行政刷新会議「事業仕分け」前半戦最終日 削減額はおよそ4,000億円に
95兆円を超える概算要求の無駄の洗い出し作業も、いよいよ前半戦の最終日。17日の対象は、宇宙から「インコ」にまで及んだ。
鳩山首相は「手応えという意味では、本当に短い期間でよく頑張っているなと。ある意味で、聖域なき見直しをするようにと、私の方からも申し上げておりますから」と述べた。
これまでの4日間の事業仕分けで「廃止」と判定されたのは32事業で、856億7,200万円の削減となった。
無駄減らしのメスは、「宇宙」にまで及んだ。
前半戦の最終日となった事業仕分け5日目。
議題に上がったのが、概算要求で58億円を計上した中型ロケットGX計画。
仕分け人は「わたし、ロケットのこと全然わかりません」と話した。
文科省担当者が「水素は非常に気体が分子が細かいということで」と話すと、仕分け人の枝野幸男議員は「ごめんなさい! あのね、技術論に一生懸命持ち込もうとしてるんですが、ここ、技術論を議論する場じゃありません!! 聞かれたことを答えてください。つまり、使えるんですか? 使えないんですか?」とただした。
2003年から官民共同開発で始まったGXは、総開発費が当初の4倍近い2,000億円に達する見込みとなり、エンジン開発費のみ計上していた。
枝野議員が「本当にこれが将来性があるんだったら、民間に出資させて直接投資をする額、ゼロじゃないかもしれないけど、相当減らせませんか?」と質問すると、文科省担当者は「現時点では、そういう意欲を見せている民間がないということであります」と答えた。
白熱した議論の結果、2010年度の予算計上を見送り、GX計画には「廃止」という判定が下った。
午後は、裁判員制度の普及に一役買った「サイバンインコ」が仕分け対象になった。
仕分け人は「あまりにもパフォーマンスが悪すぎるんじゃないかと」と話した。
裁判員制度の円滑な実施を促す広告費など、およそ1億1,000万円計上した裁判員制度の啓発推進費。
仕分け人は「(裁判員裁判の)認知度が97%以上ということなんで、まあ、非常に財源が限られてる中で、告知広報という部分というのはまあ、もう十分なんじゃないですか」と述べた。
これに対し、法務省担当者は「車内の中づりポスターであるとか、意外と活字をたくさん使っても、ずっと手持ちぶさたで読んでいただけるというような効果もあると考えておりまして」と話した。
結局、裁判員制度の啓発推進費は、「予算計上見送り」と判定された。
ちょうどそのころ、国会では、衆院本会議が開かれていた。
これに出席するため、会場の国会議員は参院議員ただ1人となった。
政治家不在で、責任の所在はあいまいにならないのか。
仙谷行政刷新担当相は「まったく問題はないと思います。なぜでしょうかと、私が責任を持っているからです」と述べた。
自民党の谷川参院幹事長は「いわゆる事業仕分けですか、あれは新鮮に映ってるとわたしは思いますよ、正直言って。あれは非常にヒットしているとわたしは思ってますよ、逆にね。あれは、わたしから言ったら、人民裁判やってるような話なんだよね」と述べた。
舌戦続く「仕分け作業」前半戦の終盤、厚労省が要求した年金に関する広報経費1億円をめぐって、異例の判定が出た。
仕分け人の尾立議員は「いったん廃止をさせていただくという結論に落ち着かせていただきたいと思います」と述べた。
これに対し、厚労省担当者が「今の結果についてご質問させていただきますが」と話すと、進行役が「結果についての質問は受けつけません!!」と、質問を遮る場面もあった。
実はこの事業、仕分け人9人の判定は、「廃止」が3人、「縮減」が6人にもかかわらず、下された判定は「廃止」だった。
「廃止」判定を下された厚労省担当者は、「廃止という結論はどう受け止めている?」との質問に、何も答えなかった。
尾立議員は「(仕分けの判断基準があいまいだという意見も一部あるが?)わたしどもこれまで、きのうきょうやってきた話ではないので、わたしどもの判断で、議論を聞いていただく中で、これは不要だとか、見直しだとか、継続という判断をさせていただいています」と述べた。
17日の仕分けでは、議論された39事業のうち、5事業、およそ42億円が廃止と判断された。
枝野議員は17日午後7時半ごろ、「官僚の皆さんに、一種のカルチャーショックを与えているのかもしれませんが、わたしはそのこと自体が、このことの意義、事業仕分けをしていることの意義だと思っています」と述べた。
95兆円まで膨らんだ概算要求に、3兆円の削減目標を掲げて始まった事業仕分け。
結局、前半戦の削減額はおよそ4,000億円となった。
しかし、この判定には法的な拘束力はないため、実際にどこまで無駄を削減できるのかは不透明となっている。
(11/18 00:29)