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教科書検定意見「適正」 波紋広がる文科相発言、経緯理解し対応を2009年11月20日  このエントリーを含むはてなブックマーク Yahoo!ブックマークに登録 twitterに投稿する

 川端達夫文科相が18日、高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決(強制集団死)」の記述で、日本軍強制の文言を削除・修正させた2007年の教科書検定意見について、問題がなく策定過程も適正との認識を示した発言が波紋を広げている。検定意見撤回と軍強制記述の回復を求めてきた「9・29県民大会決議を実現させる会」の関係者や教科書問題に詳しい有識者は疑問を投げ掛け、沖縄戦の実相と歴史教科書問題の経緯を理解した上で、対応するよう求めている。
 川端文科相は18日の衆院文部科学委員会で同検定意見について「日本軍の関与がなかったという意見ではない」と問題がないとの認識を示し、その上で、検定意見が撤回されていない現況を含め「適正に経過していると認識している」と述べた。
 実現させる会の玉寄哲永世話人は「経過が適正でないからこそ沖縄側から要請を続けているのに、何を根拠に適正と言えるのか。座間味村や渡嘉敷村の集団自決の場にいた体験者で今まで発言してこなかった人も、軍強制があったと証言している。その声に耳を傾けてほしい」と訴えた。
 さらに同委員会では高井美穂政務官が文科省の対応に関して「どの資料を認めるか、認めないかという話は文科省としてかかわることができない。教科用図書検定調査審議会に任されている」とも発言した。これに対して、高嶋伸欣琉球大学名誉教授は「検定制度は文科省の職員である検定官が主導して、審議会が追認しているのが実態だ。文科省は関係ないと言うのは偽りだ」と指摘した。
 実現させる会は9月末に開いた県民集会を踏まえ、要求実現へ川端文科相との面談を求めているが、文科省側は「日程の都合上難しい」と返答しており、面談は宙に浮いた格好になっている。県選出衆院議員の瑞慶覧長敏氏(民主)は「大臣がいきなり会うと審議会に対する政治介入が大きすぎるという印象を与えてしまうことを恐れているのではないか」と話す。
 歴史教科書問題をめぐって、同党は過去に国会へ教科書検定見直しを求める決議を出す準備を進めたが、党内の一部から歴史検定に踏み込むことを疑問視する意見があり不調に終わった。党内の議員間で歴史認識に開きがあるためだ。
 教科書問題で中心的な役割を担ってきた同党の川内博史衆院議員は、沖縄側から同問題の経過と沖縄戦の事実関係を大臣へ詳しく説明することが解決への第一歩と指摘する。「大臣は間違った検定をした事務方の説明をそのまま口にしたのではないか。きちんと説明すれば理解すると思う。誤解を解くために、早急に会ってわたしからまず説明したい。検定意見撤回と記述回復が解決の道だ」と話した。(高江洲洋子)


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