入院治療が必要な重症の小児患者に対応する「小児2次救急」で、県内の16地区のうち、半分の8地区で休日や夜間の「当番病院」の輪番制が一部埋まらず、十分に機能していないことが県の調べで分かった。医師不足を理由に、離脱する医療機関が相次いでいることが背景にある。【西田真季子、岸本悠】
県医療整備課によると、県内の小児2次救急における輪番制は、00年にスタート。現在は16地区のうち、12地区で利用されている。残りの4地区は常に一つの医療機関が引き受けている。
しかし、11月現在で、輪番制を採用している地区のうち、▽中央(鴻巣市、上尾市など)▽児玉(本庄市、美里町など)▽深谷(深谷市、寄居町)▽熊谷(熊谷市、行田市など)▽所沢(所沢市、狭山市など)▽朝霞(朝霞市、新座市など)▽東部第一(加須市、久喜市、幸手市など)▽東部第二(春日部市、さいたま市岩槻区など)の8地区で、当番病院が1週間のうち、1~6日しか埋まらない状態が続いている。
中央地区を除き、いずれも当初は全日機能していたが、輪番制に入っていた医療機関が徐々に抜けてしまった。当番が埋まらない日は、患者は近隣地区の当番病院まで搬送されることになりリスクが高まる。余分に患者を受け入れることになる近隣地区の当番病院の負担も増大する。
東部第二地区では、1週間のうち1日しか当番病院がない状態だ。地域の小児医療の中心だった春日部市立病院で小児科医が次々と退職したため、07年に輪番制から離脱した。同病院は一時、小児科そのものの休診にまで追い込まれた。現在は常勤医2人体制になったが、輪番制復帰のめどは立っていない。担当者も「医師の確保に努力しているが、なかなかうまくいかない」と嘆く。
県内では小児科がある医療機関数が07年現在、1321と96年から3・2%減少している。県医療整備課の担当者は「小児科医が絶対的に足りない。有効な対策が考えられない」と頭を悩ませている。
毎日新聞 2009年12月6日 地方版