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| 鹿島との最終節を終え、退団が濃厚な闘莉王が、万感の思いを胸にスタジアムを１周＝５日、埼玉スタジアム |
Ｊリーグ１部（Ｊ１）は５日、埼玉スタジアムなどで今季最終節が行われ、浦和レッズは首位の鹿島アントラーズに０―１で敗れ、勝ち点５２で６位に終わった。鹿島は史上初の３連覇を達成。大宮アルディージャは１―１で来季Ｊ２の大分トリニータと引き分けた。大宮は勝ち点３９で１３位だった。浦和を退団することが決定的な闘莉王は試合後、サポーターに手を振りながらスタジアムを１周。「レッズを愛する気持ちは変わらない」と、込み上げる涙を必死にこらえた。
「持ち味は？」という質問の答えは一貫していた。「誰にも負けたくない気持ちです」。赤の一員として戦った６年間、闘莉王は人一倍強い勝利への貪欲（どんよく）さと闘争心で己と浦和を支え続けてきた。
「おじいさんの故郷が見たい」。日系ブラジル３世は１９９８年、初めて祖父の地・日本へと渡ってきた。サンフレッチェ広島でプロとしてスタート。浦和がヤマザキ・ナビスコカップを制覇し、チーム初のタイトルを獲得した翌年の２００４年、Ｊ２の水戸ホーリーホックから移籍した。１８５㌢、８２㌔の大型ＤＦは、練習時から守備ラインの中央で叫び続けた。「こんなんじゃ練習にならねぇぞ」「そこでＦＷが点決めろ」。おとなしいイメージのあった浦和の選手一人一人を闘士に変え、際立った個性で引っ張った。
相手の突破をはね返し、高さと競り合いで負けなかった。闘莉王が最終ラインを統率した０５年の浦和の失点は３７、翌年は２６。いずれもＪ１のシーズン最少失点。当時、浦和の代名詞になっていた堅守「赤い壁」の象徴だった。「失点したらＤＦの責任」と体を張り、絶体絶命のピンチには身を挺（てい）してゴールを割らせなかった。
攻撃面でも高い能力を発揮。無謀とも思える攻め上がりも魅力だった。０６年にＪリーグ最優秀選手賞（ＭＶＰ）を受賞し、「次は得点王を狙いたい」との威勢のいいコメントにも現実性があった。昨季はチームトップタイの１１ゴールをマークした。
「レッズが新しい歴史をつくる上でリーグで初優勝した時、僕の名前が入っていたらうれしい」。夢は０６年に実現し、０７年にはアジア・チャンピンオンズリーグ（ＡＣＬ）で頂点に立った。浦和というチームが上昇曲線を描くために欠かせない存在だった。
慢性的なひざの痛みに加え、幾度となく太ももを負傷した。ほかの選手なら出場を回避するような状態でも、背番号４はピッチで疾駆（しっく）した。浦和での６年間を振り返りながら、「いつまでも感謝の気持ちを持ち続けたい」と、不変のレッズ愛を胸に闘莉王の新しい挑戦が始まる。
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