2009-01-18
■[本]最近読んだ本
『家族の痕跡』(斎藤環著)
単なる家族論ではない。
テレビ番組の『ビフォア・アフター』や負け犬の話など、話題は多岐にわたり、飽きさせない。
だけど、『「負けた」教の信者たち』よりもまとまりがあった気がする。
労働の自明性の失効や男女の性愛に対する捉え方の違いについての議論が特に興味深かった。
フロイトのいうペニス羨望というのは、信じられなかったが、負け犬の人たちが子供への執着という形でペニス羨望を持っているという議論はなるほどと思えた。
「思想地図 vol.2」
本田由紀氏の論文では、戦後の日本社会の企業・家庭・学校のトライアングルにおける、循環が図式化されている。
その各領域を代表するのは、それぞれ会社人間、教育ママ、受験戦争である。
そして、このトライアングルは、自分および家族の領域に閉ざされた強力なエゴイズムにより駆動されているという。
ダグラス・クープランドは、『神は日本を憎んでいる』で日本を皮肉り、
寂しくて死にそうな主婦と過労死するまで働く企業戦士と女子高生娼婦の国と言っていたが、そうした人たちを生んだ背景には上記のような「腐臭を放つ」トライアングルがあったのだ。
非常に説得力がある分析だと思った。