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ありがとうって素晴らしいね

TOSS東京西部         
東京都 白石高士takasan@msj.biglobe.ne.jp)

   感謝の言葉「ありがとう」について考えさせる授業。ありがとうを言うと、言われた人だけでなく、言った人も気持ちよくなることを具体的な例を挙げながら考えさせる。また、脳内革命の話を取り入れながら科学的に話す。実践は2年生だが、1年生、3年生でも可。授業参観などで行うことが出来る1時間の道徳の実践である。

黒板に黙って次の板書をする。

<板書> ○○が○○ 

黒板にこうやって書くだけで、子どもたちは色々な言葉を言い出す。

  ○○が○○ これは、日本語の中でも一番美しいと言われている言葉です。○の中には一つのひらがなが入ります。さて、何でしょうか。                

 子どもたちからは「ありがとう」であるとすぐに答が出てくる。
 この日本語の中で最も美しい言葉というのは、ある出版社が今から10年ぐらい前に行ったアンケートによるである。(出典は不明)
それから月日はたっているが、「ありがとう」という言葉を美しい言葉として差し障りはないと考え、使用した。
 

  日本語の中で一番美しい言葉は「ありがとう」だと言われています。
美しい言葉というのは、聞いていても嫌ではない、言われるといい気分になるといった言葉です。それに対して、汚い言葉というのもあります。言われると嫌な気分になる言葉です。例えば「バカ」「デブ」「死ね」といった言葉です。             

 子どもたちからはまず汚い言葉について例が挙げられた。「言われたことがある」といったものである。汚い言葉を子どもたちから
は出させたくなかったので、私の方からいくつか言った。最近の乱れた日本語のことについても話をした。特に、「超○○」とか、
ら抜き言葉なども例を挙げた。
 

   実はね、こういった汚い言葉を使うと、聞いている人や言われた人がいやな気分になるだけでなく、言っている人にも困ることが起きるそうです。                     
  神奈川県にある病院の春山さんというお医者さんが頭の中にある脳みそについて研究をしました。そこで分かったことです。人間は悪いことを言ったり、行ったりすると、脳みその中からほんのちょっとだけ毒が出るそうです。悪いホルモンと言います。その毒は、自然の中ではヘビの毒と同じぐらいの毒だそうです。
 でもね、ほんのちょっとだけだから、それだけで体が病気になるとか、死んでしまうとかといったことはありません。しかし、とっても強い毒だから、体にいいわけありませんね。毎日汚い言葉を言ったり、悪いことをしたりしていれば、毎日毎日その毒が脳みその中に出ていくんです。怖いですね。その毒は、少しずつ少しずつ脳の中を壊していくのです。         

 2年生の子どもたちが、ここまでの話をしーんと聞いている。
 子どもたちはこういった語りをよく聞く。特にヘビの毒と同じぐらいというところでは驚きの反応を示している。
そんな毒が体の中から出るということが信じられないという様子である。

 この話は今から5,6年前の本「脳内革命」(春山茂雄 著)からとっている。

 汚い言葉を言うと、言われた人だけでなく、言った人も少しずつ体を壊してしまうことを知らせる。

 昔の人は「そんなに悪いことばかりやっていたら、本当に悪い人になっちゃうよ」と言いました。この言葉は、嘘ではなく、本当のことなのです。気を付けなくてはなりませんね。          

  逆に美しい言葉を言ったり、よいことをしたりしたらどうなるでしょうか。実は、そのようによいことをすると、脳みその中にほん のちょっとだけ体によい薬みたいなものが出てきます。よいホルモンと言います。その薬みたいなものは、ちょっとぐらいの病気を治してしまうほどのものです。
 お腹が痛いときお母さんにお腹を触ってもらっていたら、だんだんとよくなってきたということがあるでしょ。あれは、そのホルモンで治っていくのです。                                             

子どもたちが一斉に「ある、ある」と言い出す。誰にでも一度は経験のあるものである。
「病は気から」と言う。病気になったときに、プラス思考で考えることで、回復するという例は、医学の世界でたくさんあることを話した。

  汚い言葉を使うと体に悪く、美しい言葉を使うと体にもいいのですね。そんな美しい言葉の代表が「ありがとう」なのです。    では、みなさんはどんなときにありがとうと言いますか。あるいは言われますか。紙に書きなさい。               

 ここで自分たちの生活に話を引き戻す。
 具体的な場面に即して様々なことが出てくる。「おばあちゃんに誕生日のクリスマスプレゼントを買ってもらったとき」とか
「お手伝いとかしたとき」といったものが次々と出される。

 それを私の学級では、次の6つにまとめた。

1  プレゼントとかをあげたり、もらったりしたとき(に「ありがとう」と言われる)
2 いいことをしたり、されたりしたとき(に「ありがとう」と言われる)
3 自分のことをほめてもらったり、友達をほめたとき(に「ありがとう」と言われる)
4 やさしくしてあげたり、してもらったとき(に「ありがとう」と言われる)
5 教えてあげたり、教えてもらったりしたとき(に「ありがとう」と言われる)
6 助けてあげたり、助けてもらったとき(に「ありがとう」と言われる)
 

この分類のしかたが難しかった。子どもたちの発言を基にしたのだが、3のやさしくしてあげるという意味が大きく、5や6も含んで
しまうところが問題であった。4・5・6は1つにまとめられると思う。

  いろいろなありがとうがありますね。では、この中で、自分がありがとうと言われて一番嬉しいのはどれですか。一つ手を挙げなさい。          

1 プレゼントとかをあげたとき  4人
2 いいことをしたとき       0人
3 自分のことをほめてもらった 3人
4 やさしくしてあげたとき     8人
5 教えてあげたとき        1人
6 助けてあげたとき        4人


 やさしくしたり、されたときに「ありがとう」と言われるのが嬉しいとなる。先ほどの分類で、3・4・5を1つにまとめていれば、
人数がもっと多くなり、強調される。子どもたち中には、3・4・5で迷っている子も多く、一緒にすれば問題は解決できた。
 

  2年1組のみなさんは、やさしくしてあげたり、してもらったりしたときに「ありがとう」と言われるのが一番嬉しいようですね。実は、先生も同じです。「ありがとう」という言葉はとってもよい言葉です。

 日本人は「ありがとう」の言い方が上手ではないと言われている。
例えば、バスが出発しそうで走っていったとき、運転手さんが止まってくれて乗せてくれたとする。そんなとき、多くの日本人は
「すみません」と謝る。この場面は謝る場面でなく、感謝の気持ちを述べる場面である。素直に「ありがとう」と言えるような子ども
たちに育てていきたいものである。
 

  では、ありがとうを言う練習をします。隣の人と2人組になって、自分たちでありがとうを言う練習をしなさい。ちょっとした劇みたいにするのです。             
 

  隣組で練習をする時間を2,3分与える。座席を離れてもよいこととした。
 短時間であったが、それぞれが自分たちで場面を設定して、ありがとうを言う練習をしてた。ほとんどのところが、やさしくしても
らった場面を作りだしている。
 3組ほど、前で行わせた。
一番おもしろかったのは、かくれんぼをしているという設定で、女の子がオニとなり、男の子を追いかけるのですが、途中でオニの
女の子が転んで泣いてしまう。そこに男の子が「大丈夫?」と声をかけ、女の子が「ありがとう!」と答えるという劇。
 即興のわりにはとても上手でびっくり。まわりの子たちから大きな拍手をもらった。

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