福岡市は、同市を拠点に草の根レベルで国際活動を展開する個人や団体に贈る「福岡市市民国際貢献賞」の本年度受賞者に、アフガニスタンなどで医療活動やかんがい事業に取り組む非政府組織(NGO)「ペシャワール会」(事務局・福岡市)を選び、1日、同会現地代表の中村哲医師(63)らメンバー3人を同市役所に迎えて表彰式を行った。
式などで吉田宏市長は「(同会が)福岡市にあることが誇り。大変な活動をやってこられた」とたたえると、中村医師は「ほめられただけでもうれしい」とはにかみつつ「私たちが考えているのは国レベルではなく、地域が地域を支援すること。福岡に拠点があったことは大きいと思う」と笑顔を見せた。さらに「干ばつは何10年も続く。市民に現地の実情を知ってほしい」とも述べた。
ペシャワール会は1983年、パキスタンやアフガニスタンの難民を治療する中村医師の支援組織として設立。巡回医療を続ける一方、病気の背景にある不衛生な環境や栄養失調の解決に役立てようと、アフガンで干ばつ対策に用水路を建設し、今夏に24.3キロメートルの用水路を完成させた。3000ヘクタール以上の土地に水を注ぎ10万人以上の生活を支えているという。
=2009/12/01付 西日本新聞夕刊=