孫世代まで住み続けられる住宅に自治体が「長期優良住宅」のお墨付きを与える制度がスタートして4日で半年。戸建ては全国で2万4千戸を超え、新築の2割まで浸透した。一方で、マンションは全国でわずか5棟だけだ。戸建てに比べてマンションは販売価格が割高になるだけに、売る側も二の足を踏んでいる。
「1千万円台からの長期優良住宅」「200年住宅ならお任せを」――。都内の住宅展示場にはハウスメーカーののぼりが踊る。大手ハウスメーカーが長期優良住宅の仕様を標準化して、積極的にPRしているのだ。
国土交通省の調べでは、10月末までに認定された長期優良住宅は一戸建てで2万4401戸。同省は新築の1割程度を想定していたが、18%を占める。
中小工務店には、1戸に付き100万円の補助金が国から出る。地域の工務店でつくる全国中小建築工事業団体連合会の青木宏之会長は「生き残りをかけ、設計事務所と組んだ。ここで踏ん張らないと工務店は取り残される」。
勢いづく戸建てに対し、マンションは数えるほどしか供給されていない。
今年5月、マンション供給最大手の大京が横浜市青葉区で販売したマンションは、制度スタート前の「モデル」だった。1棟で39戸。耐震性は建築基準法の基準の1・25倍となる「耐震強度」2で、天井高にゆとりをもたせ、間取りが変更しやすい「長期優良仕様」で、周辺の相場より2割以上高い7千万円台中心だったが、3カ月で完売した。ただ、最も多かった購入の決め手の声は、駅徒歩8分という「好立地」だった。