憲治の教師修業

環境・エネルギーの授業

奇跡の栽培で奇跡のリンゴ!

2009-06-20 22:01:26 | Weblog

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奇跡の栽培で  『奇跡のリンゴ』 !


作成者 : 中尾憲治(TOSS長崎 イキ壱岐サークル)
授業サイト希望者はこちらへ  ikiikikenji@gmail.com

<対象>小学校高学年〜中学校の総合的な学習、もしくは道徳で実施

<解説>昔は農薬など存在しなかった。除草剤や殺虫剤などがなくても
立派に稲や野菜を育ててきた。しかし現代は違う。リンゴに限らずほとん
どの栽培作物で農薬や科学肥料が使われている。研究によれば農薬を
使わなければ、害虫の被害によってリンゴの収穫は90%以上も減ると言
われている。翌年も続けるならば収穫は確実にゼロになり、その状況を打
破するには農薬意外にないと言われている。しかし、そんなリンゴ栽培の
常識に果敢に挑戦した人間がいた。名前を木村秋則という。氏の筆舌を
尽くしがたい努力の日々には感動がある。そこに焦点をあてるならば道徳
としても授業可能だ。氏の著書を読んでから、決めてもらえばいいと思う。
                      

 

説明1 人とリンゴは数千年ものつきあいだと言われています。(ピンポン球を提示)
       しかし、昔のリンゴはこんなに小さくて、とっても渋かったそうです。
発問1 このリンゴ食べたいですか?

     「いいえ」 「食べたくありません」

発問2 もしあなたがリンゴ農家だったら、たくさん売れるように、また栽培しやすい 
    ようにどのようなリンゴにしたいですか?(中学生には品種改良という言葉で)
指示2 ノートに箇条書きでたくさん書きなさい。

     「大きい」「甘い」「赤い」「害虫に強い」「病気に強い」「細菌に強い」・・・

 発問3 どんなに甘くて大きいリンゴでも、虫や病気に弱いリンゴは育たなかったの     
     ですが、あるモノの発明で虫や病気・細菌などの被害を考えなくても良くなり
     ました。そのあるモノとは何でしょう?

     「農薬」

 発問4 リンゴの木1本には何種類くらいの虫がつくでしょう?

     「10」「50」「100」・・・・(リンゴにつく害虫がリストアップされたHPを提示)

説明2 リンゴの木には200種類を超える害虫がつくと言われています。新しい害 
      虫や病気が広がるたびにリンゴは全滅し、農家は大きな被害を受けてきま
     した。 農薬をまかないリンゴの木は収穫量が1割になり、2年で枯れていく
     そうです。ふつうのリンゴ農家では1年間に13回農薬をまくそうです。
発問5 リンゴはこう言われています。「○○なしでは育たない」○○に入る言葉は?

     「農薬」

説明3 しかし、このリンゴ業界の常識に戦いを挑んだ人がいます。木村秋則さんで
     す。リンゴ農家の婿養子となって栽培をはじめたのですが、農薬のせいで
     皮膚が炎症をおこし、薬に弱い奥さんは散布するたびに1週間ほど寝込む   
     そうです。

発問6 あなたが木村さんなら奥さんのためにどうしますか?

    「農薬を使わない」「リンゴ栽培をやめる」「奥さんを働かせない」

説明5 木村さんが選んだ方法はこれです。『自然農法 福岡正信』(スライド提示)
     読書家で研究家の木村さんが偶然手にした本でした。自然農法というのは
    簡単に言うと農薬も科学肥料も使わず栽培することです。本に書かかてい
    るのは稲作や野菜の栽培でしたがそれを応用すれば、リンゴもできると考え
    たのです。発生する虫は手でとってビニール袋に入れていきました。
発問7 1年目にリンゴの自然農法は成功したと思いますか?

    「成功した」「失敗した」(挙手で確認)
   ※2年目以降も「成功したと思いますか?」と聞きながら説明していく。
  【1年目】2ヶ月で虫が大量に発生し、4ヶ月で葉がなくなる
  【2年目】花すら咲かず、ただ害虫を捕る毎日
  【3年目】かまど消し(破滅者)と呼ばれ、村八分状態。
  【4年目】食べるものもなく草を野菜の代わりに入れて食べる。
       学用品も買ってやれず、給食費も払えない。
  【5年目】木が枯れていく。
  【6年目】虫退治のために思いつくすべての方法も行ったがダメ(万策尽きた!)

発問8 万策尽きて、自分のせいで家族を路頭に迷わせていると考えた木村さん
     は、ある晩、丈夫なロープをもって一人山道を登って行きました。
     何をしにいったと思いますか?    

    「自殺」 (自殺という言葉は生徒の実態を考慮して使ってください)

説明6 自殺するための丈夫な枝を探していた木村さんですが、偶然にも農薬も肥  
     料もやらないのに元気に育っているリンゴの木を見つけます。(実際はどん
     ぐりの木を見間違えていた)そこでひらめいたのです。この自然と同じような
     状況をつくればリンゴは育つのだと。その日から木村さんは草刈りをやめ、
     落葉と枯れ草が積み重なり、昆虫と微生物が元気に生活できる豊かな土地
     づくりをめざします。さらに大豆をまいて、窒素を固定する根粒菌を増やす
     のです。また、虫はすべて害虫と思っていましたが、害虫を食べる益虫の存
     在に気づき、数のバランスを保てばいいことも分かりました。
     それから2年後、ようやく白い花が咲きました。 自然栽培を始めてから8年   
     目のことです。実がなって売れるリンゴができたのはさらにそれから2年後
     かかりました。

発問9 木村さんのリンゴは『奇跡のリンゴ』と呼ばれています。奇跡とはどういう意
     味でしょう?。

     「信じられないくらいおいしい」 「実がなることが奇跡」

説明7 木村さんのリンゴ、とてもおいしいく、ネットでは発売と同時に10分で完売
     で、このリンゴが食べれるレストランは、1年先まで予約で一杯だそうです。
      さらに、『奇跡』と呼ばれるのには理由があります。木村さんのリンゴは腐ら 
     ないそうです。(ネット上にたくさん写真があるので提示してください)
      半年たっても、2年たっても腐らないで枯れていくそうです。
      自然にも人間にもとっても優しい自然農法。もっと世の中に広がっていくと
     いいですね!

 

<参考文献・サイト>

『奇跡のリンゴ』 石川拓治 幻冬舎
『リンゴが教えてくれたこと』 木村秋則 日本経済新聞出版社
『自然から学ぶ 生き方暮らし方』 天野紀宜 農山漁村文化協会
『わら1本の革命』 福岡正信 春秋社
プロフェッショナル仕事の流儀 『農家 木村秋則の仕事』

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