釜山射撃場火災:「いちるの歯型」生存確認

2009年11月17日 0時59分 更新:11月17日 4時18分

ガナダラ実弾射撃場の前に設けられた献花台に献花する遺族ら=韓国・釜山市で2009年11月16日、矢頭智剛撮影
ガナダラ実弾射撃場の前に設けられた献花台に献花する遺族ら=韓国・釜山市で2009年11月16日、矢頭智剛撮影

 【釜山・朴鐘珠】韓国・釜山市新昌洞の室内射撃場「ガナダラ実弾射撃場」の火災を捜査中の韓国警察当局は16日、家族らによる確認などで日本人死者7人全員を特定した。ただ、損傷の激しい遺体もあるため、正式に確定させるためのDNA鑑定を急いでいる。出火原因などは依然として特定されておらず、警察は17日に改めて現場検証を行い、原因究明を急ぐ。

 当初、家族が死亡を確認したものの、後に生存が判明した長崎県雲仙市の中尾和信さん(37)は、全身の90%にやけどを負っており、意識不明の重体。17日にも皮膚移植手術が行われる。

 家族は15日夜にも中尾さんが搬送されていた釜山市内のハナ病院を訪ねたが、中尾さんの外見は見分けがつかないほど皮膚の損傷が激しかったため、本人ではないと判断。同行した雲仙市職員らに、別の遺体を中尾さんと取り違えて確認してしまうほど気落ちしていた。

 しかし、16日になってから、口を広げて歯並びを撮ったパノラマ写真を持って再び病院を訪問。中尾さんは口に吸引ホースをくわえた状態のため、すべての歯並びは比較できなかったものの、前歯の特徴で本人特定に至ったという。

 同じ病院に入院中の原田洋平さん(36)は同日午前11時から5時間にわたって皮膚移植の手術を受けた。術後に会見した鄭哲守(チョン・チョルス)院長によると、原田さんは全身の85%をやけどしており、この日の手術では炎症が深い部分に他人の皮膚を移植した。術後の経過は良好だという。

 一方、容体が落ち着いている笠原勝さん(37)はこの日、おかゆを食べ、韓国語で「おいしい。ありがとう」と話した。笠原さんは、17日にも手術を受けることになっている。

 原田さんと笠原さんの退院と帰国は、早くても2~3カ月後の見込みだという。

 今回の火災では、やけど治療の専門医がいるハナ病院に重傷者5人が搬送された。このうち、原田さんと笠原さんの2人と、韓国人負傷者2人の計4人は身元が分かっていたが、中尾さんについては国籍も分からない状態だった。もう一人の日本人重傷者である島田明さん(37)は、釜山市内の東亜大病院に収容されている。

 韓国の柳明桓(ユ・ミョンファン)外交通商相は、「非常に遺憾」として日本人遺族に弔意を表し、真相究明を約束した。

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