保育園で行われた新型インフルエンザワクチンの集団接種=東京都江東区東雲1丁目
「効率のいい接種を」。解決策として浮上したのが「集団接種」。保健所や医師会の施設、保育所などに数百人単位で集め、一度に接種する。
江東区医師会は4カ所の区の施設に、会員の医師と看護師、事務スタッフが出向いて打つ計画。井上仁会長は、「重症者を出さないため、少しでも早く、一人でも多くの子に打ちたい」と話す。
中央区医師会は23日、保健所に1〜6歳の約320人を集めて接種した。会員が未使用で予約のないワクチンを持ち寄り、量をひねり出した。
集団接種は各地で広がる。東京都小平市、大津市などで実施に向けて準備が進む。一方で、小児科医が求めても、医師会の腰が重く、人繰りのめどをつけられず、実現に至らないところもある。
混乱の一因には、10月初めの段階では厚生労働省が集団接種を積極的に勧めなかったこともある。同省は自治体担当者を集めた会議で、「(安全確保のため)基本的に個別接種で」と話していたが、今月6日、文書で集団接種の検討を求めた。11月中に医療機関に届けるワクチンの配分先を決めた後だったため、自治体や医療関係者から「もっと早く勧めていれば混乱は避けられた」「対応が遅い。1カ月もロスした」などの批判も出る。(熊井洋美、武田耕太)