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産婦人科医:論文数が半減 激務と研究費減で

 日本の産婦人科医が国際的な学術誌に投稿し掲載される論文数が減り続けていることが、日本産科婦人科学会(日産婦)の調査で分かった。医師不足による医療現場の疲弊に加え、大学への公的研究費削減も背景にあるという。

 医療の質の低下を懸念する日産婦は、専門医の認定条件を見直し、研究業績を重視する方向で検討を始めた。

 調査は、各国の研究者から引用される影響力の高い31の英文学術誌を選び、国内在住の日本人研究者が筆頭著者になっている論文の数を集計した。

 00年以降は毎年、それ以前は86年以降5年ごとに推移を見た。

 86年は34本だったのが91年には101本に急増。その後も順調に増えたが、01年の224本をピークに減少に転じた。05年165本、06年130本と減り続け、08年は98本でピーク時の半分以下、91年の水準に戻った。生殖補助医療分野の論文が増える一方、ホルモンや婦人科の腫瘍(しゅよう)などの減少が目立つ。

 産婦人科は近年、医師確保が課題になるなど厳しい労働環境にある。医師が診療に追われ、論文のための症例分析や研究に時間を割けなくなっているとみられる。

 緊縮財政による研究費削減や、新しい研修医制度で専門教育が軽視されているという指摘もある。

 こうした現状を受け、日産婦は専門医の認定要件に論文執筆を義務付けるなど、研究力をより重視する検討に入った。

 調査した日産婦理事の井上正樹・金沢大教授(婦人科腫瘍学)は「医師が研究マインドを持たないと、医学の発展は望めない」と指摘する。【江口一】

毎日新聞 2009年11月19日 15時00分

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