小倉北区の市立医療センターに入院していた当時1歳の男児と60代男性の医療事故について、北九州市は20日の市議会運営委員会で、過失を認め、和解のための損害賠償金としてそれぞれ3452万円と700万円を支払う議案を12月定例市議会(27日開会)に提案すると報告した。
市病院局によると、男児は出生後、水頭症と診断された。06年1月25日、おう吐の症状で入院し、同26日、手足にけいれんが発生。呼吸停止状態に陥って高度脳機能障害となり、07年11月8日に死亡した。
重篤になる前、当直の小児科医は脳にたまった髄液を排出するチューブの機能不全(シャント不全)を疑ってCT撮影し不全はないと判断。しかしその後、脳神経外科医が不全を確認したが、手遅れだった。
市は「小児科医が脳外科医と協力しての状況確認を行わず、シャント不全を見逃した」として両親への損害賠償金の支払いを決めた。
60代男性は、抗がん剤による化学療法のために08年1月9日に入院。服用中の抗がん剤を中止させないまま、主治医が同11日に新たな抗がん剤を投与。6日後、口内炎や下痢などの副作用を訴え、5月23日に敗血症による脳内出血で死亡しており、市は「抗がん剤の重複投与で多大な心身の苦痛を与えた」と判断。子供2人に損害賠償金を支払うことにした。【佐藤敬一】
〔北九州版〕
毎日新聞 2009年11月26日 地方版