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成田空港で1カ月篭城中の中国人〜日本メディアが報道しない不思議

コラム2009/12/03(木) 18:35
  成田空港で約1カ月籠城中の人権活動家、馮正虎さんのことをご存じだろうか。海外ではかなり手厚く報道されているが、日本メディアは今ひとつ踏み込んでいないので意外に知らない人が多い。馮さんがツイッターで籠城生活を細かくリポートしているが、まるで映画だ。どうしてこんな面白いネタに飛びつかないんだろう。

  馮さんは上海の陳情者への法律相談など地道な人権擁護活動を続けてきた人だ。天安門事件当時、民主化運動の武力弾圧を批判したことがある。今年2月、当局に41日間監禁されたのち、出国を条件に釈放された。

  とりあえず当局が神経を尖らしている天安門事件20周年(6月4日)が過ぎるまで、昔留学したことのある日本に滞在したが、そのあと帰国しようとしたら、中国の入国を拒否された。11月4日までに8回帰国を試みたが全部未遂におわった。馮さんはこれに抗議するため最後に上海から強制送還されたあと日本への入国を拒否し、成田空港第一ターミナル南ウイングの制限エリア内で籠城生活を始めたのだった。

  今、ツイッターでこの抗議活動を知った世界中の人権活動家が支援を開始。欧米、香港、台湾メディアが連日取材しネットでも話題になっている。国際的なドキュメンタリー映画監督、班忠義さんもこの事件で作品を撮るらしい。中国国内でツイッターは読めないが、在外華人がブログなどで転載し、中国人の間でも「馮さんの帰国を許さないとは、中国の恥だ」と応援する声が盛り上がっている。

  ところが日本は当事国なのに今ひとつ報道が少ない。せいぜい朝日新聞が夕刊で紙面を割いたぐらいだ。

  馮さんは成田空港記者クラブを対象に会見も開いたし個別取材も受けた。しかし記事の扱いは小さい。どうしてか、と成田空港の広報に聞いてみたら「政治難民の問題など切り口が難しいんじゃないでしょうか」という。 

  考えようによっては日本は被害者だ。中国の人権問題がたまたま日本で発生した。空港側としても、いわれなく一部施設を占拠され正直迷惑な話だろう。かといって強制排除すれば、批判をうけること間違いなし。

  これは日本が国際的な人権問題に対して、その国の内政としてあまりかかわってこなかったツケだと思う。しかし人的往来の頻繁な今、隣の国の人権問題が自国の問題にもなりうる。これを日中問題として公式に中国政府に善処するよう、日本政府はどうして強く求められないのだろうか。

  班さんのドキュメンタリー映画が国際賞でもとれば、日本政府の対応も国際社会の目に広くさらされる。馮さんが病気になって倒れるまで座して待つ、というような態度だと、あとで恥をかくのではないだろうか。(執筆者:中国ウォッチャー 三河さつき 編集担当:水野陽子)

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