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【埼玉】

『無人授業やりたくない』 昌平高校のパワハラ問題 中止決定喜ぶ教諭

2009年12月1日

「模擬授業中止」の決定を喜ぶ今村教諭(左)と支援者=越谷市で

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 「訴えが覆されるわけがないと信じていた。無人授業はやりたくない」。杉戸町の私立昌平高校の今村寛教諭(50)は三十日、生徒のいない教室で課されてきた「模擬授業」の中止などを求めた仮処分申し立てで、さいたま地裁越谷支部の中止決定を喜んだ。 (高橋恒夫)

 今村教諭らによると、同校は二〇〇七年度から大手学習塾「栄光ゼミナール」が経営に参画。国語を担当する今村教諭が授業力テストなどで一定水準に達しなかったとして、今年四月から(1)授業を持たない(2)担任、校務分掌、部活動顧問を持たない−などの措置を取り、生徒のいない教室での模擬授業や他教諭の授業見学、学習指導案の作成、などの特別研修を課した。

 今村教諭が同月末、体調不良を訴えて病院に駆け込むと「自律神経失調症」と診断され、その後も毎日のように下痢に苦しんだという。六月、特別研修はパワーハラスメント、退職強要だとして仮処分を申し立てた。

 決定後の会見で今村教諭は「無人授業は人間のやることじゃない。拷問と呼んでいいんじゃないか」と訴え「教育の根幹は、人間性を育て、ちゃんと生徒と向き合うこと。人間らしい学校になってくれるよう自分の持っていることを注ぎ込みたい」と早期の授業復帰に希望を込めた。

 島田浩孝弁護士は今回の決定について「いじめが教育現場であってはいけないという大きな警鐘になると思う」と評価した。

 一方、昌平学園の法人本部事務局は「学校を良くしたいという取り組みが基本的に認められたと評価している。研修は裁判所の決定に従い、改善を図りたい」とコメントした。

 

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