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人ふでがき:医師不足に悩む周産期医療立て直しに奔走、上田市産院・村田さん /長野

 ◇未来の生命支えたい--医師不足に悩む周産期医療立て直しに奔走する上田市産院副院長・村田昌功さん(49)

 秋田、沖縄の病院勤務を経る異例のキャリアで、上田市産院の副院長に10月、着任した。産科医不足に悩む上田市が、自治体の医療問題を調整する全国自治体病院協議会に紹介を依頼。「沖縄の病院はほぼ独り立ちできたから」と名乗りを上げ、同協議会のあっせんを受けた。

 常勤医として診療や手術などにあたる一方、市の医療政策参事も兼務。文字通り白衣を背広に着替えて、医師不足にあえぐ周産期医療の立て直しなどにかかわる多忙な日々を送っている。

 大阪府出身。物心ついたころから、母親に「人の役に立つ仕事に就いて」と教えられた。その影響もあり、「医師以外の仕事は考えなかった」という。研修医時代は、「当時日本で一番厳しい」と自ら言う大阪大第1外科で、3年間修行した。

 先輩から「命の誕生前から生まれる瞬間、女性の老年期医療まで生命に長く携われる」と説得され、やりがいを感じて産婦人科医の道を選んだ。当時から過酷な職場として知られていたが、「必要とされていると感じられる所で働きたい」との思いを今も抱き続けている。

 その思いから07年に行動に出た。「恵まれたポスト」と自他ともに認める市立秋田総合病院の勤務医を辞め、3年間産婦人科が閉鎖されていた沖縄県立北部病院に飛び込んだ。「出生率が高い沖縄県の北部に、なぜ総合病院の産婦人科がないのか」。つては無かったが、主にインターネットを使い「必要とされる」場所を探した。

 沖縄では産婦人科部長として、スタッフ集めや医師のまとめ役を担った。婦人科の診療から段階的に進め、医師4人で24時間産科医療に対応できる態勢を築き上げた。「出身大学や志の異なる医師たちをまとめるのは難しい。この経験は今後も役立つ」と胸を張る。

 今の産科医療の課題は「必要な所にお金をかけ、実情に即した配慮をすること」と考えている。十分な報酬、休日の確保だけでなく、「単身赴任者が家に行き来したり、遠隔地の学会に出席したりする費用は補助するべき。医療従事者には自己犠牲が求められるが、その裏には家族の犠牲もある」

 住民や市議会の意見に十分に耳を傾け、現場の声を生かした地域医療の実現を目指す。「『上田でなら安心して子供を産める』と言われ、ゆかりのない人たちも訪れてくれるようにしたい。町おこしの起爆剤にもなるはずだ」と高い目標を掲げている。【光田宗義】

毎日新聞 2009年12月2日 地方版

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