生駒市は11月30日、新病院の事業計画を発表した。計画を審議していた市の「病院事業推進委員会」は3委員の辞任で休止状態に陥っているが、実質的な審議は終わったと判断した。市は2日、計画を反映させた事前協議書を県に提出する。これに対し、市議14人が1日、推進委の正式な結論を待つよう山下真市長に申し入れた。山下市長は応じない方針で、新病院関連議案を審議する12月定例市議会を前に対立が深まっている。
事業計画では、内科、外科、産婦人科など10診療科、病床数210床を備え、医師23人、正・准看護師80人、薬剤師6人で13年5月の開設を見込んでいる。施設は地上8階、地下1階建て、床面積約2万2900平方メートル。
推進委の公募市民の委員3人は30日、市議会に新病院関連議案の早期可決などを求める要望書を提出した。医師会代表委員らが辞任したことについて、安部哲史委員は「これだけの医療砂漠の状態にあるのに、なぜ医師会は協力しないのか」と批判した。
これに対し、市議14人は申し入れ書で、市が推進委の答申を受けずに事業計画を策定したことを「大いに問題」と指摘。医師会と関係を修復しないまま病院建設に踏み切れば「十分な効果を発揮できなくなる」と懸念を示している。
市議会は定数24人で、慎重意見は過半数を占める。1日の新病院設置等に関する特別委員会でも、推進委の再開を求める発言があった。8日開会する12月議会での新病院関連議案の可決は厳しさを増している。
山下市長は「予定通り、県に協議書を提出する。先延ばしを図るかのような行動は、救急医療の現状をかんがみると議会の責任を放棄するに等しい」とのコメントを発表した。【岡奈津希、中村敦茂】
毎日新聞 2009年12月2日 地方版