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発信箱:信じる 信じない=福本容子(経済部)

 想定外の人気に、びっくり。先日、参加した会議での鳩山由紀夫首相評である。日本、中国、東南アジア、アメリカのジャーナリスト約20人が、上海に集まり2日間討論しまくるという企画。共通の課題(コモン・アジェンダ)を、円卓(ラウンド・テーブル)で議論する、の略で「CART(カート)」が会議の名前だ。

 とにかく鳩山さんの「アジア重視」に期待が高い。中でも中国の記者が熱烈歓迎なのだ。「『東アジア共同体構想』はいい。日中が中心になって進めていかないと。特に日本はリーダーシップを……」

 まず環境分野から、ということで、温室効果ガスの排出量を売買するアジア市場を作り、取引通貨は「アジア円」にしよう、とまで言う。

 日本人記者が「中身のない鳩山構想に期待なんかできないよ」とか冷たく反応しても、懸命に鳩山さんを応援する中国人。どうなってんの?と苦笑する東南アジアの記者。

 日中関係でも中国の人は気持ち悪いくらい前向きだ。「日本に実際行くと中国人の日本観は変わる」「同じ歴史の教科書を使う日も来るかも」

 どこまで信じていいのかな。本音じゃないよ、の声が頭の中で聞こえる。昼ご飯の時、英字紙「上海デーリー」の王勇記者にさぐりを入れてみた。王さんは、この夏、奥さんと北海道に行った話を始めた。気に入り過ぎて、帰国後、記事にしたという。

 早速送ってくれた。3ページの大特集。取材じゃなく夏休みの旅行のはずなのに。美瑛町の民宿で出会った東京の30代男性とのやりとりが、やたら詳しく書かれている。何でもない道路の脇で花を手入れするおばあさんの写真もある。

 信じるな、の声は聞こえてこない。

毎日新聞 2009年12月4日 0時03分

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