徒然に天性の色彩画家『キース・ヴァン・ドンゲン』
東京地方あいかわらず寒い日が続き、昨日からお天気も愚図ついていてときどき冷たい小雨がぱらついています。
新しい記事をアップするために画像の取り込みをおこなおうとしたのですが、最近画像の掲載枚数が増えたせいか思ってたより早く容量がいっぱいになってしまいました。
LOVELOGの「ひかりone」での契約は
100Mまで無料なのですが、30Mに設定していましたので、これを変更すればあと70Mまでは大丈夫なのです。
そこでMyKDDI IDとパスワードを記入してサポートメニューにログインを試みたのですが
、「IDかパスワードが間違ってます」とエラー表示が出てしまいます。
何度試しても、いろいろ変えてみても同じエラーの繰り返しで埒があきません。
しかたなく「ID、パスワードを忘れた場合」をクリックし、保存してあった「ご利用開始の案内」を取り出して「セルフID」「セルフパスワード」を打ち込み、仮のパスワードをメールで受け取って、やっと解決です。
記録をきちんととっておけばなんのことはないのですけど、日頃から手帳に記入したりメモをあまりとらないツケがこんなところにも出てしまいます。
そろそろ前頭葉の縮だけでなく老化現象の始まりでしょうか。
さて、前回のブラックに続いて今回もフォーヴィズム(野獣派)の画家
『キース・ヴァン・ドンゲン』をアップしました。
マティスやドラン、ブラマンクらに代表される
「フォーヴィズム(野獣派)」とは、後期印象派から発展した20世紀初頭の絵画運動の一つで、原色を多く用いた強烈な色彩と荒々しいタッチが特徴となっています。
1905年におこなわれた展覧会で、これらの特徴を持った作品に対して
「野獣の檻」と評されたところから、野獣(フォーヴ)派の名前がついたそうです。
古典的な作品のようにフォルムの再現を図るのではなく、フォルムより色彩を重視し、色彩によって画家の内面を表現することを直接的な手段としたわけです。
ところでこの「ヴァン・ドンゲン」ですが、現在の日本では意外と馴染みが薄い画家なのではと思うのですが、意外と日本人とは縁のある画家なのです。
大正ロマンを代表する
『竹久夢二』は、この「ヴァン・ドンゲン」を盛んに研究していたことが知られています。
なかでも夢二の代表作と言われる猫を抱いた
『黒船屋』は、ドンゲンの
『猫を抱く女』の構図を借用しています。
【黒い帽子の女】ドンゲンの描く女性は眼が大きくて黒目がちで首も長く、夢二の描く女性達と共通する点が多いと言われます。
ただドンゲンの描く女性の方が退廃的なと言うより愛くるしさのようなものがより表現されていると感じますが、この作品もまさにそんな雰囲気を色濃く伝えてくれています。
また、このエコール・ド・パリで活躍した日本人画家
『藤田嗣治』が渡仏したとき初めて仲良くなった画家がこのドンゲンだったそうです。
ホントにパリ風俗の記録者だったのです! ・
キース・ヴァン・ドンゲン(1877-1968) オランダのデルスハーフェンの生まれ
実家はロッテルダムの郊外でビール醸造業を営んでいました。
幼い頃から周囲の人を驚かすほどの才能を示していたそうですが、家業のビール醸造業を手伝いながらロッテルダムの美術アカデミーで絵を学び始めます。
20歳の時パリに転居しモンマルトルに住みながら、ペンキ職人の下働きなどしながら
風刺新聞や雑誌の挿絵の仕事を行うようになりました。
その風刺的なイメージが軍隊や教会やお金持ちから告発されたこともあったそうです。
やがて
マティスらを中心とするフォーヴィスムに接近し、ピカソらとも親交を深めながらアンデパンダン展やサロン・ドートンヌに出品するなど画家としての地位を固めてゆきます。
【ロッテルダムのザントストラート】1905年頃から107年頃にかけてはフォービズムの作品で、裸婦の連作や、サーカスにインスピレーションを得た連作を描いています。
【サーカス】 サーカス特にピエロは、ピカソを始めこの時代の画家達がよく取り上げた題材でしたが、ヴァン・ドンゲンも大変力強く官能的な作品も含め、色彩画家としての天性を遺憾なく発揮した時代でありました
第一次世界大戦は前回のブラックもそうでしたが、パリの画家達にとっても大きな転機となっています。
【The Corn Poppy】ヴァン・ドンゲンは戦後ドイツ表現主義的な傾向を持つようになるのですが、一方で肖像画家として超人気の画家となり、一躍パリ社交界の寵児となって行きます。
最初その作品は決して依頼主におもねることなく、構図より色彩を重視し人工的な美しさに仕上げていましたが、金銭的に豊かになるにつれ、次第に通俗性を帯びるとともに、社交界での侯爵婦人との微妙な関係が取りざたされるなど、装飾性の強い作風へと変化していったのです。
【Brigitte Bardot】そしてこの栄光の時代も1929年の世界大恐慌や、またまた第二次世界大戦の勃発などによって否応もなく終焉を迎えることとなったのです。
同じフォーヴィズムの仲間だったマティスやドランはその理論の追求や確かな個性の完成をめざし後世に名を残したのですが、ヴァン・ドンゲンは社交界では浮き名を流し、売れっ子画家として沢山のお金を残しモナコに別荘を構えたのですが、ともに駆け落ち同然にパリに出てきた
糟糠の妻・アウグスタ・ブランディンガーとは別れています。
ただ、印象派のように戸外に出ず、ひたすら室内に題材を求めたその作品は、パリ風俗の記録的な役割を果たしたとも言われています。
【Beach Ball】モナコで暮らすようになったドンゲンは、その後も作品を描き続けたのですが、以前のような力強さ、色彩の輝き、官能性なども失われてしまい、軽いタッチで描かれた版画が少し残っています。
この作品もわずか16枚しか刷られなかったそうです。
しかしながらフランス国籍を習得し、レジェン・ドヌール勲章受賞もはたし91歳の長寿を得て亡くなっています。
Posted by sekisindho at 23:45
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美術 ,
西洋の画家
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こんばんは!
パスワード…こいつらには、いつも自分の脳みその軽さを思い知らされます。私もメモを取る習慣をつけなくては、と常々思っています。
キース・ヴァン・ドンゲン。
今回も新たな画家と出逢えました。随分と作風が変化していった方なんですね。個人的には「黒い帽子の女」が好きです。とても魅力的ですね。ちょこっと検索してみます^^
ありがとうございました。
おはようございます、せきさん!
日曜日、散歩がてら某美大の卒業展を観に京都市美術館に行ってきました。このごろこちらの影響で、ふらっと美術館や絵画展に足が向きます。
画廊が気に入った作品にはお手紙や名刺が置かれてるのですが、面白いくらい教授の選ぶ優秀賞や奨励賞と全く別のものを選ばれてましたよ。
今回のドンケン、
個人的にはやはり、
>>Brigitte Bardot
プロバンス風の黄色い壁紙に赤い椅子、濃紺のワンピース、
このべべすべて大好きです!
>>ドンゲンの『猫を抱く女』と夢二さんの『黒船屋』
猫を抱く手の構図など似てるというより
素人目には、ほぼ全同じに見えました。
こんにちは。
ネットの世界は、パスワードが多すぎてホントに困りますね。わたしも、PCのそばにいつもメモを置いてます。とても憶えきれませんもの。
このドンゲンという方、またまた初めて知りました。
一枚目の絵は、ほんとうにどこか夢二を思わせますね。
他の画に比べて、これは鮮やかななかにも落ち着いた色彩がステキ。どこを見ているのか、視線の行方が気になります。夢二も色々なところから着想を得ていたんですね。
パスワード。。。。
私もよくやります。。。迷子^^。
なので、殆ど同じものにしてあるんです。
ピエロの絵なんですが。。。「KISS」というグループに似てませんか?
意外にも私は、そのグループの「Beth」という曲が大好きなんですよ。
その絵を見て真っ先に思ってしまいました。
まだまだ寒そうな東京。。くれぐれも気をつけて下さいね。
^^。
☆piro55さん、こんばんは。
私は仕事でもそうなのですが、最低限のことしか手帳にも書き込まない主義なのですよ。
ですから手帳もできるだけ薄い手帳が好みで、スーツの内ポケットに違和感なくすんなり収まってくれるものでないと使いません。
今まで幸いにもそれで大失敗しとこと無かったのですが、そろそろやばいかも知れませんね(^^;)
キース・ヴァン・ドンゲン、比較的忘れられていた画家ですが、意外に面白い画家だと思います。
☆futabaさん、こんにちは。
卒業展の作品に画廊の名刺、それは未経験ですけど面白そうですね。
ヴァン・ドンゲンではないですけど、現在売れる作品と未来に名を残す作品は違うかも知れませんけど、画廊が興味を持つ作品って興味がありますよ。
この記事続けていて思うことは、アカデミーからはみ出したり反発して自ら出ていった画家達の方が圧倒的に後世に名を残しているように感じますから。
>Brigitte Bardot
懐かしい名前です。
往年の大女優と言うべきか、偉大なセックス・シンボルと言うべきか、幼い頃に見ていると母親に怒られそうな女優さんでしたね。
といっても、futabaさんまだ生まれる前だったかも知れませんけど^^
☆みどりさん、こんにちは。
パスワードも毎日使うものは指が覚えてくれたり、PCに記憶させたままで使えたりするのですけど、たまに求められるともうすっかり忘れていたり混同してしまいますよね。
できるだけ同じパスワードにしているのですけどときどき慌てふためいてしまいます(^^;)
ドンゲンの『猫を抱く女』と夢二さんの『黒船屋』は、『猫を抱く女』のいい画像が見つからなかったので残念ながら掲載しませんでしたけど、futabaさんも仰ってますように、ほとんどそっくりです。
この「黒い帽子の女」も夢二にかぶって見えますよね。
それに黒い帽子よりドレスの「みどり」がいいですね^^
☆オードリーさん、こんばんは。
今日は珍しく少し暖かな一日でしたけど、今日限りだそうです。
>「KISS」というグループ
って、名前は聞いたことあるのですけど残念ながら曲は聴いたことないのですよ。
歌舞伎っぽいメークをしたヘビメタのロックバンドですよね。
以前に「イカ天」という番組でよくヘビメタのロックを聴いていて、決して嫌いではないのですけど、オードリーさんと
「KISS」、少々意外な組み合わせのように感じましたよ。
オードリーさんのイメージと言えばやはり「(嘘つき)天使の歌声」ウィーン少年合唱団でしょうね^^
トップの女性の目にすごく惹かれました(*´Д`*)
この画家さんのことはぜんぜん知りませんでしたが、作品をつらつらと拝見するに「野獣」ってのは描き方(筆の運び方)の表面的な形骸にしか過ぎなくて、その本質はちっとも「野獣」的でないように感じるのです。ただ単にえいやあっ!と描いてるからといって、描いてる本人の感性までもが「野獣」ではありますまいにね。おかしなカテゴライズだなぁと思って「野獣派」の名前を見ています。
こりゃドンゲンかせんとイカン!
・・・あ、去年の流行りでした (*ノωノ)
あら・・107さん、このような眼の女はここにおりますのに・・(笑
残念ながら、首は細長くないんですが・・(^^;
以前、私の描いた風景画をブラマンクみたい・・とおっしゃってくださる方がいて
ブラマンクの作品をじっくり観てみようと検索したら
野獣派!と一番に出てきたので思わず苦笑しました(爆
>ただ単にえいやあっ!と描いてるからといって、描いてる本人の感性までもが「野獣」ではありますまいにね。
107さん、今日はいいことをおっしゃいますね(笑
◎107さん、こんばんは。
よく「どんなタイプの女性がお好きですか」といった質問を聞きますけど、私の場合「タイプ」はないのですよ。
といっても誰でもいいという意味ではなく、人間の場合は特に、この人が好きか嫌いかであって好き嫌いの判断は微妙なものがあります。
なんて理屈は抜きに「黒い帽子の女」の眼、チョットひかれるものがありますよ^^
「印象派」もそうですけど、フランス人のやりそうなことで、意外にその場のノリで簡単に命名してしまうのでしょうね。
「野獣派」で思い浮かぶのはそりゃあなんと云っても「107さん」ですよ!
って、冗談、冗談!失礼いたしましたm(_ _)m
☆マロニエのこみちさん、こんにちは。
>このような眼の女はここにおりますのに・・
う〜ん、確かに制服でご活躍の頃のマロニエさんの雰囲気に似てるとこありますね^^
>私の描いた風景画をブラマンクみたい・・
ブラマンクの幾つかの作品は、筆使いはマロニエさんの方が繊細だと思うのですけど、色遣いは確かに似ているように思えますよ。
特に紺系の紫の使い方、茶系の使い方みてるとそんな気がします。
なんて、生意気言えるほど分かりはしないのですけど、そんな印象がありました^^
こんにちは
ドンゲン大好きです。
特に松岡美術館所蔵の『マヨルカの女』に憧れてます。
あんな表情、できない・・・。
ディレッタントな側面を見せる作品、享楽的でとても好きです。
上流婦人、娼婦、どちらもとても惹かれます。
前者の方が艶かしく、娼婦にはどこか無垢な匂いがあります。
マティスも好きですが、ドンゲンの女の魅力にときめきます。
挿絵なども見ましたが、美の名残という感じでした。
回顧展を待つ画家の一人です。
sekishindhoさん
こんにちは^^
好き嫌いにかなりうるさそうですね(笑)
洋服のことも詳しいし、こういう男性がそばにいると、女性はいつも輝いていられそうです♪
絵も、好き嫌いがあると思いますが、
パッと見たときからこの方の絵は好き!です。
こんばんは。
確かに、夢二の描く女性のイメージと重なりますね。
少しディフォルメしたら、
絵画というよりイラストレーションとして人気を博しそうな。
作風の変化も鑑賞する楽しみのひとつではありますが、
裕福になって通俗的に・・・というのは
いささか寂しさを感じてしまいますね。
仕方ないと言えばそうですけれど。
☆遊行七恵さん、こんにちは。
>松岡美術館所蔵の『マヨルカの女』
残念ながらまだ観たことないくて、捜してみたのですが見つかりませんでした((>_<。)。。
大きな本屋さんでさがしてみます。
特に戦後の生活ぶりはディレッタントそのものだったようですね。
自分のアトリエを一大パーティ会場のようにし、貴族の紳士淑女から高級娼婦、芸人などなどいろんな人たちが入り交じってのお酒とタバコの煙に満ちた乱痴気騒ぎが繰り広げられたと書かれているものもあります。
夢二とはのめり込む対象が違ったのかも知れませんが、回顧展があればぜひ観に行きたくなる画家であることは同感です。
☆nooboobooさん、こんにちは。
>好き嫌いにかなりうるさそう
またnoobooさんに怒られるのかと思いましたよ○o。(^∪^*)
でも好き嫌いはハッキリしてますよ。
ただ好きは「好き」と言えますが、嫌いを「嫌い」とは言えない軟弱な面もありますけど^^
洋服は着る人に合ってるか否かだけで、この形が駄目、色が駄目といった判断はあまりしないのですけど、決してうるさくはございませんですよ(笑)
◎NIJOさん、こんばんは。
最晩年の作品【Beach Ball】などは、版画ということもありますけど、夏季には気軽に壁に掛けておいても良さそうな作品ですよね。
苦労をともにした糟糠の妻を捨て、ディレッタントな生活をおくったドンゲン、そんなところにも日本の大正ロマンと同質の匂いを感じさせてくれ、一つの魅力になっているのかななどとも思ってしまいます。
新しい感じのする画風ですね。
特に「Brigitte Bardot」は、たとえば今のアンアンやフラウなどの雑誌に挿絵として載っていても、全然違和感がないように思います。
sekisindhoさん、ご無沙汰しております。
ご心配いただいてるのに、ずっと音沙汰なしで
本当にすみません・・・m(__)m
昨日は、都内でも珍しい程、雪が積もりましたね。
こちらは、もっと積もりましたよ。
1日、雪かき雪下ろしで追われた1日でした。
今年は、やはり寒いのでしょうね。家の中で過ごすことが
多いので、よく分からないんですよ。
ドンゲンの絵って、部屋に飾るとパッと明るくなりそう♪
原色が多いせいかな?暖かそうですね^^
☆kanaliyaさん、こんばんは。
体調は如何ですか。
早く全快されますよう念じております。
「Brigitte Bardot」はたしかに現代でも見かけそうな気がしますね。
このモデルのバルドー自身の愛称がB・B(べべ)でしたからアンアンにのっても違和感ないですかね^^
☆さほさん、こんにちは。
心配するだけでなんの手助けもできませんけど、心身ともに落ち着いてきましたでしょうか。
早く回復されると嬉しいのですが。
実は昨日から伊豆の温泉へ泊まりで行ってたのですけど、雪のため散々だったのですよ。
先ほど帰ってきたのですけど、伊豆半島を2周したような結果で少々お疲れモードなのですよ(^^;)
写真もなんとバッテリー切れで富士山を数枚撮って終わってしまいました。
明日記事を書こうかと思ってますけど、今日は早めに寝ますよ^^