小林市立病院に入院していた間質性肝炎の女性(当時65歳)が死亡したのは誤った治療が原因だとして、女性の夫が小林市を相手取り、約4200万円の損害賠償を請求する訴訟を宮崎地裁に起こしたことが分かった。提訴は10日付。
訴状によると、女性は06年12月、間質性肝炎と診断されて同病院に入院。「1カ月もすれば治癒するだろう」と説明された。この間、原告側は施設が整った他への転院を希望しても「必要があると思えない」などと断られたという。
女性の病状は悪化し、07年1月9日にはほとんど意識がなくなり、救急車で宮崎市内の病院に転院。ここの病院で「当初からステロイド治療をやってきたため、病名の究明が困難」との説明を受け、女性は同29日に死亡したという。
原告側によると、間質性肝炎は種類によって治療方法が大きく異なり、ステロイドを投与すると副作用で病状が悪化することもあるという。同院はどんな種類の間質性肝炎か把握せずにステロイドを投与したとしている。
原告側は「まともな治療をすることができないまま手遅れの状態で死亡した。また、速やかに転院させるべきだったのに、重篤な状態になって初めて転院させた」と主張。
小林市立病院は「訴状の内容を確認して、対応を検討したい」としている。【川上珠実】
毎日新聞 2009年11月21日 地方版