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民主化運動の封じ込め、鮮明に 中国、作家に重い量刑(1/2ページ)

2009年12月27日10時42分

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 【北京=峯村健司】インターネット上で共産党の独裁を批判した「08憲章」の起草者で、民主派作家の劉暁波氏(53)に対して中国の裁判所が25日、懲役11年と政治的権利剥奪(はくだつ)2年という厳罰を言い渡したことで、民主化運動を何としてでも封じ込めるという中国当局の意向が改めて鮮明になった。

 劉氏は「法が保障する言論の自由の範囲内であり、無罪だ」として控訴を決め、徹底的に争う姿勢を示した。

 朝日新聞が入手した判決文によると、劉氏が憲章で共産党独裁を廃止し、民主憲政に基づく「中華連邦共和国」の樹立を呼びかけたことに加え、ネット上に掲載した共産党や指導者を批判した六つの文章が重大な犯罪行為に当たるとしている。

 傍聴した劉氏の弟、劉暁暄氏(52)によると、裁判官は劉氏や弁護士の陳述を途中で打ち切ったという。弁護士は「審理はたったの3日で、判決文は起訴状をそのまま写しただけ。十分な審理を尽くしておらず、何の実害も出ていないのに量刑はあまりに重すぎる」と批判した。

 司法関係者は「1989年の天安門事件のリーダー格の一人で、人権活動家たちに強い影響力を持つ劉氏をたたいて見せしめにすることで、民主化運動全体を封じ込める意図がある」と指摘する。

 オバマ米大統領が訪中した11月、劉氏が釈放されるのではとの期待が人権活動家たちの中ではあったが、オバマ氏は首脳会談の場で人権問題に踏み込まず、「中国側は米国が強硬には出ないという確信を得た」と北京の外交筋はみる。その後、1カ月足らずで起訴され、判決まで進んだ。

 当局は外国メディアの取材も制限。朝日新聞は23日の初公判と25日の判決の傍聴を申請したが、拒否された。裁判所の一角に臨時に設けられた「取材区」から出られず、裁判所では傍聴した家族や弁護士にも接触できなかった。米国などの大使館員も傍聴を求めたが、いずれも認められなかった。

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