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「若者化」、街の将来像模索…大丸心斎橋店北館開業

 大丸心斎橋店の北館(大阪市中央区、旧そごう心斎橋本店)が開業し、10日が経過した。地下1、2階に「うふふガールズ」と名付けた売り場を設け、これまで手薄だった10歳代後半から20歳代前半の女性向けの衣料品や雑貨を充実させた。若い女性客が多く集まり、出足は好調だ。一方で、大丸や地元商店主らが積極的に取り組んできた「大人の街・心斎橋」の再生は、困難なのだろうか。

 北館は開業日の14日が土曜だったこともあり、予想を上回る7万8000人が訪れた。その後、平日でも1日平均4万人が足を運んでいる。初日に買い物に来た愛媛県伊予市の女性会社員(24)は「百貨店は値段が高い印象があったが、(うふふガールズは)価格が手頃で雰囲気も良い」と気に入った様子だった。

 一方、心斎橋の“常連”という大阪市内の主婦(78)は「私のような年齢の人間は、買い物がしにくくなった」と嘆く。

 心斎橋筋商店街振興組合によると、1980年代前半までの心斎橋は、仕立屋や呉服店、貴金属店、古書店など「大人向け」の店が立ち並んでいた。しかし、御堂筋を隔てて西にわずか200メートルの場所にある「アメリカ村」が「若者向けの個性的な店が集まるエリア」として脚光を浴び出すと、心斎橋では客層とのギャップから閉店が相次ぎ、次第に空き店舗が目立つようになった。空き店舗の跡には10〜20歳代向けの服飾・雑貨店が入居し、携帯電話ショップ、パチンコ店なども増えた。

 こうした状況に危機感を強めたのが大丸だ。「パチンコ店などの進出を防いで大人の街の雰囲気を守る」(大丸)という目的で、89年から空き店舗を買い取って30歳以上の消費者を狙った服飾・雑貨店を出店させる取り組みを進めた。出店は20店を超えた。

 2005年に再開したそごう心斎橋本店も、団塊の世代をターゲットにした。しかし若者化の流れは、予想以上に進んでいた。そごう心斎橋本店が、開業後わずか4年の今年8月末に閉店に追い込まれたのも、こうした流れを読み切れなかったためだ。

 「うふふガールズ」は好調だが、北館の延べ16フロアのうち2フロアに過ぎず、「大人の街・心斎橋」を目指しながらかなわなかった大丸の「妥協の産物」との見方もできる。大丸と協力して街づくりを進めてきた商店主らも「どういう商店街を目指すのか基本理念を明確にしないと」(平松康一郎・同商店街振興組合事務局長)と将来の姿を模索する。心斎橋のシンボルと言える大丸心斎橋店の転換は、街の転機を印象づけた。(経済部 井戸田崇志)

2009年11月24日  読売新聞)

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