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ニュースワイドとちぎ:救急搬送たらい回し防止 県協議会が始動 /栃木

 ◇来年3月に実施基準

 救急搬送で患者がたらい回しされることを防ごうと、けがや病気の種類や程度に応じた医療機関のリストや、消防隊が受け入れ先を選ぶ基準などを定める県救急搬送受入協議会(会長・新沢敏章県医師会常任理事)の初会合が今月17日、県庁で開かれた。消防法の一部改正に伴うもので、来年3月までに実施基準を策定し、公表する。【戸上文恵】

 ◇情報システムも見直しへ

 県消防防災課によると、08年に救急車が通報を受けてから病院などに搬送するまでに要した時間は平均36分8秒で、98年の26分6秒に比べ、10分2秒伸びた。その原因の一つに、医療機関への照会回数が増えていることが挙げられる。重症以上の患者の搬送事案6361件のうち、照会4回以上は320件、現場で30分以上待たされたのは287件で、最大12回断られた例もあった。受け入れを拒否した理由は「手術中、患者対応中」が23・2%でトップ。次いで、「ベッド満床」が22・3%▽「処置困難」が17・5%の順。

 こうした「たらい回し」を減らすため、県は05年12月から、県内73の救急告示医療機関と13消防本部をオンラインで結び、受け入れの可否や空床の有無を表示する「県救急医療情報システム」を運用している。しかし、協議会の後に開かれた県救急医療運営協議会病院前救護体制検討部会では、システムが十分機能していない現状が指摘された。

 県が今年10月に実施したアンケート結果によると、73医療機関のうち、情報を毎日入力しているのは31にとどまり、平日のみ入力しているのが29、全く入力していないのが13だった。その理由としては医師や看護師、事務職員などの多忙がある。

 一方、13消防本部のうち、主たる照会システムとして利用している消防本部はなく、「補完的な照会システムとして利用」が6、「ほとんど利用していない」が4、「全く利用していない」が3だった。消防本部の中には、朝夕の2回、医療機関に空床情報や救急担当医の診療科を電話で聞き取り、各分署にファクス送信しているところもあった。

 システムが利用されるために必要なこととして、「リアルタイムの表示」や「受け入れ可能とした場合の確実な受け入れ」とした回答が多かった。県では救急搬送受け入れの実施基準策定に伴い、来年3月までにシステムの表示項目や入力方法についての見直し方針をまとめる。

 しかし、実施基準を定め、運用しやすいシステムを作るだけでは、たらい回しの根本的な解決にはつながらない。17日の協議会で、自治医科大付属病院の鈴川正之救命救急センター長は、病院が受け入れ不可能とした理由について「アルコール依存症や精神疾患、生活保護、独居老人、外国人などの問題が含まれている」と指摘した。

 同大が昨年7月実施した独自調査によると、軽症や外傷、若年、精神科関連では1回で受け入れ先が見つかる割合が少なかったという。また、外傷のうち、打撲は「専門外」を理由に搬送を拒否されたケースが半数近くあった。鈴川センター長は「打撲でも『内科の先生が当直だから』と断られるのが栃木県の現状だ。専門外を免罪符にしないように、ある程度の強制力が必要ではないか」と話している。

毎日新聞 2009年11月26日 地方版

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