奈良

　＜ＮＥＷＳ　ＮＡＶＩＧＡＴＯＲ＞

　◆「県地域医療再生計画」って何？

　◇安定した体制の構築目指す　医師不足・救急搬送、抜本的解決へ

　なるほドリ　県が１０月１日に発表した「県地域医療再生計画」って何？

　記者　医師不足や救急搬送を巡る問題に対し、抜本的に取り組む計画のことです。０９～１３年度の５カ年計画で、高度医療拠点病院の整備や医療機関の連携強化など安定した医療体制の構築を目指しています。

　Ｑ　具体的にはどんな内容なの？

　Ａ　県内を北和（奈良・西和医療圏）と中南和（東和・中和・南和医療圏）に分け、北和では県立奈良病院（奈良市）、中南和では県立医大付属病院（橿原市）を高度医療拠点病院に指定します。医師や看護師だけでなく、設備や技術など医療資源を集約した「マグネットホスピタル」として、重症患者を断らない救命救急室の設置▽２４時間対応可能な救命救急▽周産期医療センターの拡充▽がん拠点病院の機能強化－－などに重点的に取り組みます。

　Ｑ　医師不足対策は？

　Ａ　県や県立医大、公立病院を持つ自治体が協定を結び、県立医大に講座を設けて医師を育成し、不足が深刻な公立病院やへき地診療所、休日夜間応急診療所に派遣するシステムを整えます。

　Ｑ　具体的な数値目標は？

　Ａ　救急要請から医療機関での受け入れまで０８年には平均３５・７分かかっていましたが、１３年には２５分に短縮することが目標です。また、周産期母子医療センターの拡充で、ハイリスク妊婦の県外搬送率を０８年の２２・５％から半減させることも目指します。

　Ｑ　費用はどれくらい？

　Ａ　総事業費は約５６５億円の計画です。県立奈良病院の建て替え費（約４００億円）や県立医大付属病院の一部改修費（約１３０億円）が大半です。

　Ｑ　財源は心配ないの？

　Ａ　厚生労働省が設置する地域医療再生基金からの一部充当を見込んでいます。自民党の麻生政権で成立した補正予算に組み込まれていますが、政権交代で交付の上限が５０億円に縮小されるなど見直しが進んでいます。

　Ｑ　三室（三郷町）や五條（五条市）などの県立病院はどうなるの？

　Ａ　まだはっきりしていませんが、県立奈良病院などの高度化に伴い、機能の再編問題が浮上することになりそうです。

　Ｑ　県立医大の移転は計画に関係ないの？

　Ａ　今のところ、計画に盛り込まれていませんが、高度医療拠点病院化には移転が必要になりそうです。県はこの計画を発表した際、生駒市の学研高山第２工区への移転を検討していることを明らかにしました。＜回答・阿部亮介（奈良支局）

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