超高層マンションでラジオの受信感度を調べる調査員=8日、大阪市中央区、筋野健太撮影
AMラジオが聞こえにくいという声が住民から出た大阪市中央区の超高層マンション(54階建て、高さ209メートル)で8日、原因を探る調査があった。「高さが影響しているのでは」との見立てははずれ、階層に関係なく聞こえにくいことがわかり、最近主流の建物の構造が影響している可能性が浮かんだ。
防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実さん(58)が「大地震などの災害時に情報源となるラジオが聞こえないのは問題」として調査した。各階のエレベーターホールと、29階と48階の共有スペースで電波の強さと受信感度を調べた結果、屋上では全局はっきりと聞こえたが、エレベーターホールでは各階とも在阪民放は聞き取れなかった。共有スペースではベランダで受信できても室内では雑音しか聞こえなかった。NHKはどこでも受信できた。
鉄筋コンクリートはAMの電波を通しにくいという。住民の苦情を受け、このマンションを訪れたことのある民放局の技術担当者は「柱がベランダに張り出した最近主流のアウトフレーム構造の影響で、電波がより手前で遮られてしまうのかもしれない」と話す。NHKより周波数が高い民放の電波は、障害物による影響を受けやすいという。
また、日本民間放送連盟ラジオ受信環境ワーキンググループの主査で、ニッポン放送の三浦洋技術局長は「都心では様々なノイズが集積している。ハイテク家電など室内にもノイズが増え、電波に影響している」という。
渡辺さんは「阪神大震災では、聞き慣れたパーソナリティーの声で励まされた被災者も多かった。共聴アンテナなどの対策が必要だ」と指摘。東京での本格的な調査も検討している。