県内初の裁判員裁判の初公判を「裁判員全員が男性」の見出しで報じた。本文は「全員が男性とみられ」と断定を避けた。裁判員の性別は明らかにされず、外見でしか判断できない。
頭にあったのは、取材で知り合った性同一性障害の当事者、森村さやかさん(通称)のこと。男性として生まれたが、心と体の性別の不一致に悩み、性別適合手術を受けて女性の体になった。
外見は男性でも心は女性の人がいて、思い込みで書くと苦しめるかもしれない。森村さんに「性犯罪はともかく、殺人事件で裁判員の性別を聞く必要はある?」と聞かれた。「絶対に必要だ」とは言えないように思う。(高瀬)
毎日新聞 2009年11月29日 地方版