【記者手帳】上海に奪われたディズニーランド

 最近ソウル市の公務員と電話をしていて、中国・上海にディズニーランドができることが話題に上った。この公務員は「3年間にわたりソウル市が野心的に進めたディズニーランド誘致プロジェクトが上海に阻まれた。残念だ」と語った。

 筆者がソウル市を担当していた当時、ディズニーランドの韓国誘致は可能性が相当高いとみられていた。誘致に向け、ソウル市に専門部署が設置されていたばかりでなく、京畿道果川市のソウル大公園がディズニーランドの用地として検討されていた。

 ソウル大公園側は、ディズニーランドが進出した場合、動物園を移転しなければならないため、代替地の物色に走った。動物園の拡張計画も、ディズニーランド誘致のために完全に保留となった。国内の大型遊園地もディズニーランドと競争しなければならない場面を想定し、にわかに緊張した。

 しかし、3年後に笑ったのは上海だった。中国はオバマ米大統領の訪中に先立ち、今月4日に善意を示すかのように、ディズニーランドの建設を許可した。オバマ大統領は北京訪問に先立ち、16日に上海に立ち寄り、上海市長に謝意を伝えた。

 ディズニーランド建設には最低36億ドル(約3200億円)が投資される計画だ。海外資本の中国投資としては単独案件で過去最大となる。来年着工され、2014年までに大規模な娯楽施設、ホテルなどを備えたテーマパークを建設する。中国政府はディズニーランド建設で1兆元(約13兆円)の経済効果が生まれると期待している。

 最近、世界のマネーが中国に殺到している。中国は米国の通貨政策を批判できるほどの「経済大国」になった。外資誘致面でも、隣国である中国の強大化は韓国にとって警告音にほかならない。

 韓国は何年にもわたり、外資誘致や北東アジアの金融ハブを叫んでいるが、中国は世界の500大企業のうち、既に480社を誘致した。今年4月に広東省は10年以内に域内総生産(GDP)で韓国を追い抜くと宣言し、外資誘致に拍車をかけている。韓国が中国に奪われるのはディズニーランドだけであるはずがない。

崔炯碩(チェ・ヒョンソク)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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