静岡市内の妊婦(当時24歳)と胎児が死亡したのは入院先の病院が適切な検査や治療を怠ったためだとして、この女性の親族が20日、静岡厚生病院(静岡市葵区)の産婦人科診療部長ら3医師と、同病院を経営する県厚生農業協同組合連合会を相手取り、約9200万円の損害賠償を求める訴訟を静岡地裁に起こした。
訴状によると、妊婦は08年4月27日早朝、陣痛が強くなり同病院に入院。胎盤が分べん前に子宮からはがれ、大量出血する「常位胎盤早期はく離」で、それをうかがわせる症状があったのに適切な検査をしなかった。さらにその後、常位胎盤早期はく離と診断し帝王切開した際、大量出血があったのに必要量の4分の1の輸血しか行わず、妊婦や胎児が死亡したとしている。
今回の問題で病院側は08年5月に記者会見を開き、「胎盤早期はく離は事前予測は不可能で、輸血量も十分だった」と説明。今回の提訴については「訴状を見ていないのでコメントできない」と話した。【山田毅】
毎日新聞 2009年11月21日 地方版