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おおいたCampusCafe:存在感増すヘリ救急搬送 /大分

 ◇1秒でも早く診断・治療を

 ◇4~10月は44件「とよかぜ」

 バラバラバラ……。大分大学医学部での授業中、時おり聞こえてくるヘリコプターの飛来音。窓越しに、付属病院から何人もの医師がヘリポートに向かって走っていく。重篤な患者が運ばれてきたことを教室で感じる瞬間だ。医療の地域間格差が叫ばれる中、一刻を争う救急医療で機動力に優れたヘリは存在感を増していくだろう。ヘリ搬送事情をリポートする。

 大分県は、県の防災ヘリ「とよかぜ」を重篤患者の搬送に使っている。県央空港(豊後大野市)から医学部グラウンド内のヘリポートに飛んできて、付属病院救命救急センターのドクター2人を乗せ、現場に向かう。交通事故や足場からの転落などによる外傷が最も多いが、脳卒中や心筋梗塞(こうそく)などの患者に対応することも多い。

 付属病院が08年2月末から患者搬送に利用するようになり、「とよかぜ」の出動件数は急増した。救急搬送が全体の約6割を占め、林野火災の消火や遭難救助といった業務を上回っている。今年4~10月の救急搬送は44件。08年度の45件にほぼ並んだ。

 「とよかぜ」は時速200キロを超え、県内のほとんどの地域に10~15分、最も遠い姫島にも20分前後で到着できる。同センターの石井圭亮医師(43)は「救急医療で最も大切なことは、高度な専門性を身につけた医師が一秒でも早く、患者さんに接触し、診断・治療を始めることだ。死亡者を減少させ、社会復帰の可能性は格段に上がる」とヘリ導入の利点を強調する。

 防災ヘリを活用するだけでなく、「ドクターヘリ」を導入する動きもある。人工呼吸器や医薬品を備え、医療スタッフを救急現場に運び、治療しながら、患者を搬送する。4月現在、16道府県に広がっている。九州では久留米大学病院(福岡県)と国立病院機構長崎医療センター(長崎県)などに配備されている。

 付属病院救命救急センターの和田伸介医師(43)は「ドクターヘリが運航できれば、県内の救急地図はガラリと変わる。医師の偏在をカバーするための大きな一歩になるはずだ」と期待する。

 私たちが医師になるころ、ドクターヘリは当たり前になっているのだろうか。住み慣れた土地で暮らす人々の不安が、少しでも解消することを願う。(文と図は大分大医学部・松島文子、写真は救命救急センター提供)

毎日新聞 2009年11月19日 地方版

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