/小学校/総合/環境/EM/ごみ/ダイオキシン 法則化アンバランス 冨田元久
日本の歴史の99.6%は、ごみの少ない社会だった
貝塚は,貝のお墓である。日本の歴史の99.6%は、ごみの少ない社会だったと言える。ごみが増えることでダイオキシンの問題が出てきた。EMによる生ゴミ処理への導入の授業。 |
授業の反省を生かして一部修正している。 授業参観日である。授業のチャイムが鳴ったが、少々ざわついていた。 そんなことは、お構いなしに「ゴミ焼却場」の写真(*1)を2倍に拡大カラーコピーしたものを黒板にはった。なお、グラフや文字の部分は、かくしておいた。 全員を起立させ、次のように指示した。 |
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列指名をした後、その他の考えを発表させた。「生ごみ」と考えた子は、わずか四人であった。「知りたい?」とじらしながら、正解を板書した。 | |||||||
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今日の給食の食べ残しのパンやミニトマトを見せると、やんちゃ坊主から「もったいない!」という声があがった。 | |||||||
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列指名をして、同じ考えに手を挙げさせた。 | |||||||
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ここで、新聞の広告を紹介した。「輸入してまで食べ残す、不思議な国ニッポン」(公共広告機構)である。「異常に太った猫」が不気味である。そのテレビCMもインターネットで公開されている。(*2) | |||||||
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すぐに「ちがう、ちがう」という声があがった。
そこで、向山先生が「エネルギー教育の授業」で地球の歴史を説明するために板書した 図(*3)のように日本の歴史を説明した。 「今から一万年前、氷期が終わり、地球が暖かくなってきました。」と説明した。「10000年前」と板書してから、幅が1mくらいになるように折り返して、「9000年前」と板書した。そして、「8000年前、7000年前……」と数えながら、「現在」までをかいた。そして、「一万年前から二千五百年前までを縄文時代と言います。」と説明し、「縄文時代」と板書した。(図4) 注目をひくために教卓にかくれるようにして、袋から「ハマグリ」の貝殻をとりだした。貝であることを確認し、次のように発問した。 |
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やんちゃ坊主に「先生は、どう思うの。」と聞かれたので、「貝のお墓説」に賛成した。 図3の縄文時代を指しながら、ここまでの日本人は、貝殻をごみにはしていないことを話した。この時代にもみんなのご先祖様は生きていて、そのようなことをしていたはずであることを話した。 後で気づいたが、この話は、少々不適切であった。大陸からわたってきた人たちの子孫もいるから、子どもたち全員にあてはまらなかった。 |
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列指名をし、同じ考えに挙手させた。「100より小さい数字」を書いたのは、5人であった。 | |||||||
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「40年前」は、図3のどの辺になるかテンポよく予想させた。1mが千年であるから、40年は、わずか4cmである。 | |||||||
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それは、先生やお家の人やみんなであることを話した。だから、みんなで考えていかなければならないことを強調した。 ただ、これだけで、人は動かない。危機感がないからだ。 何百万人の飢餓の問題よりも自分の歯痛の方が重大問題だからである。 そこで、「前腕のないベトナムの子ども」の写真(*5)を見せた。やんちゃ坊主から、「乙武さんだ!」の声があがる。 |
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指名なし発表をさせた。「腕がない」は、すぐに気づいた。
25年前にベトナム戦争があり、アメリカ軍は、枯れ葉剤をまいた。それに含まれていたのがダイオキシンである。たずねると「ダイオキシン」という言葉はほとんどの子が知っていた。 ダイオキシンは、「史上最強の毒」と言われている。1円玉を示して、「1gで一万七千人を一度に殺せるくらいの毒」であることを説明した。 その後、図(*6)を使って、食物連鎖による生物濃縮の話をした。オンタリオ湖におけるPCBの生物濃縮の図であるが、大型魚で280万倍にもなる。「これを食べるのはだれですか。」と聞くと、「人間」という答えが帰ってきた。また、ダイオキシンは体の外に出にくく、たまることや自然には、分解しないことも話した。 その結果、このような赤ちゃんが産まれたり、流産したり、ガンになったりいろんな病気が発生したことを説明した。 教室が、シーンとなった。日本は、大丈夫かどうかたずねると「大丈夫」に挙手したのは、一人だけであった。 |
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「アメリカ」「ベトナム」など挙手させた。「ベトナム」は、第二位であることを知らせた。第一位は、「日本」であることを話すと、教室がどよめいた。日本は、「世界一のダイオキシン発生国」になってしまった。 | |||||||
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「排気ガス」「ゴミを燃やした煙」「工場」などが出された。
プラスチックを燃やすと死ぬくらいの量は出ないが、少しずつ出ることを話した。しかし、生物濃縮がある。 「高温で燃やせばダイオキシンはでない」ことを話すとやんちゃ坊主が、「よかったあ。」とほっとしたように言った。 |
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すると、「金がかかる」「熱すぎて割れる」「生ごみが燃えない」などが出された。
生ごみの半分以上は、水分である。水をかけているようなものだ。だから、高温には、なりにくいのである。写真1の煙突を指しながら大量のダイオキシンが出ていることを話した。 どれくらい深刻かを知らせるために、7月7日付けの新聞の一面記事「ダイオキシン対策法案きょう参院可決」を見せた。 そして、アメリカなど先進国の十倍出していることを知らせるとやんちゃ坊主が「ひっこすべ。」と深刻な声でつぶやいた。 |
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「加害者であり被害者である」という当事者意識を持たせることが大切である。
列指名をした。次のような方法が出された。 ・生ごみは、肥料として土に埋めて、プラスチックなどのごみは、あまり出さないようにリサイクルして使う。 ・生ごみを出さない。 ・食べ残しをしないで、生ごみを減らす。 ・生ごみとプラスチックを分ける。 ・生ごみの水気をとる。 まだ考えていない人を挙手させ、真剣にみんなで考えていかなければならないことを強調した。「そうしなければ、大変なことになる。しかし、みんなで考えれば、だいじょうぶかもしれない」と話した。 そして、「ドイツの4R」(買わない、減らす、再利用、再資源化)を紹介した。 ここでEMを紹介した。地球ができた頃から住んでいた微生物を集めたものであることを簡単に紹介した。 EMで生ごみをすばらしい肥料にかえることができる事例として二つ紹介した。 |
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(1) 生ゴミ堆肥で育った農作物(*7) 最初に「EMを使っていない里芋畑」をA3に拡大カラーコピーしたものを見せた。その後、「EM生ごみ堆肥を使って育てた里芋畑」のカラーコピーを見せた。 子どもから「すごい!」「でっかい!」の声が挙がった。 |
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(2) ベゴニア、キュウリ 次に私がEMの生ごみを使って実際に育てた植物の写真を紹介した。デジカメの画像をビデオプロジェクターで映したのである。ベゴニアで対照実験をした。二ヶ月後の写真を見せたときに、子どもたちから驚きの声があがったほどである。なお、この写真は、私のホームページ(*8)で紹介している。「EMの事実」として授業で活用いただければ幸いである。また、このような授業に使えるEMの事実の写真がインターネットに公開されれば、すばらしいと思う。 |
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最後に、EMでダイオキシンをなくす研究をしていることを伝えた。 | |||||||
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「どうすればいいか」ということで、次のように板書した。 | |||||||
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最後に感想と自分ができることを書かせた。数名に指名なしで発表させ、授業を終えた。
子どもの感想を紹介する。 ◇私は、自然が好きです。自然が大好きなので、再利用などをして、日本破壊を止めようと思います。今日の勉強で一番気に入ったのは、「自分ができることをしていく」という言葉です。一万七千人という多くの人の命を奪ってしまう世界最強の毒ダイオキシンの子孫を残さないように私たちががんばっていきたいと思う。 ◇ダイオキシンの出る量が一位だと聞いてとてもいやな気持ちになりました。でも、イーエムという微生物がすごいと思う。 ◇日本は本当によかった国だったのに、今は、ダイオキシン第一位になってびっくりした。 |
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<参考・引用文献> (*1)「地球を救う微生物EM」第3巻(TOSS出版)P6、7 (*2)「教育トークライン」NO.154(教育技術研究所)P18 (*3)http://www2.inter.co.jp/ac/data/vol1/1996/1996.html (*4)「教室ツーウェイ」No.141P13(明治図書) (*5)新・「驚異の科学」シリーズB「新・今「ゴミ」が危ない」(学研)P33 (*6)新・「驚異の科学」シリーズE「新・今「食」が危ない」(学研)P25 (*7)前掲書(*1)P16、17 (*8)http://member.nifty.ne.jp/MotoYuKeYo/index.htm ○向山洋一「EMを学び、教える」(サンマーク出版) ○高木善之「地球は今…」第6巻身近な「環境問題」(栄光教育文化研究所) |