東京女子医大病院(東京都新宿区)で4月と6月に心臓の手術を受け、その後に死亡した2人の患者の遺族が4日、病院や厚生労働省、関係学会などに第三者による調査委員会の設置を申し入れた。遺族側代理人によると、執刀医は手術時、心臓血管外科の専門医でなかったにもかかわらず、病院のホームページで専門医として紹介されていたといい、病院や認定機関に説明も求めている。
遺族側によると、死亡したのは、4月に補助人工心臓の埋め込み手術を受けた関東在住の男性(22)と、6月に人工血管交換と動脈バイパス手術を受けた関東在住の60代男性。いずれも手術後に容体が悪化して死亡したが、事実経過について納得いく説明がなく、手術のビデオ記録などもなかったという。補助人工心臓の埋め込み手術を受けた男性のケースでは、大学病院に義務付けられた国への医療事故報告も行われていなかった。
また、執刀医は3月末で、年間20件程度の手術実績が必要な専門医資格を失っていたが、ホームページでは専門医のままだった。会見した60代男性の妻は「医師は『自分が執刀すればリスクが低くなる』と説明した。専門医でないと知っていたら、病院を変えていた」と話した。病院側は「遺族の理解を得るため、簡裁に調停を申し立て、その場で十分に説明している。執刀医の専門医資格についてはコメントしない」としている。【清水健二】
毎日新聞 2009年12月5日 東京朝刊