庄原市は、深刻な医療従事者不足を解消するため、同市内の医療機関への勤務を希望する人に奨学金を支給する「医療従事者育成奨学金貸付条例」を12月定例市議会に提案した。教育民生常任委員会で審査され、最終日の18日に採決される。可決されれば来年1月から施行する。
同市の中核医療施設、庄原赤十字病院は05年4月から産婦人科医が不在で、出産医療体制が休止状態となっている。そこで、市と市医師会、庄原赤十字病院は6月、「庄原市の地域医療を考える会」を発足させ、医療従事者不足への対応策など総合的な地域医療のあり方の検討や課題解決への道を探っている。
医療従事者育成奨学金貸付条例制定もその一つ。将来、医師や看護師、助産師や准看護師として市内の医療機関に勤務を検討している人に修学に必要な資金を貸し付けて、市の医療を支える人材を育成し、地域医療の確保と充実を目指す。
奨学金の貸付額は月額で、医学生・研修医が20万円以内、看護学生等が10万円以内で、期間は医学生6年間、研修医2年間、看護師4年間など。他に入学支度金貸付制度(医学生100万円、看護学生50万円)もある。
奨学金を受けた期間の1・5倍に当たる間、市内の医療期間で勤務すれば奨学金の返還は全額免除される。来年度は医学生2人、研修医1人、看護学生4人を予定している。
また、同市議会は開会初日に、市自治振興センター設置・管理条例一部改正、市営住宅設置・管理条例一部改正など10議案を可決した。会期は18日までの15日間で、一般質問は9、10の両日。【小原勝】
毎日新聞 2009年12月7日 地方版