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強制連行された中国人男性、64年ぶりに大阪へ

2009年11月22日

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写真64年ぶりに大阪を訪れ、中国人強制連行を伝える石碑の前に立った常保貴さん=大阪市港区

 第2次大戦中、中国大陸から大阪港に強制連行され、過酷な荷役労働を強いられた常保貴さん(85)=河南省原陽県=が21日、大阪市港区の天保山公園内の追悼記念碑前で開かれた式典に参列した。64年ぶりに来日した常さんは「二度と苦しみを繰り返さないで」と話した。

 外務省作成の報告書によると、戦時中、大阪港では1千人余りの中国人が強制労働させられ、86人が病や空襲などで死亡した。同公園周辺には当時、中国人労働者が働かされた港湾施設や収容所が数多くあり、11年前から市民団体が追悼会を毎年開いている。

 19歳、新婚だった常さんは44年夏、鉄道駅で突然日本兵に銃を突きつけられ、行き先も告げられないまま貨車に乗せられた。船の貨物室に詰め込まれてたどり着いた大阪港では、埠頭(ふとう)に着く船から石炭や砂糖の積み下ろしをする肉体労働を強いられた。

 敗戦3カ月後に帰国したが、賃金は受け取れなかった。過酷な労働のために腰が曲がり、戦後も後遺症に悩まされた常さんは「古里の土を踏めなかった仲間たちを思えば、まだ幸せだ。今の日本人にうらみはないが、政府から謝罪と賠償がない限り心が晴れない」と話した。(武田肇)

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