。

 かつて野党がやった予算を人質に取るような戦術はやめるべきだ。国民の政治不信、離反を招くだけだということを知っておいてほしい。

 小沢幹事長自身も任意聴取を終えたなら、堂々と国会で説明してはどうか。国民が一番望んでいるのは小沢氏の生の声だろう。

宮沢徳雄(2010.1.22)

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