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<名誉棄損>無罪判決後に匿名ブログ 発信者の開示求め提訴

11月22日2時30分配信 毎日新聞

 診察を装ってわいせつ行為をしたとして準強制わいせつ罪に問われ、無罪が確定した福岡市内の男性医師(45)が、無罪判決後に匿名のブログで名誉を傷つけられたとして、インターネット接続業者(プロバイダー)に発信者情報の開示を求めて大阪地裁に提訴した。業者側によると、内容は既に報道されたものばかりで、「権利の侵害が明白でない」と反論している。報道を基にしたブログが名誉棄損にあたるかどうかが注目される。

 男性医師は06年、診察を装って女性患者を写真撮影したなどとして準強制わいせつ罪3件に問われた。2件有罪、1件無罪とした福岡地裁判決に対し、2審・福岡高裁は今年5月、3件とも無罪とし、確定した。

 訴状によると、問題のブログは、自称「調査会社の社員」が匿名で開設。刑事事件など自分の関心事を書き込んでいるが、2審判決当日、男性医師の実名を挙げて「わいせつ診療で逮捕〜逆転無罪」とする見出しを掲載。「医療行為と称して患者の体を触り、写真も撮った」などと、逮捕容疑や起訴状に基づき新聞などで報道された内容を書き込んだ。

 医師側はこうした内容が無罪判決後にブログに掲載された点を問題視。「社会的評価を著しく低下させる」とし、8月、プロバイダー「ケイ・オプティコム」(大阪市)に発信者開示を求めたが拒否されたため、10月、提訴に踏み切った。

 同社側によると、発信者は「社会的に知れ渡った情報を書き込んだ。無罪というニュースも追加しており、権利侵害はなく、名誉棄損に当たらない」と説明しており、同社側は「権利の侵害が明白ではない」と請求棄却を求めている。問題の書き込みは、発信者が「医師の気持ちを考える」として既に削除したという。

 プロバイダー責任制限法(02年5月施行)は、書き込みによって名誉棄損などの権利侵害があった場合、発信者を開示するようプロバイダーに求めることができる、と規定している。【日野行介】

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最終更新:11月22日4時6分

毎日新聞

 

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