2009年11月18日

プルサーマルと原子力発電所問題

九州電力でプルサーマル発電が起動しました。

 


きっこの日記より

 

<引用開始>

このニポンは、複数のプレートが複雑な重なってる場所で、世界でもマレなほど危険な国なのだ。そんな国に、角砂糖5個ぶんで国民すべてを死滅させられる史上最強の猛毒、プルトニウムの生産工場を造るなんて、キチガイ沙汰としか言いようがない。

<引用終了>

http://www3.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=338790&log=20080318

 


私は、きっこの日記のファンの一人ではありますが、原子力発電所問題に関しては、きっこ氏に苦言を呈してきました。その理由は、私は複数の原子力発電所で安全管理に関する講演を行っており、所長を含む幹部と原子力行政に関する意見交換をしてきた経緯があり、きっこ氏の発言は「害」であると考えるからです。

 


結論から書きますと、結論はこのような「根拠のない不安感」が独り歩きしていることこそが、原子力発電所の安全性を阻害しているということです。一部のノイジーマイノリティ(騒がしい少数派)が不安をあおることは、まさに国策を妨害していると言わざるを得ません。

 


きっこ氏は、何回も氏のブログで「角砂糖5個で全国民を死滅させられるほどプルトニウムは危険」と書きたてています。それではきっこ氏に問いますが「どのようにしたら角砂糖5個分の物質を全国民に均等に届けることができるのですか」と。

 


まさか、新型インフルエンザのワクチンのように、全国民にプルトニウムを「接種」することにより、全国民を死滅できるなどとは答えないと思いますが、さて、きっこ氏はどのように答えるのでしょうか。

 


賢明なる皆さんはお分かりだと思います。「机上の空論」であり、全国民を死滅させることができるなどと書き立てることは、国益に反する行為そのものです。

 


しかしながら、きっこ氏が不安を書きたてたい気持ちも分かります。それは、原子力発電のメカニズムと安全防御のシステムに関してきっこ氏が「無知」であるからです。きっこ氏に安全性への疑問があれば、原子力発電所や隣接する「原子力館」を訪問して知識を得なくてはなりません。渋谷の「電力館」でも原子力発電の安全性は理解できます。

 


さて、「原子力館で安全性を理解できます」と書きましたが、今日の記事のポイントはまさにこの点にあります。理解できるのは原子力発電の安全性を知っている人だけであり、頭の中の「情動脳」が「原発反対」という感情でいっぱいになっている人や、原子力発電に関心がない人には、原子力館での説明を聞いても理解、納得はできないと私は考えます。この視点が大事であると私は考えます。

 


その理由です。国民の関心が最も高い「炉心の中で何が起きているのか」が、展示物などを見ても普通の人には分からないのです。実際には5重に安全壁が施された中の、小指大のペレットという物体の中で核分裂が起きているのですが、展示を見ても普通の人は、何か一つでもシステムにトラブルが発生すると、放射能物質が炉心外や、屋外に飛散するというような「洗脳された観念」を払拭できないのです。

 


私は、東京電力や東北電力、四国電力の「原子力館」を訪れ、ある一つのことに気付きました。それは、文字通りの「核心」の部分の説明が全くされていないということです。核分裂が起きている状態を正しく認識できれば、安全への認識も高まります。そのことを関係者は知っていながら「あえてしていない」と私には推察します。

 


例えば、最新のCGを駆使して炉心で起きていることを視覚的に表現できれば、人は必ず理解できます。必ず納得できます。しかしながら、していないのです。

 


なぜでしょうか。答えは簡単です。国民を不安にさせておかないと、原子力発電の周辺で生きている役人や関係者の仕事がなくなってしまうからです。それだけのことなのです。

 


実際に、かなりの数の原子力発電に関係する財団が存在するようです。

http://www.google.co.jp/search?hl=ja&q=%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B+%E8%B2%A1%E5%9B%A3&lr=&aq=0r&oq=%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E3%80%80%E3%81%96

 


繰り返しますが、これらの財団の多くは、原子力は危険だという前提の上に成り立っています。常に国民を不安にさせないと仕事がなくなってしまうのです。それが、国民に安全性を叩き込まない理由です。

 


官僚も同じです。皆さんはご存じないかもしれませんが、原子力発電所には国から派遣されている役人が常駐しており、民間企業の社員の挙動を常に監視しているのです。監視されている側から見ると「箸の上げ下ろし」まで見られているということになります。

 


これが、日本のこれまでの常識であり、世界の非常識です。原子力発電所の職員の安全運転へのモチベーションにも関わることです。新政権は役人を原子力発電所から締め出して欲しい。そう願ってやみません。(いずれ、国会議員を通して質問注意書を提出したいと考えています。)

 


ここまで、原子力発電は安全である旨を記してきました。国策であると書きました。事実として、世界中で原子力発電プラントを完全に造れるのは4社だけです。そのうちの3社が日本企業(三菱、日立、東芝)です。

 


大前研一氏も著書に書かれていますが、原子力発電所の建造技術は日本に優位性があり、今後、世界にむけて「輸出」すべきなのです。非核三原則を掲げ、原子力爆弾を落とされた唯一の国ですから、世界は日本の原子力への安全思想を必ず受け入れてくれると思います。

 


まとめますが、原子力発電は推進すべきです。プルサーマル発電も全原子力発電所で行われるべきです。それを可能にさせるのは、原子力発電に関する国民の正しい知識です。そのためには、原子力発電への不安をあおるノイジーマイノリティの偽(いつわり)のくちびるを封じることが肝要であるのです。

 


過去の原子力発電に関する記事

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