【事務所報告】桜井淳所長の2009年11月の実施事項【メルマガ会員限定情報】

Wed, November 25, 2009 Theme: ブログ stanford2008の投稿

桜井淳所長の2009年11月の実施事項。



(01)1日、原研時代の知り合いへの男体山トレッキングについてのメール。「私は、見てのとおり、体が頑丈な方ではなく、山歩きやきついことには向いていません。ですから、弱点の克服のために山歩き(トレッキング)に励んでいます。還暦を過ぎると、疲労しやすいトレッキングなどは、不安に思うこともあり、ひとりではとても不安で、たとえ何か健康異変が生じても、ふたりいれば、適切な措置が期待でき、安心感が増すものと思っています。70歳台半ばと推察しますが、その年齢がどれほどの意志と体の動きに差が生じるのか実感がわきません。しかし、私の年齢でも30歳台の自身との差に苛立ちを感じることがありますから、私以上の年齢の方々の気持ちがまったく分からないわけでもありません。できることならば、いまでも、思い出のために、来年5-10月の間の月1回の割合の男体山トレッキング継続にお付合いしていただけないでしょうか。」


(02)1日、日本科学技術社会論学会論文誌「科学技術社会論研究」編集委員会への原子力社会学関連の論文投稿のひとつの傾向についてのメール。「日本科学技術社会論学会論文誌「科学技術社会論研究」は、年1回の刊行であり、時間がかかりすぎるため、原子力社会学関連の研究をしている研究者は、あまりよい印象を持っておらず、隔月で刊行されている日本原子力学会誌和文論文誌(Trans.At.EnergySoc.Jpn.)に投稿しているものと推察します。そのため、最近1年半に、Trans.At.EnergySoc.Jpn.に掲載された原子力社会学関連の論文を調査してみました。Vol.7,No.1(March2008)には、板倉周一郎・中込良廣「原子力施設の妨害破壊行為に対抗する防護措置についての新たな評価制度」と板倉周一郎・中込良廣「核防護措置における相互監視規制の有効性の評価に関する考察」 、Vol.7,No.3(Sep.2008)には、土屋智子・小杉素子・千田恭子・高田香里・岩附彰仁・玉川博美「プルサーマルに対する市民の認識と広報内容に関する考察」、Vol.7,No.4(Dec.2008)には、篠田佳彦・山野直樹・鳥井弘之「社会と原子力の関係に関する社会調査」、Vol.8,No.1(March2009)には、和田隆太郎・田中知・長崎晋也「高レベル放射性廃棄物の立地確保に向けた社会受容プロセスモデル」、Vol.8,No.2(June2009)には、菅谷淳子・原山優子「原子力発電所の規制手法の分類と選択方法」、Vol.8,No.3(Sep.2009)には、木村浩・田中博・勝村聡一郎・古田一雄「高レベル放射性廃棄物処分に関するウェブコミュニケーションの試み」、畑孝也・牧野眞臣・小坂淳彦「事業者の根本要因分析実施内容を規制当局が評価するガイドライン」 が掲載されています。会員名簿を基に吟味してみると、それらの投稿者が、すべて、日本科学技術社会論学会会員であるわけではないために、残念ながら、決定的な証拠にはなりませんでした。」


(03)1日、電事連関係者への原子力ナショナルプロジェクトについての質問メール。「先のメールからして、電事連は、ナショナルプロジェクトの商業技術化にこだわらず、今後も、たとえば、再処理のように、商業技術を欧米から導入すればよいと考えているように受け止めました。電事連からすれば、"日本で原子力開発を実施する必要はなく、好きでやるならぞうぞ"というくらい冷たいように感じました。なかなか難しい問題です。「原子力ナショナルプロジェクトの評価項目と評価法」は、これからまとめる原著論文のテーマですので、引き続き討論を継続させていただきたいと考えております。」


(04)1日、電事連への原子力ナショナルプロジェクトについての質問メール。「日本の原子力発電及び核燃料サイクル施設の技術及び審査指針は、ほぼすべて、米国からの導入であり、日本の原子力開発の成果を無視した産業政策が推進されております。欧米依存及び文化・技術導入政策は、日本の明治以来の政策ですが、原子力では、動燃を設立してナショナル・プロジェクト「ウラン濃縮」「再処理」「新型転換炉」「高速増殖炉」の技術開発を実施してきたにもかかわらず、何ひとつ商業技術化されておりません。ウラン濃縮は、六ヶ所村に、動燃で開発した原型技術を発展させた遠心分離器が設置されておりますが、コストは、欧米からの輸入品の2-3倍にも及び、政治的意味はありますが、技術的には失敗しております。電事連は本気でナショナル・プロジェクトの成果を商業技術として利用して行こうとしているのでしょうか。これは大きな問題です。電事連の責任ある担当者から、これまでの判断とこれからの考え方をおうかがいしたいと考えておりますので、具体的な会合の場を設定していただきたいと念願しております。」


(05)1日、文部科学省への原子力ナショナルプロジェクトについての質問メール。「政府は、1967年に、原子力ナショナルプロジェクトとして国産動力炉開発(核燃料サイクル技術を含む)を遂行すべく、動燃を創設いたしました。技術開発成果報告書「動燃技報」の中には、「ウラン濃縮」「再処理」「新型転換炉」「高速増殖炉」の中間評価報告や総合評価報告がありますが、新型転換炉のように商業技術化に失敗しているものでも、すべて、予定どおり進捗しているとか目的の成果が得られているとの国による第三者評価がなされております。私は、動燃の技術開発の目的は、商業技術(安全性と経済性の成立の証明)の開発であって(遠心分離器による濃縮ウラン価格は欧米の約2-3倍、再処理技術の国産化に失敗、新型転換炉の建設費は軽水炉の約2倍、高速増殖炉は13年停止していて先行き不透明)、技術の成立性だけではないと認識しておりますが、国の原子力ナショナルプロジェクトの評価判定基準が何であるのかできるだけ詳細に教えていただきたくお願いいたします。よろしくお願いいたします。(ご回答内容は欧米の科学技術社会論論文誌の英文原著論文に引用させていただく予定です。)」


(06)1日、朝日出版の松永俊男「チャールズ・ダーウィンの生涯」(2009)の編集者へのメール。「先日いただいた松永俊男「チャールズ・ダーウィンの生涯」(2009)についての感想をまだお伝えしておりませんでした。私の哲学は「旧約聖書」「プラトン国家論」「ダーウィン種の起源」「ヘーゲル論理学」「マルクス資本論」です。その意味で大変関心を持って読ませていただきました。チャールズ・ダーウィンは、19世紀、先祖代々、英国上流階級の資金と教養の満ち溢れた中で育ち、自身もケンブリッジ大に学ぶ等、エリート中のエリートで、趣味も乗馬や狩といった実にうらやましい環境の中で過ごしました。まだ、大学出たての頃、偶然の幸運もありましたが、5年間のビーグル号の乗組員となり、世界一周航海の中で多くの見聞を得て、「種の起源」の着想にたどり着きました。この本はていねいに生活環境と人間関係を描いていることが特徴のように受け止めました。論理構成・文章表現・事実関係の確認(文献)等、いずれも、際立って優れており、大変良い内容だと感服いたしました。編集者にとっては誇りとして残るものと思います。歴史的研究者は歴史的環境の中で育まれるものだと改めて認識いたしました。」


(07)11日、朝日新聞社と日本経済新聞社の知り合いへのメール。「民主党は、現在の原子力安全委員会を改組して、新たに原子力規制委員会の新設を構想しています。賛成です。しかし、私の原子力安全解析所での経験からして、これまでのように、事業者のデータがそのまま解析や最終判断に利用されるような八百長・追認主義は、改めるべきです。米国の原子力規制委員会のように、プロフェッショナル・エンジニア制度の下に、まともな安全審査を実施すべきです。」


(08)12日、「科学・人間・社会」の白鳥紀一編集者へのメール。「30年前に星野芳郎先生のご自宅を訪問した際に、現代技術史研究会の概要をお聞きしたことがありました。私は、会員になっておりませんでしたが、同会編集担当の方にお願いして特別に会誌「技術史研究」のバックナンバーすべてを入手でき、熟読したことがありました。それは、弱小研究会の会誌ですから、紙質も悪く、内容も編集も上出来とは言えませんでしたが、それでも、産業現場の"うごめき"みたいなものが感じられ、考えさせられた記憶があります。宇井純先生のペンネームでの水俣病詳細調査報告も印象的でした。結局、私は、現代技術史研究会には加入しない星野先生直属の一番弟子でした。一番弟子である証拠は「桜井淳著作集第6巻星野芳郎との対話」です。友人からの情報に拠れば、井野先生は、先に開催された「星野芳郎先生を偲ぶ会」で、数名の報告者の一人として、エピソードを語ったと耳にしております。井野先生については、反原発活動家として、浜岡訴訟や柏崎刈羽耐震問題にかかわっているようですが、原子力には素人でありながら、良く食いついているとの印象を持ちつつも、これまであまり肯定的に位置づけていませんでした。それは私が井野先生の思想を良く知らないためです。それに科学技術論の著書が少なく、どのように受け止めたらよいのか良く判断できませんでした。私は、星野先生の影響を受けた"仲間"として、いつか、井野先生にお目にかかり、じっくりお話をしてみたいと考えておりました。しかし、なかなか、機会がつかめず、今日になってしまいました。井野先生は今70歳くらいではないかと推察いたします。この機会を逸したらもう機会はないように思えます。まことに恐縮ですが、できれば、このメールを井野先生にご転送いただけないでしょうか。そして、ぜひ、井野先生から私にメールをいただきたいのです(白鳥さまから井野先生のメールアドレスを教えていただければ、私の方から直接、メール差し上げますが)。そして、しばらくメールのやり取りをして、お互いの問題意識を確認してから、上京の際に、お目にかかりたいと考えております。お手数をかけまことに申しわけありませんが、よろしくお願いいたします。」


(09)12日、原子力機構へのリサイクル機器施設についての質問メール。「約10年前に建設中のリサイクル機器施設(高速増殖炉使用済み燃料再処理)を見学したことがありますが(案内者はサイクル機構東海の河田副所長)、それまで進めていた湿式再処理を再検討して、そのままでよいか、それとも乾式再処理に変更するかということでしたが、その後の検討で結論はどのようになったのでしょうか、教えてください。」


(10)12日、原子力機構へのナショナル・プロジェクトの成否についての質問メール。「以下の質問に対するご回答は、今まとめている欧州科学技術社会論学会論文誌"Social Stidies of Science"に引用させていただきますので、その専門分野の責任ある立場の正式回答としていただけますようお願いいたします。【質問事項】動燃は、ナショナル・プロジェクト「ウラン濃縮」「再処理」「新型転換炉」「高速増殖炉」を遂行するために設立されましたが、いずれも経済性を有する商業技術に至っておりません(ただし、高速増殖炉は未知数)。(a)ナショナル・プロジェクトの成否の判断基準は何に置いているのでしょうか。技術の成立性や人材養成ならば成功と位置づけることができますが、経済性のある商業技術まで含めればすべて失敗と位置づけられるでしょう(動燃が開発したウラン濃縮用遠心分離器原型技術は、六ヶ所施設に実用化されていますが、輸入濃縮ウランの2-3倍の価格であって、経済性を有する商業技術には程遠いように思えます)。(b)動燃にはユーザー側の電力会社や原子炉メーカーからの人材が理事長や副理事長や理事等に就任しており、オールジャパン体制で開発に当たった以上、商業技術化には電力会社や原子炉メーカーも責任を負わねばならないと思えますが、いかがでしょうか(新型転換炉実証炉の建設では傍観者のような姿勢で疑問を感じました)。」


(11)14日12:10-12:40、日本科学技術社会論学会第8回研究大会(開催地 ; 早大)で口頭発表。質問3件あり。


(12)14日14:30-16:30、北鎌倉寺院巡り。円覚寺・明月院・建長寺・東慶寺(かけこみ寺)の見学(写真40枚)。門の例の横角材は入っていました。しかし、建長寺では、その構造材が撤去された切断跡が残っていました。よって、撤去しても構造強度的には問題ないということになります(東大寺からは「構造強度的に必要」との回答をいただきましたが、それは成立しません)。以上、徒歩約2km。北鎌倉駅発16:30、上野駅発17:30、水戸駅18:50、自宅着19:20。


(13)15日、「第4回弘道館・偕楽園公園の歴史・自然探訪セミナー」実施。特に、参加者の70歳台半ばの元原研研究員との会話は、事の殊、有意義でした。


(14)15日、第15回「最適モンテカルロ計算法」研究専門委員会会合開催案内の作成と委員・学会への送信。


(15)講演5件。


(16)月刊誌原稿提出1件。


(17)米国出張2回(長くなるために詳細は略)。


(18)エベレスト登山準備継続。体力を養うために、毎日、自宅近くの市街化隣接公園として世界第二位の面積を有する偕楽園公園(偕楽園・千波湖・千波公園・桜山公園からなる複合公園)の周囲約7kmの散歩(登山靴で、登山用ザックに10kgのダミー荷物を入れて背負い、なおかつ、足に、それぞれ1kgの錘を装着)をしており、数年の修行後(桜山公園にある護国寺の57段の石段を一気に昇って登山のきつさの擬似体験、その昇り降りを数回から数十回繰り返して足腰を鍛えています)、平地では経験できない酸素量のいくぶん少ない2500m級登山を経験後(具体的には自宅から近い日光国立公園の2500m級の男体山でのトレッキング)、エベレスト登山へ、エベレスト頂上はともかく、行ける所まで行く予定です(勾配のきつさによる疲労以前の問題として、酸素量が少ないことによる呼吸困難による疲労でまいってしまいます)。三浦雄一郎は、エベレスト登山に備えて、65歳の時から、体力改造のため、登山用ザックに10kgのダミー荷物を入れて背負い、足にそれぞれ5kgの錘を装着して、毎日、鍛錬したと記していますが、「足にそれぞれ5kgの錘を装着」とは、私の経験からして、信じ難いことです。「5kgの錘」とはスポーツの準備体操に利用している標準的な鉄アレイの重さであって、両方の足に5kgずつ装着したら、歩行困難どころか、歩行不能なように思えます。両足で5kgなら分かります。三浦は、不整脈等、いくつかの健康上の不安要因を抱えたまま、75歳で、エベレスト登頂に成功しました。大変立派な気力です。かくありたいと念願しつつ日々の修行に精進しています。


(19)月1回の男体山トレッキングを想定した訓練継続。自宅近くの桜山の石段やもみじ谷の高低差を利用して、男体山トレッキングを想定して、まったく同じ登山靴とザック荷物で訓練を開始。実際のトレッキングを想定して、昇り降り連続7時間の訓練をしています。水戸から日帰りで男体山トレッキング(登り4時間、降り3時間)は、かなりきついスケジュールになりそうですが、きついスケジュールをこなすのもヒマラヤへの道と認識しています。

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