iPS細胞:本人皮膚細胞で培養成功 胎児以外で初…京大

2009年12月2日 10時36分 更新:12月2日 10時38分

 京都大の山中伸弥教授と高橋和利講師のグループが、成人や新生児の人工多能性幹細胞(iPS細胞)を本人の皮膚細胞で培養することに成功した。iPS細胞の作成と培養に同じ人の皮膚細胞で成功したのは胎児以外では初めて。マウスや他人の細胞で培養する場合に懸念される病原体感染などを回避でき、iPS細胞の安全性向上に役立つことが期待される。2日、米科学誌プロスワン(電子版)に発表した。

 iPS細胞は通常、マウスの胎児の細胞で培養される。しかし、患者本人に対する移植医療への応用が目標のため、患者以外の成分を使わない方法が求められている。

 グループはiPS細胞の開発に成功後、いち早く本人の細胞を培養に使えないか実験。ヨーロッパ系の男女4人(0~73歳)から採取された皮膚細胞に対し、4種類の遺伝子を導入する最も基本的な方法でiPS細胞を作成した。それぞれ本人の皮膚細胞を使って増殖させたところ正常に増え続け、品質もマウスの細胞で培養した場合と変わらなかったという。

 ただ、培養能力には個人差があるとみられ、4人のiPS細胞を別の10人の皮膚細胞を使って培養したところ、うち3人では増殖しなかった。個人差が出る理由は全く不明。また、マウスの細胞を使った場合の方が繰り返し培養しやすかったという。【朝日弘行】

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